オルカンの実質コストはいくら?NISAで買える20本を比較、迷ったらこの2本【2026年9月】

オルカンに投資すると決めたあと、最後に立ちはだかるのが「どのオルカンを買うか」です。

NISAのつみたて投資枠で買える全世界株式ファンドは、なんと20本。
「同じ指数に連動するのに、何が違うのか?」
「結局どれを買えばいいのか?」

この記事では、2026年9月の最新データ(投資信託協会の基準価額)と、各ファンドの最新の運用報告書(実質コスト)を使って、その答えをはっきり出します。

結論から言うと、eMAXIS Slimか楽天オルカンの2本から選べば間違いありません。

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目次

結論:オルカンで迷ったらこの2本でOK

迷ったらこの2本

✅ 王道:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
 → 迷ったらコレ。最安コスト×純資産最大の本命。
✅ 対抗:楽天・プラス・オールカントリー(楽天オルカン)
 → 楽天カードで積み立てるならコレ。成績の小さな遅れを、ポイントで取り返せる人向け。

主要5本を比較した結果がこの表です。

ファンド信託報酬
(税込・年率)
実質コスト
(総経費率)
純資産総額直近1年の傾き
(対Slim)
僕の評価
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
2018年設定
0.05775%0.07%
(第8期)
14.01兆円基準(0)◎ 本命。最安クラスタ×規模最大
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド
2023年設定
0.0561%
(5本中最安)
0.08%
(第3期)
1兆431億円▲0.06pt/年
(初年度のあとも小さく開いている)
○ 対抗。楽天カード積立のポイントで取り返せるなら
たわらノーロード 全世界株式
2019年設定
0.10989%0.14%
(第7期)
3,917億円▲0.08pt/年
(一直線に開き続けている)
✗ コストも傾きも一段劣る
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)
2023年設定
0.05775%0.07%
(第3期)
1,823億円▲0.02pt程度
(ほぼ0)
△ 成績は互角。規模で一段譲る
Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)
2023年設定
0.05775%0.12%
(第3期)
131億円ほぼ0✗ 規模が小さく、選ぶ理由がない

※ 信託報酬は各社公式データ、純資産総額は2026年9月28日時点の投資信託協会データ。「傾き」は分配金再投資ベースの基準価額をeMAXIS Slimと直接比較したときの年率の差(詳しくは本文の図③)。実質コストは各ファンドの直近交付運用報告書に記載の総経費率(信託報酬に保管費用・監査費用などを加えた年率換算値。売買委託手数料と有価証券取引税は含まれません)。決算期はファンドごとに異なるため時点は揃っていません。

このどちらかを選べばOKです。
それ以上の最適化は、正直ほぼ誤差です。

逆に、やらなくていいこともはっきりしています。

  • 信託報酬の0.01%差で悩み続ける
  • 新しい低コストファンドが出るたびに乗り換えを検討する
  • 短期の成績で優劣を判断する

これらはリターンにほぼ影響しません。
むしろ、悩んで積立開始が遅れることのほうがよほど高くつきます。

👉 大事なのは「どれを買うか」より「早く始めて、長く持つこと」。

ここから先は、この結論の根拠です。
「なぜ言い切れるのか」を、実際のデータで確かめたい方だけお付き合いください。

オルカン20本は、実質5本に絞れる

つみたて投資枠の全世界株式は20本ありますが、最初に絞り込みをかけます。

行動経済学では「選択肢が多すぎると人は選べない(ジャムの法則)」と言われています。
20本を1本ずつ検討するのは、時間の無駄です。

絞り込みの基準は2つだけです。

  1. 信託報酬が最安クラスタ(年0.06%未満)にあるか
  2. 次のコスト階層では、純資産が最大の代表だけ見る

この基準で残るのが、次の5本です。

絞り込みファンド
最安クラスタ(0.06%未満)eMAXIS Slim/楽天オルカン/はじめてのNISA/Tracers
次の階層の代表(0.11%)たわらノーロード 全世界株式

残りの15本は、同じ指数(MSCI ACWI)に連動しながらコストだけが高いファンドです。
同じゴールを目指す徒競走で、重りを背負って走る理由はありません。

ここからは、この5本を「実際の運用成績」で比較していきます。

オルカンの生チャート比較は“騙される”

最初に、よくある失敗から見せます。
各社の公式サイトで見られる基準価額のチャートを、そのまま5本並べた図です。

NISAオルカン主要5本の基準価額チャートをそのまま並べた比較。設定日の違いだけで大差がついて見える
図①:基準価額をそのまま並べた比較(各社公式・投資信託協会データ・2026年9月28日時点)

一見、Slimが圧勝で、たわらが2位、楽天オルカンは最下位に見えます。

でもこれ、運用のうまさは1ミリも関係ありません。

カラクリは設定日です。
基準価額はどのファンドも1万円からスタートするので、古いファンドほど複利の年数が長く、上にいるだけです。
2018年生まれのSlimと2023年生まれの楽天オルカンでは、複利の年数が5年違います。
生チャートの差は、その5年ぶんです。

そこで、5本が揃う2023年10月末を「100」として、同じスタートラインから比較し直します。

2023年10月末を100として起点を揃えたオルカン5本の値動き比較。5本がほぼ1本の線に重なる
図②:5本が揃う2023年10月末を100として起点を揃えた比較

5本がほぼ1本の線に重なりました。
2.9年でついた差は、最大でもわずか1.1(100に対して)。

「なんだ、全部同じじゃないか」と思うかもしれません。
でも、その結論はまだ早いです。

この「わずかな差」の中に、見逃してはいけないシグナルが隠れています。

差だけを取り出すと、“傾き”で本当の差が見える

まず、なぜ基準価額で比較するのかだけ押さえてください。
信託報酬も、売買コストなどの“隠れコスト”も、すべて毎日基準価額から差し引かれています。
つまり基準価額の比較は、全コストと運用のうまさを込みにした「最終結果」の比較です。
目論見書のコスト表記を見比べるより、よほど正確です。

ここからが、この記事の核心です。
本命のeMAXIS Slimを基準(0)として、各ファンドとの差の推移だけを抜き出しました。

eMAXIS Slimを基準としたオルカン4本の相対パフォーマンス推移。設定来の全期間と直近1年の傾き(回帰直線つき)
図③:eMAXIS Slimとの差の推移(上段:設定来の全期間/下段:直近1年と回帰直線)

注目すべきは、終点の位置ではなく「傾き」です。

たわらは、毎年▲0.1pt弱ずつ一直線に開き続けています。
直近1年の傾きは年▲0.08pt(図③の下段パネル)。
ブレのない一直線で、これは偶然のノイズではなく、コスト差がそのまま出続けている「本物の差」です。
毎年▲0.1pt弱は小さく見えますが、30年続けば100万円あたり約▲2.5万円。
複利は、味方にも敵にもなります。

楽天オルカンについても、正直に書いておきます。
設定来の累積(上段の▲0.50)のうち、大きく開いたのは純資産がまだ小さかった設定直後の1年です。
ただ、その後も差はゼロになっていません。

直近1年の傾きは年▲0.06pt。
設定1年後からの約2年で測ると年▲0.07〜0.09ptで、たわらに近いペースです。
実質コストの差(0.08%と0.07%)で説明できるのは0.01pt分だけ。残りは、指数への連動のズレです。

100万円あたりにすると、年600〜900円です。
一方、楽天カードで積み立てると、積立額の0.5%のポイントが付きます。月10万円なら年6,000ポイント。
残高がおよそ850万円になるまでは、ポイントのほうが大きい計算です。

はじめてのNISAとTracersは、Slimとの傾きがほぼ0。
つまりSlim・はじめてのNISA・Tracersの3本は、運用成績では見分けがつきません。

ここで、この比較をする人がやりがちな罠をひとつ。
設定来の累積リターンだけでファンドを判断しないでください。
新しいファンドほど、初期の小規模期の誤差で累積順位が歪みます。
これから買う人・積み立てる人にとって意味があるのは、過去の累積ではなく「収束したあとの直近の傾き」です。

「どこまでが誤差で、どこからが実力か」は、リスク=振れ幅の話とつながっています。

→ 投資の「リスク」とは標準偏差|“危険”ではなく“振れ幅”

オルカンの実質コストはいくら?最新の運用報告書で“答え合わせ”

ここまでの傾き比較は、実質コストを引かれたあとの成績、つまり「答え」を見てきました。

では、その実質コスト自体は何%なのか。
各ファンドの最新の運用報告書に載っている総経費率(監査費用や保管費用まで含めた、1年間に実際にかかったコストの率)を並べておきます。

ファンド総経費率対象期間(決算日)
eMAXIS Slim 全世界株式0.07%第8期(2026年4月27日)
楽天・プラス・オールカントリー0.08%第3期(2026年7月15日)
はじめてのNISA・全世界株式0.07%第3期(2026年6月3日)
Tracers MSCIオール・カントリー0.12%第3期(2026年5月18日)
たわらノーロード全世界株式0.14%第7期(2025年10月14日)
※各社の交付運用報告書より(2026年9月30日確認)。決算月がファンドごとに違うため、対象期間は揃っていません

注目してほしいのは、eMAXIS Slimの数字です。前の期(第7期)は0.08%でしたが、最新の第8期で0.07%に下がりました。
この1年で純資産が5.3兆円から11.3兆円へほぼ倍増し、監査費用のような固定費が薄まった結果です。
「規模が大きいほど実質コストは下がる」——次の章で書いている理屈が、そのまま数字で答え合わせされた形です。

逆の例も、この表の中にあります。Tracersです。
信託報酬ははじめてのNISAと同じ0.05775%なのに、総経費率は0.12%と2倍近い。
差の中身は保管費用や印刷費用などの「その他費用」で、純資産112億円の規模では、この固定費が薄まらないのです。

👉 実質コストは、契約で決まる数字ではなく、規模がつくる結果です。

だからこそ、目論見書の信託報酬の安さだけで選ぶのは危うい。そして、規模がここまで効くのなら——次はその「規模」と「使い勝手」を正面から見ていきます。

運用成績で選べないなら、「規模」と「使い勝手」で選ぶ

ここまでの結果を整理すると、こうなります。

  • たわら:実質コストも傾きも一段劣る → 外す
  • 楽天:小さく遅れるが、ポイントで取り返せる範囲
  • はじめてのNISA・Tracers:運用成績ではSlimと見分けがつかない

では何で選ぶか。
僕の判断軸は「①純資産の規模 → ②使い勝手」の順です。

まず規模。

ファンド純資産総額(2026年9月28日時点)
eMAXIS Slim14.01兆円
楽天オルカン1兆431億円
はじめてのNISA1,823億円
Tracers131億円

純資産が大きいほど、繰上償還(ファンドの強制終了)のリスクが遠ざかります。
実質コストが下がる理屈は、前の章で見たとおりです。
Slimの14.0兆円は国内投信で頭ひとつ抜けた規模で、楽天オルカンも1兆円を超えました。
正直、この2本に規模の不安はありません。
はじめてのNISAとTracersは成績こそ互角ですが、規模であえて選ぶ理由がないというのが僕の評価です。

→ 繰上償還=ファンドの強制終了。避けられるファンドの見分け方

次に使い勝手。

  • 楽天証券で楽天カード積立をする → 楽天オルカン(ポイントで成績の遅れを取り返せる範囲なら)
  • それ以外(SBI証券など) → eMAXIS Slim(SBIなら保有ポイントも付きます)

楽天オルカンの場合、ポイントは「おまけ」ではなく、成績の小さな遅れを埋める役割です。
残高が大きくなってきたら、新しい積立先をSlimに切り替える手もあります。

👉 運用成績では選べない。だから「規模」と「使い勝手」で決めて、さっさと積立を始める。

📚 ここが気になった人へ「オルカン1本を決めて、あとは触らない」。この記事の結論を、口座の選び方から取り崩しまで含めて1冊にしたのがこの本です。

※ 下記リンクは成果報酬型広告です。遷移先はAmazon・楽天の公式サイトです。

コスト差が長期でどう効くかは、自分の金額で確かめるのが一番納得できます。

記事で比較した「傾き」(たとえば、たわらの年▲0.1pt弱)が、長期の資産額にどう影響するか確かめてみてください。
「年率コスト」欄に傾きの分を上乗せして入力すると、差の複利効果が体感できます。

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この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー(FP技能士)|東証プライム上場企業の会社員。
40代から資産形成に本気で取り組み、1年で純資産1000万円増を達成。
「今さら遅いかも…」と不安な方へ、データと実体験に基づく合理的な資産形成を発信しています。

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