この春から高校3年になる息子、忠と先日卒業後の進路について話をしました。
高校受験時点から大学進学は視野になく、迷わず工業高校を選択した忠に「やっぱり就職?大学行きたい気持ちとか芽生えてない?」と問いかけたところ、「就職か・・・専門学校とか?」との返答。
専門学校卒が身近におらず、大学進学か就職かの2択しか頭になかった自分には何のアドバイスもできず、曖昧に会話を進めることになってしまいました。
親として反省しつつ「専門学校卒の将来について調べよう」そう決意し、記事にまとめることにしました。
ということで、お金の観点から見た学歴別の将来についてデータをまとめて考察してみます。
進路選択のタイミングを迎える高校生およびその親御さんにとって参考になる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください!
学歴別にみた賃金
学歴・性別・年齢階級別賃金
大卒と高卒を比較したデータはよくみますが、専門学校卒ってデータあるのか?そんなことを考えながら調べていましたが、ちゃんと公式なデータがありました!
厚生労働省が公表している「令和6年 賃金構造基本統計調査」よりデータを引用します。

まずこちらは性別、学歴別の賃金の推移で、調査概要から、残業・ボーナスを含まない月の固定給だとのデータです。
専門学校は特に男女の特徴に違いが見られ、男性は高卒のわずかに上、女性は高専・短大とほとんど変わりません。ただ、このデータを持って「男性は専門学校より短大の方がいい」といった単純な判断はできません。
賃金推移データの考察
注意すべきは、「高専・短大」のラインで、高専は圧倒的に男性が多く、短大は逆に女性が多くなっていることです。
厚生労働省が公表する大学等卒業予定者の就職内定状況の集計において、「母集団の男女構成比から短期大学は女子学生のみ、高等専門学校は男子学生のみを抽出」とされているほどです。
さらに、同じ「専門学校」でも、学科によって男女比にかなりの偏りがあり、女性比率の高い「看護・理学療法・歯科衛生」などの分野で就職後の平均賃金が高くなっていることが考えられます。
学歴別にみた生涯賃金
学歴・企業規模別生涯賃金(退職金含む)
続いて学歴別生涯賃金をみていきましょう。

こちらは『厚生労働省「賃金構造基本統計調査」、「就労条件総合調査」、総務省統計局「国勢調査」』をもとに「独立行政法人 労働政策研究・研修機構」によって作成された、ユースフル労働統計2024より引用しています。
学校卒業後直ちに就職し、60歳までフルタイムの正社員を続け、60歳で退職金を受け取ったのち、平均引退年齢までフルタイムの非正社員を続けた場合の金額となっています。
生涯賃金考察
こちらもやはり専門学校卒は男性が高卒と、女性が短大卒とほぼ同等となっています。男性は企業規模が大きくなると高卒の方が生涯賃金が高くなっており、唯一逆転現象が起きている点が特徴的です。
勝手な想像ですが、企業規模の大きい会社の方が相対的に専門学校卒が少なく、勤続年数の影響が強めに出ると考えられます。
また全体的に、学歴よりも企業規模の方が生涯賃金に与える影響が大きいことが伺えます。
まとめ
お金の面からみた専門学校卒の特徴
平均賃金・生涯賃金について、学歴別に調べた結果、専門学校卒には以下のような特徴が見られました。
✅ 男性は高卒とあまり変わらない
✅ 女性は短大卒とあまり変わらない
✅ 男性の大企業の生涯賃金において唯一高卒との逆転現象が生じている
進路選択に向けて
ここまで調べてみて、専門学校へ進学するなら、「何を学ぶのか」が一番重要ではないかと僕は感じました。もちろんお金が全てではありませんし、「好きなこと」を学ぶのが自分のスキルや価値を高めるためには効率的だと思います。
ただ、こういったことを知って選択するか、知らずに選択するかは大きな違いになると思います。
ぜひ皆さんも親子の対話にこういったデータを使ってみてください。
最後に、生涯賃金データで学歴よりも企業規模の方が大きいことがわかりましたが、今回のデータはあくまで平均値です。たとえ同じ会社でも、評価の高い高卒が評価の低い大卒の収入を上回るなんてことはザラに起こります。単に学歴をどうするかではなく、自分の価値をどうやったら高められるかという視点で選択してもらえると最高ですね!
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