2024年1月からスタートした神制度「新NISA」。投資をしているけど使っていない、そんな人はさすがにいないと思います。でも「よくわからないからなんとなく怖い」という人もいるではないでしょうか。
そこで、政府広報オンラインの解説記事を、さらにわかりやすく解説してみようと思います。制度設計者である政府がなぜ個人の資産形成における最適な使い方を公言できないかについても考察していますので、ぜひ参考にしてください！
その１では、NISAについて学ぶ前に、株式投資の全体像について把握していこうと思います。まずは投資にかかる税金と手数料について学んでいきましょう！
前提
はじめにこの記事の前提です。
資産形成において、預貯金だけでなく投資が重要であると考えている方向けの記事となっています。投資すること自体は「当たり前のこと」として書いていますので、投資そのものに迷っている方には別の情報源で学習されてから読んでいただくことをお勧めします。
その上で、「制度そのものについて理解を深め、最適に利用する」ことを目指す記事となっています。
ベースとなる政府広報オンラインの記事はこちらになります。（これ以降「元記事」と表記します。）
NISAって何？もっとわかりやすく解説【その１】
元記事リード文の勘違いポイント
ではさっそく元記事のリード文から「もっとわかりやすく」みていきましょう。
いきなり勘違いが生まれそうな文章が出てきました！
「より高い利回りが期待できる株式や投資信託への投資」これは次のうち、どのような意味に捉えるのが正解だと思いますか？
1.NISAなら普通の投資より高い利回りが期待できる。
2.預貯金よりも株式や投資信託に投資した方が高い利回りが期待できる。
3.NISAでは債券やコモディティなどには投資できない。
正解は．．．2番です。
この文章はNISAの説明というより、資産形成においては株式や投資信託への投資をした方がいいですよ。という説明になっています。NISA口座で購入しようが、NISAでない証券口座（特定口座など）で投資しようが、同じ商品を買っていれば商品利回りは同じです。
1番は半分正解で、最終的に投資した商品を売却したときに利益にかかる税金まで考慮すれば、結果としてNISA口座の方が利回りが高かった。と言えますが、「NISAの方が利回りが高い投資商品を購入できる」というのは誤った認識ですので気をつけましょう。
税金の話は「同じ商品を買った場合」というのが前提です。よく「NISAやってる？」と聞かれることがありますが、NISAをやっているかどうかではなく、NISAで何に投資しているかの方が重要です。NISA口座を開設する金融機関によって購入できる商品が異なるということも覚えておきましょう。
3番は誤りで、投資信託の中には「バランス型」と呼ばれる株式以外のアセットを含むものがあり、そういったものを選ぶことで、株式以外への投資も可能となっています。
まずは株式投資全体のイメージをつかもう
NISAの説明に入る前に、まずは株式投資全体のイメージを掴みましょう。
株式投資の全体構造を農業にたとえてイメージ図にしてみました。
投資の全体像を農業にたとえたイメージ
野菜や果物、きのこなどがそれぞれ個別の会社の株式、これらを何種類かセットにしたものが投資信託です。
Aさんのように、複数の取引先から別々の作物を購入することもできますし、Cさんのように同じ取引先で複数種類の商品を購入することもでき、この辺は個人の自由です。もちろんBさんのように、自分の畑でとれた作物（＝現金）を銀行の冷蔵庫にしまっておいてもらう（預金）こともできます。
銀行で購入できるのは基本的に投資信託のみで、種類も少ないです。証券会社でも購入できる銘柄の種類は微妙に違ってきます。SBI証券や楽天証券などの大手ネット証券会社では、購入できない商品はほとんどないと思って大丈夫です。イメージ図ではE証券がこれに当たります。また、中身が同じでも、仕入れコストや借地料が違ったりするので、証券口座の開設先の選定はとても重要です。個人投資家なら大手ネット証券が最適解と言えるでしょう。
では、CさんとE証券の取引を例に、購入時と運用中の税金と手数料の流れを見ていきましょう。
購入時と運用中にかかる税金と手数料のイメージ
まず自分の畑でとれた作物＝給与のうち、収入に応じた割合で税金と社会保険料を納めます。会社員であれば天引きされる所得税・住民税などですね。
その後残った作物から生活費を引いた資金で、銀行や証券会社から株式や投資信託＝作物のたねを購入し、購入先の会社と育ててもらう契約を交わします。このとき、たねを仕入れてくる費用などが売買手数料、土地を借りたり、育てるためにかかる手間に対して支払うのが信託報酬のイメージです。
次は売却時にかかる税金と手数料の流れを見てみましょう。
売却時にかかる税金と手数料のイメージ
Cさんは「ピーマンは来年あまり育たないだろう。もしかしたら今より減ってしまうかもしれない」そう考えて、ピーマンを全部売ることにしたようです。これが「利益確定」と呼ばれます。
元々４個だったピーマンは１２個に増えていました。これを売るとき、まず売るために必要な手数料をE証券に支払います。これはたとえ増えていなくても必要です。（ただし大手ネット証券なら売買手数料はかからないことがほとんどです。）
そして、元々Cさんが購入時に支払ったお米で返してもらうのですが、増えていた場合は、増えた分の20.315%を税金として納めます。（特定口座であれば、この手続きはE証券がやってくれます）
もしピーマンが外国製だったら購入したときの米とピーマンの交換レートに差が発生します。これが為替リスクになります。
まとめ
ということでまずは投資の全体像について解説してみました。
NISAという神制度の詳細は次回以降に解説していきます。
・NISAだから利回りが高いわけじゃない。これからの日本での資産形成には株式投資が必要という理由にも次回以降フォーカスしていきます。
これからもぜひ資産形成に取り組んでいきましょう！
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