こんにちは、飛雄です。
「資産形成って、何から始めたらいいんだろう」
「40代から投資なんて、もう遅いんじゃないか」
そんな疑問を抱えている方に向けて、このシリーズでは僕自身の実体験をもとにした資産形成の考え方と行動のポイントをお伝えしていきます。
かつて個別株投資で60万円を溶かした僕のように、投資で失敗したトラウマを抱えている方でも大丈夫です。
「サイドFIREへの軌跡」では、うまくいったことだけでなく、失敗したことや遠回りしたこと、その理由まで包み隠さず書いていきます。
前回、固定費の中でも最もインパクトの大きい保険の見直しを行い、妻との合意形成も進めました。
それと並行して、もう1つの大物にも手をつけていました。──通信費の見直しです。
固定費の削減は、早ければ早いほど効果が大きい。これは資産形成において、ほぼ間違いのない事実です。
実際、今回の見直しで、通信費は大きく下がりました。
──それでも、いま振り返ると、この意思決定は決して合理的とは言えませんでした。
今回得たのは「節約効果」だけではなく、それ以上に大きな“意思決定の失敗経験”でした。
第5話の今回は、通信費の見直しを通して見えてきた、次の3つを整理していきます。
✅ なぜ最適化できなかったのか
✅ なぜ合理的に見えて失敗だったのか
✅ 最初の一手で間違えないための考え方
どんな人間の実践記なのかは、プロフィールもあわせてご覧ください。
とりあえず変えた。安くはなった。
保険の見直しがひと段落して、次は通信費だ。
──スマホ代も、下げられるよな。
そんな軽い気持ちで、調べはじめた。
格安SIMにすれば安くなるらしい。ただ、”格安”といっても種類がある。
──大手キャリアのサブブランド、それと、いわゆる純粋な格安SIM。違いがあることはなんとなく頭に入ったが、正直、そこまで深くは調べなかった。
年末年始だった。
長女・冴子が帰省してきていて、リビングが少しだけ賑やかな期間。
──家族みんなのスマホをまとめて切り替えるなら、冴子がいるうちに済ませたい。
そう思った瞬間から、頭の中で、勝手にカウントダウンが始まっていた。「決めなきゃ」「動かなきゃ」。
──いま思えば、これがすでに、最初のつまずきだった気がする。
「とりあえず一度、話を聞いてみるか」
そう考えて、家族で近所のauショップに向かった。
店員の説明は、丁寧だった。
──不快なところは、ひとつもない。
提示されたのは、auからの乗り換え先としてのUQモバイル。「今よりは確実に安くなりますよ」と、感じよく数字を見せてくれる。
──まあ、そりゃそうだよな。
頭の中で頷きながら、納得感だけは順調に積み上がっていく。
話は、自宅回線にも自然に広がる。
「ちょうど今、こちらの光回線でキャンペーンをやっていて……」
提示されたのは、コミュファ光。
1年間は大きく安くなり、スマホとセットでさらに下がる。
──”それなりに合理的な選択”に、見えた。
僕は、その場で、乗り換えを決めた。
家に帰ったときには、もう、契約書類のコピーが、リビングのテーブルの上に置かれていた。
──このときの僕は、それで「ちゃんと動いた」と思っていた。
けれど時間が経つにつれて、少しずつ、その自信が削られていくことになる。
見えなかったコスト:「2年後に、もう一度やり直す」
乗り換えからしばらくは、なんの問題もなかった。
通信費は確かに下がった。
光回線×2、モバイル回線×4で、合計38,000円が、13,000円にまで圧縮された。月25,000円の削減。──「うまくいった」、本気で、そう思っていた。
けれど、時間が経つにつれて、少しずつ違和感が滲み出してくる。
UQモバイル。確かに安くなった。
でも、ネットでいろんな人の話を読み込んでいくと、これが”最安”ではないことが見えてくる。
──もっと安く、できたんじゃないか?
そう思いはじめた頃、もう1つ気になることが浮上してきた。コミュファ光の契約だ。
キャンペーンが終わった後の料金。
そして、解約・乗り換えのタイミング。
──”いいタイミングで動かないと損をする構造”になっていることに、契約してから何ヶ月も経って、ようやく気がつく。
コミュファ光は、いつでも自由に乗り換えられるわけじゃない。
解約のタイミングを間違えれば、違約金がかかる。「今すぐ変えたい」と思っても、動けない。
──あれ?
一瞬、思考が止まった。
安くするために選んだはずなのに、自分のタイミングで動けなくなっている。
気づいたとき、なんとも言えない肌寒さが、背中をすっと撫でていった。
今回の一番の失敗は、ここにあります。
「2年後に、もう一度見直しが必要になる構造を、自分で作ってしまったこと」
ここで言うコストは、お金だけではありません。
調べ直す時間、比較する労力、意思決定のストレス。
──こうした”見えないコスト”が、後から確実に効いてきます。
実はこの構造、通信費だけではありません。固定費の中でも、特に大きくなりやすいのが保険です。
→ 保険を見直したときの具体例はこちら
「店に行く」という時点で負けていた
違和感の正体を掴みたくて、契約書類の控えを引っ張り出した。
テーブルに並べて、もう一度、最初から目を通していく。
そこで、ようやく気づいた。
携帯のほうは、いつでも乗り換えられる。
けれど、光回線は違った。
解約のタイミングを間違えれば、違約金と、工事費の残債。
──まとめて請求される構造になっていたのだ。
セット割を選んだ瞬間、動けるはずの携帯まで含めて、僕の意思決定は、光回線の契約期間に縛られる側に回っていた。
auショップに足を踏み入れた時点で、提示される選択肢は限定され、比較対象は”市場全体”ではなく”その会社の中”だけになっていた。
そもそも、自分の支出構造を把握していない状態では、正しい比較すらできない。
店員さんは親切でしたし、説明も丁寧でした。
──ただ、それは当然です。彼らの役割は「最適解の提示」ではなく、「自社商品の販売」なのだから。
つまり僕は、選んでいるつもりで、選ばされていました。
──そのことに、僕は何ヶ月も気づけなかった。
気づいた頃には、もう、コミュファ光の契約期間という名の檻の中にいた。
一番の問題は、「何を選んだか」ではなく、
どこで意思決定したか──ここが、すべてだった。
「選ばされる」を成立させていた構造
ここから少し、当時の自分が見落としていた仕組みを、いま分かる範囲で言葉にしておきます。
同じ場所に立たされる人が、ひとりでも減るように。
商流を見ないと、最適化はできない
通信サービスはシンプルに見えて、その裏側はかなり複雑です。
大手キャリア、サブブランド、格安SIM。さらにその裏には、回線の貸し借り、販売代理店、インセンティブ設計といった構造が控えています。
そして本当に重要なのは、この構造の中で「誰が得をする設計になっているか」を見極めることです。
ショップで提案されるプランは、構造的に、その会社にとって「売りやすく」「利益が出やすく」「契約を維持しやすい」ものに偏ります。
つまり、“一番合理的な選択肢”ではなく、”最も売りやすい選択肢”が提示されているのです。
ここを理解しないまま選ぶと、合理的に選んだつもりでも、構造的に最適解から外れた場所に着地してしまいます。
キャンペーンの正体は「未来の拘束」
コミュファ光の契約も、同じ構造でした。
1年間は安くなり、今より確実に下がる。
──これは一見、合理的な判断に見えます。けれど冷静に考えると、ひとつ素朴な疑問が浮かびます。
──なぜ、そこまで安くできるのか?
答えはシンプルです。「その後に回収する前提だから」。そして、「簡単に解約されない構造になっているから」。
つまりキャンペーンとは、“未来の自由を担保にした割引”でした。
なお、規制の進んだ携帯回線(モバイル)側は、2019年・2022年の電気通信事業法改正で2年縛りや高額違約金が実質撤廃されました。一方で、光回線側は2022年の改正で違約金が月額料金1ヶ月分に制限されたものの、契約期間の縛りと工事費の残債は引き続き解約コストとして残っています。
つまり「セット割」とは、規制で縛れなくなったモバイル契約を、まだ規制が緩い光回線の契約期間に紐づけて、もう一度縛り直す仕組みでした。
失敗の正体:「合理性」と「自由度」のトレードオフ
今回の判断は、月々の固定費を減らすという意味では、間違いなく”合理的”でした。
今より安くなる。説明にも納得できる。──そこまでは事実です。
しかし長期で見ると、そこには別の顔がありました。
- 最安ではない
- 柔軟に動けない
- 解約のタイミングに縛られる
──短期の合理と引き換えに、自由度を差し出していた。それが、今回の判断の正体でした。
本当の学び:最適よりも「選び直せる状態」を
今回の経験から得た結論は、シンプルです。
最適な状態を目指すよりも、「いつでも選び直せる状態」を優先する。
そのための1つの方法が、最初は極端に振ることです。
- まずは最安レベルに寄せる
- 実際に使ってみる
- 本当に不便を感じた部分にだけ、お金を足す
この順番なら、無駄なコストを抑えながら、自分にとっての最適に少しずつ近づいていくことができます。
途中で気が変わっても、構造的に「動ける状態」がキープされているので、痛みが小さい。
──今回の僕は、その逆を踏んでしまったわけです。
まとめ
固定費の見直しは、早くやるほど効果が大きい。これは間違いありません。
ただし計画が甘いと、再変更・時間・思考コストといった、別の負担を後から生んでしまう可能性があります。
そしてもう1つ、大事なことがあります。
合理的に選んだつもりが、”選択肢を減らす選択”になってしまうことがある。
だからこそ、一度で当てに行こうとしない。後からでも動ける余地を残しておく。
──この考え方が、結果として最短ルートになります。
通信費の見直しは、僕にとって、その最初の練習でした。
決して気持ちのいい練習ではなかったけれど、ここで踏んだ落とし穴は、その後の意思決定の前にいつも顔を出してくれる、いい先生になっています。
次回予告
固定費まわりの土台が見えてきたところで、いよいよ「攻め」のフェーズに入っていきます。
次回は、新NISAをどの証券会社でやるべきか──知らずに損をした僕の失敗と、契約後に見えてきた「見えないコスト」の話です。
→ NISAはどの証券会社でやるべきか|知らずに損した僕の失敗と「見えないコスト」(サイドFIREへの軌跡:第6話)

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本記事は筆者の個人的な見解・実体験にもとづく情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。特定の金融商品・サービスの購入を推奨するものではありません。

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