資産形成に取り組み始めると、「周りの人はどれくらいの年収があるんだろう」なんて気になるものだと思います。実際の資産形成において相対的な評価は意味がないんですが、自分の立ち位置を把握して、倹約や貯蓄に対するモチベーションを上げていこう!というメッセージです。
現在の自分の年収が平均値や中央値より低ければ
「普通より頑張らなきゃいけないな。よし。やるぞ!」
現在の自分の年収が平均値や中央値より高ければ
「油断しないように頑張らないとな。よし。やるぞ!」
そんなポジティブな気持ちが大切です。もし、誰から何を言われようが「普通より全然収入低い😢もうダメだー」となって諦めちゃいそうな人や、「全然中央値超えてんじゃん。資産形成なんて考えなくていいぜ。ヒャッハー!」ってなっちゃいそうな人はスルーしてくださいね。笑
※記事に使用するデータは、以下で公表されている値を用いています。
給与関係:国税庁 令和5年(2023年) 民間給与実態統計調査結果
家計関係:総務省統計局 令和5年(2023年) 家計調査年報
民間給与実態
給与所得者数および給与総額
まずは全体像を把握していきましょう。民間給与、つまり公務員や経営者、フリーランスを除く、いわゆるサラリーマンの給与実態から見ていきます。
給与所得者数:6,068万人(2023.12.31)前年比1.7% 102万人増
給与支払総額:232兆9,072億円(1年間)前年比0.7% 1兆6,432億円増
源泉徴収税額:21兆61億円(同)前年比0.3% 363億円減
はい。数字が大きすぎてイメージ湧かないですね。傾向としては労働人口は増えたが、給与の総支払額はその増加率に届いていない。年収が高い人が退職し、それ以上の人数が新たに職についたという感じでしょうか。税収が減っているところが怖いですねぇ。上げられそうで。。
ではもう少し年数を増やして10年間の推移を見てみましょう。

こうして見ると過去10年間は少しずつ給与総額は上がってきているようです。
控除前の総額に対して税額割合を算出して見せているところが若干悪意を感じますねぇ。笑
税額割合も順調に増えています😢
平均給与
続いて平均給与を見ていきましょう
総合:460万円 前年比0.4%増
男性 :569万円 前年比0.9%増
女性 :316万円 前年比0.7%増
正社員 :530万円 前年比1.3%増
非正社員:202万円 前年比0.7%増
続いてグラフです。

・・・一応、伸びてますね。10年トータルでは9.26%伸びています。
伸び率が折れ線グラフで表されていますが、これはちょっと誤解を生みやすいと思うので念の為書いておきます。伸び率の折線が右肩上がりになっていないと「伸びていない」というわけではありませんので、こういったデータを見るときは注意してください。伸び率はその位置が重要で、仮に毎年1%の伸び率であれば、この折れ線グラフは横一直線になりますが、給与は伸び続けていることになります。(1%の複利計算になる。仮に平成26年の421万円から毎年1%の伸び率を維持したら、令和5年時点では465万円、10年トータルでは10.45%の伸びとなる。)逆にマイナスの位置で横ばいだと毎年給与は減っている。ということになります。
次は同じグラフに別のデータを加えてみます。

これ、なんだかわかりますか?
物価上昇率(インフレ率)です。これも折線にする意味はないんですが、視覚的に比較しやすいよう同じ表現にしました。
これを見ると、給与が伸びてもすぐにインフレに追い越されてしまっています。だから額面収入が多少増えても生活が楽になるような実感が得られない期間がもう長いこと続いているんですねぇ。
日本以外の先進国では、インフレ以上に名目賃金が伸びていますので、日本はどんどん取り残されていくばかりです。
でもこの現実に文句を言っていても何も始まりませんし、個人の努力で日本全体を変えることはできません。今回は自分の日本における現在地を把握することが目的ですので、ここまでは「ふーん。そんな感じなんだ」と、全体感だけ掴んでおけばOKです。
年代別 年収の平均値・中央値
最後は年代別の平均値と中央値を見てみましょう。
年代別年収 | 全体 | 男性 | 女性 | |||
年代 | 中央値 | 平均値 | 中央値 | 平均値 | 中央値 | 平均値 |
20代 | 345万円 | 360万円 | 360万円 | 385万円 | 300万円 | 337万円 |
30代 | 400万円 | 451万円 | 462万円 | 504万円 | 359万円 | 390万円 |
40代 | 450万円 | 519万円 | 550万円 | 601万円 | 380万円 | 420万円 |
50代以上 | 500万円 | 607万円 | 600万円 | 680万円 | 390万円 | 442万円 |
平均値は全体の年収を合計し、人数で割ったもの。中央位は全員を年収順に並べた時に、ちょうど真ん中に並んでいる人の値になります。年収データにおいては基本的に外れ値が上側に存在し、平均値を上げてしまいますので、中央値の方が実感に近くなります。
データからわかること
年代が上がるごとに中央値と平均値の差はその割合が大きくなっていきます。これは、世代が上がるごとに「収入の格差が広がっていく」と考えられます。若いうちの努力が将来大きく影響してきそうですね。年代別データは「給与所得のみではない」ため、本業の昇給・転職・副業など、自分に合う方法を見つけ、収入を上げる行動を起こすきっかけにしてください。
仮に中央値を下回っていても、全然悲観することはありません。だって日本人の半分は自分と同じなんですから。行動を起こすこと。そのモチベーションにしてほしいなと思います。
また、収入が多い・少ないよりも大切なのは支出とのバランスです。いくら稼ごうが全部使ってしまっては資産形成なんてできないですよね?
大切なのは貯蓄できているかどうかです。貯蓄額と負債額についても別の記事で紹介していきたいと思いますので、そちらもぜひ参考にしてください。
まとめ
では今回のまとめです。
日本人の給与所得の全体像と伸び率、年代別の平均年収と中央値についてデータをまとめてみました。
✅ 給与所得者数は約6,000万人で微増
✅ 給与支払い総額も微増しているが、労働人口の増より増加割合は小さい
✅ 給与の平均値は460万円
✅ 年収の平均値・中央値を一覧で確認
繰り返しになりますが、データを見て喜んだり悲観したりするための紹介ではありません。
「自分の立ち位置を把握して、資産形成に向けた具体的な行動に移すきっかけにしてほしい」これがこの記事の目的です。
資産形成では収入だけでなく支出とのバランスが大切です。皆さんも将来に向け、資産形成に取り組んでいきましょう!
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