第10話 NISAをやるかやらないかじゃない。NISAで何を買うかだ。【新NISA解説 その1】

資産形成プロジェクト

「NISAってやってる?」そう人から聞かれたことはありますか?                   「NISAってやった方がいいの?」そう人に聞いたことはありますか?

これ、自分で勉強してすでに投資を始めている人にとって、意外と答えずらい質問なんじゃないでしょうか?僕が実際後輩に聞かれたときは飲み会の席だったので、「やった方がいいと思うよー」とテキトーに流してしまいました。(笑)

日本ではまだまだ投資は世間に浸透していません。日本人が保有する資産のうち、リスク資産は約20%、アメリカの約60%と比べるとかなり保守的といえます。(保険商品含まず)

内閣府 令和6年度 年次経済財政報告

まだまだ「投資なんてギャンブルだ!」とか、「なんか怪しいことやってるんじゃない?」とか思われてしまうことも多いので、あんまり大きな声で語れないんですよねぇ。

でもせっかく勉強してるんだから語りたい!ということで、もし僕がどんなに熱く語っても、全て真剣に聞いてくれる人に全力で答えるとしたら。そんなシーンを想像しながらNISAについて解説してみたいと思います!

第10話 NISAをやるかやらないかじゃない。

NISAってなんスか?

飛雄先輩、NISAってやってます?最近よく聞くし、気になってるんスよね

お、グピ男くん、いいところに興味を持ったなぁ。でもな、NISAをやるかやらないかじゃなくて、NISAで何を買うかなんだ。「やった方がいい」じゃなくて、「やらなきゃやばい」それくらいに考えたた方がいいぞ。

飛雄は嬉々として語り出す。

NISAっていうのはな、正式名称「少額投資非課税制度(Nippon Individual Savings Account)」と言って、年間最大360万円、生涯で1,800万円までの投資で得た運用益を非課税で受け取れる、岸田政権が生み出した最っ高の優遇制度なんだ。

投資ってやったことないんでわかんないんスけど、投資にはそもそも税金かかるってことっスか?毎月天引きで税金引かれてるのにまた株とか買う時に払う消費税みたいなもんスかね?

消費税とは違ってな、「買うとき」じゃなくて、「売るとき」に利益が出ていたら、その利益に対して税金がかかるんだ。今は20.315%持っていかれるぞ。でもNISA口座を開設して毎年もらえる枠内の金額で投資した分は、どれだけ利益が出ても課税されないんだ。しかも2024年からは運用期間が無期限になって、生涯投資枠も大幅に増えたんだ。いわゆる新NISAってやつだな。

へー。(冷めた目)でも株とかギャンブルみたいなもんっスよね?絶対儲かるなんて言えないじゃないスか。

その通り。「絶対儲かる」なんて言ってくる奴は大体詐欺師かぼったくりだから気をつけたほうがいいぞ。でも「ギャンブルみたいなもん」っていうのはちょっと違う。新NISAっていうのは「積立投資枠」「成長投資枠」ってのがあるんだが、特に積立投資枠の方は金融庁が厳選した比較的安全な基準を満たした投資信託しか選べないようになっているんだ。ETFっていうのもあるが、まぁ大体投資信託と同じだな。ちょっとこれを見てくれるか?

出典:「株式投資の未来〜永続する会社が本当の利益をもたらす」ジェレミー・シーゲル著(日経BP)より

これは200年前に1ドルのだった物の価値が200年間でどう変化したのかを表したグラフなんだ。

まじっスか!?株めっちゃやばくないっスか?これなら絶対儲かるじゃないスか。これどこの株っスか?

いやいや焦っちゃだめだぞ。まずどこの株か、この本では言及されていないが、おそらくこれは全米株式の平均値だと言われている。それに横軸が200年だから目立たないが、一度値下がってから元に戻るまでに相当な時間がかかっているところもあるんだ。だからこそ、何を信じてどれだけ長期で運用できるかが大事なんだ。

えーっ!アメリカ全部の株を買うなんて絶対無理じゃないスか。やっぱ俺はコツコツ貯金で頑張るっス。

インフレ怖いっス

結論を急ぐやつだなぁ。(苦笑)株のことは後で話すとして、ちょっと米ドルのグラフを見てくれ。

ん?? 200年前の1ドルがどうなったかなんだから、これって貯金ってことっスよね? 減るわけないじゃないスか。このグラフなんか怪しくないっスか?

確かに200年前に1ドル貯金したら今も1ドル。それは間違い無いんだが、これはインフレ考慮後のグラフなんだ。

インフレってなんか聞いたことあるっスね。はっきりわかんないっスけどなんでしたっけ?

簡単に言えば物価の上昇だな。例えば君はお父さんの初任給を聞いたことはあるかい?君の初任給と比べるとだいぶ安かったんじゃないかな?でも君はお父さんより金銭的にめちゃくちゃ楽な暮らしができていると思えるかい?

そういうことスか。なんとなくわかったっス。物の価値が上がってるから、200年前は1ドルで買えたものが今では1円じゃ買えないってことっスね。なんかマックのハンバーガーとか昔は100円しなかったとか聞いたことあるっス。

そう、それがインフレの怖さなんだ。日本は長いことデフレ、つまり物の価値が下がる期間が続いたからそれが当たり前みたいな雰囲気になっちゃってる。でも経済っていうのは長い目で見たらインフレであることが普通だし、健全なんだよ。行き過ぎたインフレはまずいんだけどね。日本でも日本銀行、日銀が年2%のインフレを目指すことを公言していて、実際にインフレが起きてる。これからは貯金だけでは資産価値が目減りしていく時代に入ったんだ。だから「これからは資産運用が必要」という認識を持って早くから勉強したやつほど有利になっていくんだ。

うーん。確かに物価はどんどん上がっているのに銀行に預けておいても利息は全然つかないし、かといってアメリカ全部の株なんて買えるわけないし。結局詰んでるってことっスか。ちょっとやる気なくなってきたっス。

投資信託ってなんスか?

上がったり下がったり忙しいやつだなぁ。大体なんの話題だったか覚えているか?NISAの話だろ?そこで買えるのが「投資信託」なんだ。

なんか最初の方にチラッと出てきたっスよね?投資信託って何なんっスか?NISAの種類っスか?

いや、NISAってのは制度の名前であって、NISAに投資するってことではないんだ。NISAという制度の枠の中で、「投資信託」を買う。これが非課税で運用するってことだ。しかも投資信託の中には全米どころか全世界の株式を買えるものまであるんだ。

前に言ってた「オルカン」のことだね!世界中の株式が買えるなんてすごいよね!あ、グピ男さんこんにちは。私ももうすぐ社会人になるし、一緒に聞かせてもらってもいい?

冴子ちゃんこんちわっス。もちろんいいっスよ。でも「オルカン」ってなんなんスか?俺より詳しそうっスね。

オルカンっていうのは通称で、オールカントリー、全世界っていう名前がついている投資信託なんだって。名前はなんとなく覚えてるんだけど、前にお父さんに聞いた時にはあんまり興味なかったからちゃんとは分かってないんだよね(*´Д`*)

興味ないとか正直だな(苦笑)。投資信託っていうのは名前の通り「信じて託す投資」ってことなんだ。オルカンであれば、「全世界の株式会社の成長を信じる」ってところになるかな。この言い方だと「インデックス投資」の説明に近いんだけど、基本的にNISAの積立投資枠で選べる投資信託はインデックスファンドだからこんな理解でいいぞ。

ちょちょ、ちょっと待ってくださいよ。いきなり「インデックス投資」とか意味わかんないっス。投資信託の説明聞いてたはずっスよね?

そうだよお父さん。ちゃんとグピ男さんにも理解できるように投資信託について教えてあげて。

分かった分かった。投資信託っていうのは実際には「運用するプロを信じて託す」ってことになるかな。で、インデックスっていうのは、ある基準に沿った範囲の平均を表す指数なんだ。だからインデックス投資は「私たちはこの指数に連動した運用を行います」っていうプロの運用を「信じて託す投資」ってことになる。日経平均とかTOPIXとかは聞いたことあるかな?例えば日経平均であれば、日本を代表する225社の平均株価ってことになる。この指数と同じ値動きを目指すのが日経平均に連動するインデックスファンドなんだ。

ちょっとむずいっスけどなんとか分かったっス。つまり、NISAには全世界の株式の平均になる指数と同じ動きになるような投資信託があるってことっスね!

積み立て投資枠で選べる投資信託ってオルカン以外にもあるんスか?

なんか俺、やっぱ日本人だから日経平均の方が身近に感じるっス。積立投資枠で選べるのはオルカンだけってことはないっスよね?

そうそう。確かあのグラフの株式は「おそらく全米株式の平均」って言ってたよね?

(冴子はいつから聞いてたんだ??)そうだな。もちろん全米株式っていうファンドもある。投資信託はファンドともいうからここからはそう呼ぶぞ。今日本で買えるファンドは実に約6,000本もある。その中から金融庁が厳選した310本が積立投資枠で買えるんだ。 

そんなにあるんスか!?6,000の中からならしゃーないかもしんないっスけど、310じゃあんまり”厳選”って感じじゃないっスね。なんか選び方とかあるんスか?

まず気をつけなきゃいけないのは、どこでNISA口座を開設するかってことだ。というのも、どこでも310本選べるわけじゃなくて、口座を開設した会社によって選べるファンドは違うんだ。これから始めるなら断然ネット証券、おすすめは楽天証券かSBI証券だな。この2社なら基本的に取引手数料はかからないし、選べる種類も多い。ファンドを選ぶ時はまず自分がどんな指数、インデックスなら信じられるかをしっかり考えて、同じ指数に連動するファンドの中から「コスト」が安いものを選ぶのが基本になるかな。

わかったっス。とりあえずインデックスについて勉強してみるんでまた話し聞かせてもらってもいいっスか?

いつでもいいぞ。310本の中には同じ指数に連動する商品も多いから、まずは金融庁のホームページでリストを調べて、「単一指数(株式型)」の中にある指数から勉強してみるといい。これなら10種類程度で済むからな。

りょうかいっす。今日はありがとうございましたっス。またよろしくお願いしますっス!

私も勉強してみよっと。グピ男さん、どのインデックスを信じることにしたか、次の時には教えてね。

第10話 完

まとめ

では今回のまとめです。

  • NISAとは「少額投資非課税制度(Nippon Individual Savings Account)」
  • 年間360万円、生涯1800万円まで、非課税で運用できる制度
  • 積立投資枠と成長投資枠がある
  • 積立投資枠では、金融庁が厳選した投資信託などを購入できる

いやー、まだまだ語り足りないですが、長くなってきたのでここで一旦終わります。次回は、どんなインデックスがあって、どう選べばいいのか。またグピ男くんと冴子にわかりやすく説明していきたいと思います!

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