カテゴリ「サイドFIREへの軌跡」では、僕、飛雄の資産形成実践記を残していきます。
うまく行ったことも失敗したことも包み隠さず残していきますのでよかったら参考にしてください。
※物語調の部分には脚色を含みます。
第3話 変額保険、儲かってるけどほんとにいらないの?
飛雄は、静かに書類の山と向き合っていた。
保険の見直し。それは彼にとって、節約という旅路の中でも、最も重たい扉だった。
「2週間後に、A社の営業マンと面談の約束をした。」
その日をタイムリミットと定め、飛雄に課せられたミッションは3つ。
- 加入している保険をすべて洗い出す
- 必要性を精査する
- 妻・仁花との合意形成を図る
まずは全貌を把握することから始めた。保険証券、団体加入の通知書、オンライン契約の控え——ひとつずつ掘り起こしていく。
出てきた契約内容は、予想を超えていた。
【飛雄が契約していた保険一覧】
団体保険(勤務先経由)
・医療保障(ファミリータイプ)
・掛け捨て生命保険(余剰金割戻あり)
A社
・変額保険(終身型)
・生前給付(終身型、ドル建て×2:夫婦)
・収入保障保険
・医療保険×2
・一時払変額終身保険
B社
・学資保険(長女:冴子)
C社
・学資保険(長男:忠、団体扱い)
D社
・自動車保険×2
「……こんなに入ってたのか。」
驚きと共に、何とも言えない後悔がこみ上げてくる。
どれも「万が一のために」と思って契約したものばかりだったが、冷静に見ると、その“万が一”に対する準備が過剰すぎるのは明らかだった。
たとえば、10年以上継続してきた医療保険。
使った記憶はほとんどない。加入当時は高額療養費制度も、勤務先の付加給付も知らなかった。
団体保険と保障内容が被っていることに、ようやく今、気づく。
「完全に、知識不足だったな……」
一方で、収入保障保険はローン残高と連動するよう設計されており、目的と内容が一致していた。「これは残しておくべきだ」と、数少ない“合格ライン”の契約だった。
だが、飛雄を最も悩ませたのは——変額保険だった。
儲かってる。けど、それって得してるってこと?
変額保険の評価額には、しっかりと含み益が出ていた。
「利益が出てるものを解約するのか?」という感情が湧き上がる。が、それと同時に、ある不安も頭をよぎる。
「この利益って、ほんとに“得”してるって言えるのか?」
答えを求め、飛雄はYouTubeに答えを探しにいく。
投資系のチャンネルをいくつか見た後、ある動画が飛雄の思考を一瞬で塗り替えた。
「貯蓄型保険なんてゴミやで!ぼったくり投資信託と、うっすい保険のセット販売やからな。混ぜるな危険やで〜」
——衝撃的だった。
だが、その雑味の強い関西弁の裏に、理屈があった。
「これは投資であって保険ではない」「同じ投資商品と比較してどうか?」——その視点が、飛雄には欠けていた。
変額保険 vs. 確定拠出年金(DC)
比較対象として浮かんだのは、勤務先の「確定拠出年金(DC)」だった。
たまたま開始時期がほぼ同じで、16年が経過している。
- DCの年利:約11%
- 変額保険の年利:約6.7%
DCは債券を含むバランス型。
変額保険は株式100%のリスク運用。にもかかわらず、年利で4%以上の差があるということは——それだけ保険会社に“手数料”を抜かれていたことを意味する。
「これは……まさに“ぼったくり投資信託”だな」
感情はすっと引き、代わりに数字が語り始める。
ETFとの比較と試算
投資対象がほぼ「全世界株式」と同じだったため、ETF(銘柄コード:1554)とも比較してみる。
10年間で約2.645倍に成長し、年利換算で10.22%。
これを元に、月2万円×10年で計算すると以下のとおり。
- 変額保険:元本240万円 → 総額340万円(運用益100万円)
- ETF:元本240万円 → 総額415万円(運用益175万円)
差額は約75万円。
保険という名の“運用商品”で、これだけの差が出る——この事実を前に、「利益が出ているから良し」とは、もはや言えなかった。
冷静な比較こそが、判断力になる
「加入当初は、お金を増やせる“お得な保険”だと思ってた。でも、本質は投資だったんだ」
保険と投資の“混ざった商品”は、その性質上、判断を鈍らせる。
しかし、それこそが販売側の狙いであり、買う側が乗ってはいけない幻想でもある。
飛雄は、ようやくその幻想を一枚ずつ、はがす作業に入ったのだ。
第3話 完
変額保険の見直し・評価方法は、こちらの記事でもう少し詳しく書いています。
ぜひ合わせて読んでみてください。
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