カテゴリ「サイドFIREへの軌跡」では、僕、飛雄の資産形成実践記を残していきます。
うまく行ったことも失敗したことも包み隠さず残していきますのでよかったら参考にしてください。
※物語調の部分には脚色を含みます。
第1話 飛雄、資産形成の重要性に気づく
出会い
2024年11月。空気が急に冷たくなってきたある日の午後。
スマホにぽんと届いたLINEの通知音が、飛雄の手元で静かに響いた。
──「年末年始どうする?」
高校時代からの腐れ縁、気づけば20年以上も続く“おっさん5人グループ”。その誰かがふと思いついて投げた、たったひと言のメッセージ。だが、それだけで全員が理解した。
(ああ、麻雀の季節か)
予定を合わせて集まって、気づけば日が変わるまで打ち続ける。そんな年末年始の恒例行事が、今年もやってくる。
スケジュールを返信しながら、飛雄の頭の片隅に、ふと夏の記憶がよぎった。
──「最近、資産形成の勉強始めたんだよね」
Uがそう言っていた。あの時は「ふーん」と流した話題。誰も深掘りせず、ただのスモールトークで終わったやり取りだった。
けれど、今は少し違っていた。
(そういえば、うちの子たちももうすぐ社会に出ていく年齢か……)
その一瞬の思考が、思わぬ方向に連れていく。
なんとなく開いたYouTube。検索窓に「資産形成」「ランキング」と打ち込んで、表示された1位のチャンネルを、なんとなくタップした。
……衝撃だった。自分でも驚くほど、引き込まれていった。
「おいおい、何してたんだ俺、この10年」
自嘲めいた気持ちが湧いてきた。まるで、それまでが“止まっていた時間”だったように思えた。
通勤時間、昼休み、夜ベッドに入ってから――気づけば1か月で視聴本数500本。動画1本15分と考えても、1日平均4時間以上。興味を持ったら止まらない性格が、見事に火を吹いた。
スマホでだらだら追っていたエンタメ、何となく続けていたソシャゲ。それらがすべて、「未来の自分を助ける情報」へと置き換わっていった。
そして2024年12月。マッチョなライオン系YouTuberとの出会いが、飛雄の人生を本当に変えていく。
苦い記憶──個別株投資の失敗
動画内で語られていた「増やす力」。
・インデックス投資
・複利の力と72の法則
・長期分散投資
・リターンの相場観
──どれもこれも、自分にとっては未知の世界。だけど、確かに芯が通っていた。
そのとき、胸の奥にしまい込んでいた記憶が、そっと姿を現した。
あれは約20年前のことだった。
「株、ちょっとやってみようかなと思ってさ……。貯金から少し、使っていい?」
仁花は驚いた顔をしたけれど、すぐに笑ってうなずいてくれた。
「今のところ余裕あるし、大丈夫。気をつけてね」
あのときの彼女の優しさは、今でも忘れられない。
そうして飛雄は、元手60万円で株式投資の世界に足を踏み入れる。
ネット証券がようやく一般にも浸透し始めた頃。開設したのは、今でいうSBI証券の前身・イートレード証券だった。
国内個別株を100株単位で購入し、画面に表示される値動きに一喜一憂する日々。まるで、手に汗握るゲームのように夢中になった。
……だが、結果は惨敗だった。
数年後、証券口座の中はきれいさっぱり空っぽ。
仁花には、何も言えなかった。
唯一の救いは、信用取引にもFXにも手を出さなかったこと。ひっそりと株式投資からは卒業した。
あのときの失敗が教えてくれたこと
今なら、あのときなぜ失敗したのか、はっきりとわかる。
- こづかいと投資資金を明確に分けていなかった
- 投資方針がまったくなかった
- 自分のリスク許容度を把握していなかった(というか、その概念すら知らなかった)
特に致命的だったのは、投資用の口座から平気で現金を引き出して使っていたこと。
投資スタイルも定まらず、短期トレードも、長期保有も、配当も、優待も……すべてを狙おうとして、すべてに失敗した。
振り返ってみると、自分は個人投資家の“最適解”から、見事なまでに真逆の道を歩んでいた。
そして今──資産形成の旅が始まる
改めて知った「投資の最適解」。
それは、十分に分散されたインデックスファンドを、できるだけ低コストで、15年以上保有し続けること。
もうすぐ45歳。今からなら、まだ間に合う。だけど、もう後がない。
「なんとか間に合った……かもしれない」
胸の奥で小さくそうつぶやいた。
飛雄はこの日から、「資産形成」という新たな旅に本気で乗り出すことを決意するのであった。
(第1話 完)
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