NISAやiDeCoの誕生を皮切りに日本でも投資に対する機運が高まっている。
それでも、投資なんてギャンブルだ。NISAは政府の陰謀だ。など、否定的な考えもまだまだ多い。
でも実際これからの日本は過去の常識である現金神話からの脱却が絶対に必要だと思う。
少しでも投資に興味を持つ人が増えること、そんな人の正しい入り口になる事実を紹介したい。
「5%で運用できる」って、本当なの?
インデックス投資の話になると、こんなセリフをよく聞く。
「年利5%で運用できるなんて、うますぎる話じゃない?詐欺っぽくない?」
そう思うのであれば、自分で調べてみる。これが大切だ。
インデックス投資の「5%運用」って、むしろ現実的で控えめな期待値だということがわかるはず。
でも、この数字だけポンと出すと、確かに怪しく見えるかもしれない。
特に、貯金しかしてこなかった人には、あまりにも「非日常」に感じる。
実際のデータで見る「5%」
では実際、年利5%ってどうなのか?
新NISAでも2大人気を誇る代表的なインデックスである「S&P500」と「MSCI ACWI」の過去の年平均リターンを見てみよう。(期間:1992年2月〜2025年2月 米ドル建)
・MSCI ACWI
平均年利:9.0%
・S&P500
平均年利:11.2%
つまり、「5%」という数字はむしろ控えめな前提なのだ。
貯金との「見えにくい差」
でも、年利5%と言われても、いまいちピンとこない人も多い。
なぜなら、貯金のように「減らない安心感」は即座に感じられるのに、投資の効果は“時間”が経たないと見えないから。
ここで、複利の力を見てみよう。
📊 100万円を20年間運用したら?
運用年利 | 20年後の資産 |
---|---|
0.001%(貯金) | 100.02万円 |
3% | 約180万円 |
5% | 約265万円 |
7% | 約387万円 |
見ての通り、年利のたった数%の違いが、20年後には倍以上の差になる。
株式投資は複利で増える。これには賛否両論ある。約束された利率があるわけではないことが原因だ。しかし、少なくとも過去の実績では「複利的に価値が上昇してきた」これは事実である。先ほど引用したバックテストのサイトでは、グラフをログ(対数軸)に変換できるが、対数軸で概ね直線的に右肩上がりに増えていれば、それは「複利的に増えている」のである。
僕の理解としては、「企業の成長そのものが複利的である」というものだ。
不安が消えない理由
ここまで聞いても「それでも投資は怖い」と思う人もいる。
それは当たり前。「リターン」には「リスク(値動き)」がつきものだから。
でも、それを「コントロール可能なリスク」にするのが、インデックス投資の真骨頂だ。
- 全世界や米国など十分に分散されたローコストのインデックスに投資する
- 長期投資(20年など)でリスクを抑える
(厳密には株式というアセットのリスクが小さくなるわけではないが、少なくとも過去200年程度の間は20年持ち続けることができれば、どの期間を切り取ってもプラスのリターンになっている。※S&P500や全米株式の場合。) - 積立で買うタイミングを分散
(いずれ投資する予定の資金を分散して積み立てるという意味でなく、収入の中から投資に回せる資金をどれだけ暴落しようが暴騰しようが積み立て続けるという意味)
これらは、誰でも実行できる“しくみ化された”リスクコントロールだ。
「知らないこと」がリスクを大きく見せる
僕は昔、「投資=危険」と思っていた。
でも、今ならわかる。
「危ない」のではなく、「知らなかっただけ」だったと。
まぁ実際過去、ろくに勉強せずに始めた国内個別株投資で失敗を経験して学んだことも大きいかもしれない。
信じる信じないは読者の自由。でも、判断の材料がそろっていない状態で「怖い」と決めつけるのは、もったいない。
もちろんこの記事だけで「そうか、そんなに利益が見込めるなら投資を始めてみよう」というのも危険な思考だ。ちょっとした下落で精神的に生活に支障をきたしたり、狼狽売りで将来の利益を手放すだけでなく、2度と投資を再開できないダメージを負いかねない。
実際に自分でも調べたり勉強したりして、しっかり納得した上で投資を始めて欲しい。
次回予告|「インフレを考えないのは“静かなるリスク”」
貯金が好きな日本人にとって、「お金の価値が下がる」という発想は直感に反する。
でも、インフレという“静かに資産を削るリスク”にどう立ち向かうか?が、次回のテーマです。
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