「新NISA」より先に。45歳で知った10年間の「債務超過」と、2.5倍に化けた14年前のギフト(サイドFIREへの軌跡:第2話)

こんにちは、飛雄です。

「資産形成って、何から始めたらいいんだろう」
「40代から投資なんて、もう遅いんじゃないか」

そんな疑問を抱えている方に向けて、このシリーズでは僕自身の実体験をもとにした資産形成の考え方と行動のポイントをお伝えしていきます。

かつて個別株投資で60万円を溶かした僕のように、投資で失敗したトラウマを抱えている方でも大丈夫です。
「サイドFIREへの軌跡」では、うまくいったことだけでなく、失敗したことや遠回りしたこと、その理由まで包み隠さず書いていきます。

飛雄のリアル資産形成
サイドFIREへの軌跡 - 飛雄のリアル資産形成 45歳から本気で始めた資産形成の記録。合理主義者・飛雄が迷い、考え、修正しながら進むリアルな軌跡です。理論だけではなく実践と葛藤を含めて、同世代の不安に寄り添う物...

前回、20年間の「目隠し」を外して資産形成に向き合う決意をした僕が、最初に取り組んだのは「全力投資」……ではありませんでした。

第2話の今回お伝えするのは、次の3つです。

✅ 2ヶ月の死闘。マネーフォワードMEで「全資産」を可視化する地道な作業
✅ 衝撃の事実。10年以上「純資産マイナス(債務超過)」だったわが家の現実
✅ 14年前の自分からのギフト。拠出金430万円が1100万円に化けていた理由

「世帯年収1000万超えだから、うちは大丈夫」──そんな根拠のない自信が、音を立てて崩れ去った2ヶ月間。
20年前と同じ「ギャンブル」を繰り返さないための、泥臭いけれど避けては通れない、「自分たちの現在地」を知る旅が始まります。

資産形成の必要性に気づいたきっかけは、第1話に書いています。

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どんな人間の実践記なのかは、プロフィールもあわせてご覧ください。

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目次

家計の黒字化を目指せ!|家計簿アプリの導入

家計の現状を把握しよう──だが、その前に詰んでいた

20年間、目隠しをしたまま全力疾走をしていた──。
気づいてしまった以上、まず外すべきはこの目隠しだ。

最初に思いついたのは、「家計簿をつけること」だった。

──いや、無理だ。1秒で却下した。

仁花が、結婚してから何度かトライしては数ヶ月で力尽きていく姿を、僕は隣でずっと見てきた。レシートを毎晩仕分けし、ノートに書き写す。
あの作業が続かないのは、本人の根気の問題ではなくて、人類の根気の問題だ。妻が無理なら、ズボラの権化のような僕に続けられるはずがない。

方針を切り替える。
キャッシュレス化を進めて、家計簿アプリに自動で読み込ませる。
そうでもしないと、続かない。

マネーフォワードMEの導入

お金系YouTuberの多くが勧めている「マネーフォワードME」を、まずは入れてみた。

いくつかの口座を連携した瞬間、画面の有能さに息をのんだ。
通帳と同レベルの入出金履歴はもちろん、データを連携しただけで「家計簿」までほぼ完成形で出来上がっていた。明細を読み込み、支出の分類まで自動で振り分けてくれる。

マネーフォワードMEのホーム画面・家計簿画面・入出金画面のサンプル

──なるほど、これは続けられる。
そう思ったのも束の間、2つの大きな壁が立ちはだかった。

立ちはだかる2つの壁

立ちはだかる2つの壁
  • 無料版ではすべての口座を連携できない
  • 連携に必要なPWがわからない口座の存在

無料版ではすべての口座を連携できない

マネーフォワードMEは無料でも使える。ただし、無料版では口座の連携数に上限があった。
※マネーフォワードMEでは、銀行口座だけでなくクレジットカードや交通系ICなども「口座」としてカウントされます。当時は10口座まで連携可能でしたが、現在の無料版は4口座までです。

夫婦の銀行口座とクレジットカードだけで、軽く上限を超えてしまう。これでは”もれなく”総資産を把握することはできない。

1つ目の壁は、心理的にはあっさり越えた。有料版を導入する──そう決めた。

考えてみてほしい。
「月額500円でうちの家計簿を代わりにつけてくれない?」と頼まれて、快く引き受ける人間がいるだろうか。少なくとも僕は絶対に嫌だ。

固定費はただ削減すればいいというものではない。必要なのは「最適化」。マネーフォワードMEへの課金は「必要経費」だと、自分の中で決着をつけた。

あわせて当時、通信費の見直しも進めていた僕は、東京で一人暮らしをしている娘・冴子のアパートに引いている光回線を「マネーフォワード光」に切り替えることにした。
これでマネーフォワードMEの月額料金が無料になり、通信費の削減にもつながる。今までいかに無駄な固定費を垂れ流し続けていたかを痛感しながら、回線変更の手続きを進めていった。

連携に必要なPWがわからない口座の存在

もう1つの壁は、もっと厄介だった。
──数年間放置され、ログインすら拒絶してくる口座たちの存在。

マネーフォワードMEに連携するためには、各金融機関のインターネットサービスにログインしなければならない。ところが、その入り口で、思わぬ伏兵が現れた。

「確認用の電話番号を入力してください」

──いや、待ってくれ。

登録されているのは、10年以上前に使っていた古い携帯番号だったり、もう存在しない実家の固定電話だったり。
引っ越しや番号変更を何度か繰り返してきたせいで、「どの口座に、いつの時点の番号を登録したのか」がさっぱり分からない。

ログインを試みるたびに「登録電話番号を入力してください」という非情なメッセージが立ちふさがる。画面の前で、僕は膝に肘を立てて頭を抱えていた。

「そんなの覚えてるわけないよ……」

そんな僕を救ってくれたのが、仁花だった。

「あ、その時の番号なら、私の古いメモにあるかも」

引き出しの奥から取り出してきたのは、年季の入った住所録のようなノート。
何年前のものか分からない番号が、几帳面な字で並んでいた。──彼女の驚異的な記憶力と記録力に助けられて、一つひとつ「過去の自分」を証明していく、地道で気の遠くなる作業が続く。

すべての連携が終わるまで、2ヶ月弱。

この『面倒くささ』こそが、家計を無視して走り続けてきた20年間の、利息のついたツケなのだ──ノートを閉じながら、そう思った。

持ち物(銀行口座やクレジットカード)は厳選して、もっとシンプルな家計にしよう──心の中で、そう決めた。

※2026年2月現在、それなりに厳選してきたつもりではいますが、マネーフォワードMEへの連携口座数は夫婦合わせて27口座にものぼっています。

NISA口座が連携できない問題

持ち物の厳選を強く決意したきっかけが、もう1つあった。

地銀で開設した仁花のNISAとiDeCo口座が、マネーフォワードMEに連携できなかったのだ。

NISA、iDeCoともに2026年からは楽天証券に移管済みだが、地銀のNISAで運用中のファンドだけは、いまだに連携できないまま残っている(枠の消費の関係上、売却すると資産形成効率が落ちるため、継続運用を選んだ)。

家計管理・総資産把握という観点では、明らかに管理コストの上乗せ。しかも、ファンド自体にかかるコストも高め。

とはいえ──数あるゴミファンドの中から、「これならギリギリ許容範囲」と言える唯一無二の1本を仁花にすすめてくれた、地銀の担当のお姉さん。あの人にだけは、今も静かに感謝している(笑)


債務超過の衝撃|総資産の把握で見えてくること

2ヶ月弱の連携作業を終え、マネーフォワードMEの「資産」タブを開いた、その瞬間。

背筋に、冷たいものが走った。

──純資産、500万円。
──負債、1700万円。

世帯年収は1000万を超えている。
「うちは、まあ大丈夫だろう」と、根拠もなく信じていた。
でも、画面の数字は、僕の楽観をあっさりと否定してくる。

マイホームを買ってから10年以上、僕は地上数百メートルの暗闇の中、目隠しをしたまま鉄骨を渡っていたのだ。

「高年収」という、細い細い鉄骨。
そこから一歩でも踏み外せば、奈落の底。
マイホームという夢を買ってから10年以上、僕は自分が「債務超過」という名の絶望的な高所に立っていることすら気づかず、目隠しを着けたまま渡り続けていた。

──もしあのとき、会社をクビになっていたら?
──もしあのとき、僕の体が動かなくなっていたら?

後ろから「ざわ……ざわ……」と幻聴が聞こえてくるような、奇妙な恐怖が背中を撫でていく。
インデックス投資で背負うはずのリスクなんて、この「無防備な債務超過」という狂気に比べたら、あまりにも可愛いものだった。

画面を閉じても、数字はしばらく頭から離れなかった。


430万が1100万に化けていた|14年前の自分からのギフト

マネーフォワードMEの導入は、ネガティブな衝撃だけをもたらしたわけではなかった。プラス方向でも、強烈な驚きが1つ。

──14年前の自分からの、ささやかな(しかし大きな)ギフト。

企業型確定拠出年金(DC)の拠出金430万円が、評価額1100万円になっていた。

14年前、制度導入時に説明されるがまま、知識もなく選んだ株式比率高めのバランスファンド。
それが、僕が寝ている間も、働いている間も、コツコツと430万円を1100万円に育ててくれていた。

20年前の僕が失敗したのは、「投資」という手法そのものではなく、『向き合い方』だった。
正しい商品を信じて『待つ』ことの威力を、僕は他ならぬ自分の口座から、無言で教えられていた。

当時の僕の動機は、いま思えばそうとう浅はかなものだった。

「もともと会社が拠出してくれるお金だし、プロが運用するんだから、さすがに自分よりは上手にやってくれるだろう」

──ただ、結果から振り返ると、この「14年間、一切運用状況を確認しなかった」こと自体が、功を奏した。

もし途中で正しい知識のないまま運用画面を開いていたら、上がったときに「利益確定したほうがいいんじゃないか」と思い、下がったときに「売らないともっと損する」と慌て、その都度スイッチング(保有商品を売却し、別の商品に買い替える操作)をしていたはずだ。
途中で何度も触っていたら、おそらく1100万円という数字は残っていなかっただろう。

あらためて自分の選んだ商品を調べてみると、その中身はインデックスファンドの組み合わせだった。
「TOPIX」「MSCIコクサイ」「日本・先進国・新興国の国債」を一定の比率で組み合わせる、ある意味で愚直な構成。

株式比率が異なる他の商品とリターンを比較してみると、株式比率が高い商品ほど、この14年間の運用益が大きいことも確認できた。もちろん、年間の利回りがマイナスだった年があることも、淡々と記録されていた。

──いま勉強し、これから始めようとしている「インデックス投資」の有用性を、僕はすでに自分の口座で体験していたのだ。
この発見が、その後の方針を組み立てるうえで、大きな後ろ盾になった。


まとめ|家計と総資産の把握がもたらすメリット3選

マネーフォワードMEへの連携によって、家計と総資産が見える化できました。これによって得られたメリットは、大きく3つです。

家計と総資産把握のメリット3選

1.固定費の最適化を検討できるようになる
2.自分(家計)にとって最適な「資産配分を設計できる」ようになる
3.リスクを取れる運用資金を把握し、「投資戦略」を検討できるようになる

固定費の最適化検討

実態として何にいくら使っているのか、これが見えるようになると「その支出は自分にとって本当に必要か」を、ようやく具体的に考えられるようになります。
本来は契約する時点で考えるべきことですが、家計の全体像が見えていない状態では、なかなか判断できないものです。

僕の場合は、「通信費の見直し」と「保険の見直し」を優先的に進めるべき、という判断ができました。

資産配分の設計

資産形成や投資について勉強していくと、必ず「生活防衛資金を確保しよう」という考え方に出会います。

そこで疑問に思うはずです。「いくら確保すればいいの?」と。それに対する答えは、多くの場合「生活費の6ヶ月〜2年分程度」というのが主流です。

これだけ聞いて「ああなるほど、じゃあ私の場合は〇〇万円だ」と即答できる方は、おそらく少ないのではないでしょうか。

「何ヶ月分か」については、多くの発信者や書籍がヒントをくれます。けれど、仮に「1年分」と決めたとしても、生活費そのものが把握できていなければ、具体的な金額はどうしても決まりません。家計の把握はメリットというより、むしろ最低限の前提条件と言えます。

投資戦略の検討

家計と総資産を把握し、資産配分の設計ができて、ようやく投資戦略の検討に入ることができます。

僕の場合、投資の勉強を優先しすぎてしまった結果、マネーフォワードMEの連携が完了しきる前に投資をスタートし、DCのスイッチングにまで手をつけていました。

口座連携が落ち着き、半年ほど経って基礎生活費の輪郭が見えてくると、案の定、投資戦略の微修正が必要になります。
幸い、僕の場合は「もう少しリスクを取れる」側の修正で済みましたが、家計と総資産の把握が完了するまでは、自分のリスク許容度を低めに見積もっておくことを強くおすすめします。


次回予告

家計の全貌が見え、ようやく『攻め』に転じることができる──そう思った僕の前に、立ちはだかった存在がありました。それは、月々数万円という多額の現金を、長年にわたって奪い続けていた、わが家の『聖域』でした。

次回、サイドFIREへの軌跡:第3話。
『保険という「聖域」にメスを入れた日|月7万円を奪い続けた「お守り」の正体』

正直、ここが一番、心が削られた回でした。お楽しみに。

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このシリーズで読める他のエピソード

なお、固定費見直しの一環として取り組んだ通信費の落とし穴については、第5話に書いています。
通信費で学んだ意思決定の落とし穴(サイドFIREへの軌跡:第5話)

固定費の見直しが本格化したこの時期、もっとも難しかったのは妻への説明と合意形成でした。とくに保険については第4話で詳しく書いています。
資産形成最大の壁は「妻」だった!? 保険解約で学んだ夫婦の合意形成(第4話)

【免責事項】
本記事は筆者の個人的な見解・実体験にもとづく情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。特定の金融商品・サービスの購入を推奨するものではありません。
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この記事を書いた人

40代から資産形成に本気で取組み
1年で純資産1000万円増を達成。
「今さら遅いかも…」
と不安な方へ、
データと実体験に基づく合理的な資産形成を発信しています。

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