こんにちは、飛雄です。
ここまでの話で、
・保険の見直し
・家族との合意形成
・証券会社選びとNISA口座の移管
と、投資を始める前の「準備」を積み上げてきました。
→ NISAはどの証券会社でやるべきか|知らずに損した僕の失敗と「見えないコスト」(第6話)
ここからは、いよいよ「何を買うか」の話に入ります。
ただ、本を読んで知識を入れただけでは、実際には動けませんでした。
画面の前に座って、自分のお金で数百万円を動かそうとしたとき、頭の中は混乱一色になる。
今回は、
「オルカンかS&P500か」で3ヶ月間迷い続けた末に、「口座ごとの税優遇」という視点で自分なりの方針を固めた
そんな体験をまとめます。
口座は整った。でも「何を買えばいいか」が、ない
2024年12月。
楽天証券への移管が、ようやく完了した。
保険の解約、妻・仁花との長い対話、証券会社の比較検討——。
ここまで来るのに、思いのほか時間と体力を使った。
でも、ようやくスタートラインに立てた気がした。
環境は整った。
口座もある。お金もある(保険の解約返戻金として、約500万円が手元に戻ってきた)。
毎月の積立設定も、NISAのつみたて投資枠に月10万円でセットした。
あとは「買うだけ」のはずだった。
——ところが、そこで僕は止まった。
「何を、買えばいいんだ?」
インデックス投資が合理的だということはわかっている。
手数料が低く、長期で持てば市場平均のリターンが得られる。
その原則は、本を読んで頭に入っていた。
でも、「インデックス投資」と言っても、選択肢がある。
全世界株式インデックス(いわゆるオルカン)か、米国株式インデックス(S&P500)か。
これが、決まらなかった。
200年グラフが、頭から離れない
書棚には山崎元さんの本が2冊あった。
『ほったらかし投資術』
『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』
どちらにも、同じことが書いてある。
「全世界型の株式インデックスファンドを買いなさい」と。
頭ではわかっていた。
でも、別の情報が目に入ってくる。
ジェレミー・シーゲルの研究だ。
株式の超長期リターンを見ると、その中でも圧倒的な実績を持っているのはアメリカ株——S&P500——だという。200年単位のデータが、そう語っていた。
「全世界型」にアメリカが含まれているのはわかってる。
でも、アメリカ一強のデータを目の前にしたとき、頭のどこかで声がする。
「S&P500の方が、これまでリターンが良かった。これからもそうなるんじゃないか?」
「過去リターンで選ぶのは非合理だ」——そんな原則も知っていた。
でも、知っていることと、感情が動かないことは、まったく別の話だった。
オルカン・S&P500それぞれのリターンとリスクの違いは、数字で比較しています。
→ オルカン・S&P500・NASDAQ100の違い|リターンと“ブレ”を数字で比較して合理的に選ぶ
500万円が動いた夜——そこから、3ヶ月の迷い
年明け、1月。
悩んでいても仕方ない。まず動こう、と決めた。
NISA成長投資枠(年間240万円の一括枠)を使って、保険の解約返戻金を投資に回す。
方針はこうだ——山崎元さんが言っている通り、「オルカン」を中心に。
成長投資枠で発注すべく、購入画面をひらく。
1月6日。
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド、50万円分を購入した。
翌7日、さらに50万円。
15日、100万円。
1月6日・7日・15日と、資金移動が可能になった都度オルカンを買い増した。合計200万円。
——そこで、止まった。
成長投資枠の残り枠は、まだ40万円ある。
画面の前に座ったまま、僕は固まっていた。
「ジェレミー・シーゲルの200年グラフでも、結局株式はS&P500が強いんじゃないか。それを信じているなら、やっぱりS&P500の方がリターンがいいんじゃないか。でも結構オルカンにすべきって意見もあるしなぁ、どーしよーーーー。」
迷いの奥から、一つの答えが立ち上がってきた。
「……もしS&P500のリターンの方が良かったら、後悔するはずだ。
やっぱりS&P500にしよう。」
1月17日、残り40万円でS&P500を購入した。
さらに同じ週、特定口座にも100万円のS&P500を入れた。
「合理的に考えた結果、オルカン」。
「感情が動いた結果、S&P500も」。
ポートフォリオは、その夜、ちぐはぐな状態でスタートした。
そして、迷いはそこで終わらなかった。
2月12日。特定口座にS&P500をさらに100万円。
「やっぱりS&P500一本でいくべきだったか」という気持ちと、「いや、オルカンも正しいはずだ」という気持ちが、毎月交互にやってくる。
3月24日には、ついに特定口座でオルカン30万とS&P500 20万を、同じ日に両方購入した。
迷っているというより、もう諦めに近かった。
「どっちも買えばいいじゃないか」という、答えを出さないための答えだった。
取引履歴を振り返ると、移管完了から3ヶ月以上、僕はずっとこの状態だった。
まとめて買うべきか、分けて買うべきか——その問いへの答えはこちらで整理しています。
→ 「時間の分散」はただの気休め?合理的な投資家が一括投資を好む、これだけの理由
腹落ちした、「口座の優遇度合い=リスクのプラスシフト」という考え方
転機は、YouTubeを見ているときに来た。
楽天証券の投資情報メディア「トウシル」のチャンネルに、山崎元さんの解説動画がある。確定拠出年金(iDeCo)の考え方を丁寧に話している回があって、何気なく再生した。
その中で、こんな一節が流れた。
「優遇の度合いが大きい口座ほど、リスクを取った運用ができる」
最初は「そりゃそうだ」と頷いた気になっていた。でも、なぜそう言えるのか、自分の言葉で説明しろと言われたら、できなかった。
引っかかりながら、リスクの性質や分散効果、市場効率性を自分でも調べていくうちに、バラバラだったピースが突然つながった瞬間があった。
iDeCoは、投資した瞬間に税優遇という確定利益が得られる。
これは、その分だけリスクとリターンの関係がプラス側に平行移動していることを意味する。
ばらつき(=リスクの幅)は変わらない。でも、出発点が有利な方向にシフトしている。
だから「その口座の分くらいは、リスクをしっかり取っていい」という主張が成立する。
スパッと、決まった。
口座ごとに、取るべきリスクの水準が変わる。
優遇が大きい口座ほど、よりリスク資産に振り切っていい。
企業型DCとiDeCo、どちらを優先すべきかはこちらで整理しています。
→ 企業型DC加入者はマッチング拠出とiDeCoどちらを選ぶべきか?合理的な判断方法
決まった、「自分の」投資方針
4月。ようやく方針が固まった。
優遇率の高い順に、リスクを取る。 これを軸にすると、口座ごとの役割が自然に決まった。
| 口座 | 商品 | 税優遇 | リスク水準 |
|---|---|---|---|
| 企業型DC・マッチング拠出 | 外国株式(MSCIコクサイ)中心 | 最大 | 高(株式100%) |
| NISA(つみたて+成長投資枠) | S&P500 | 大 | やや高(米国集中) |
| 特定口座 | オルカン | なし | 標準(世界分散) |
企業型DCとマッチング拠出
それまでは、株式比率70%のバランスファンド一本で運用していた。ここに手を入れた。
最初のスイッチングでは、バランスファンド40%・外国株ファンド60%という中間的な形に移した。考えがはっきりしてきた段階で、さらに外国株式ファンドへ75%まで振り切った。今後の拠出分は100%外国株式。
あえて25%だけバランスファンドを残している。
これは、今後の値動きでその比率が減っていくのを自分の目で見るため——「合理的な判断を継続できている自分」を可視化する装置として、意図的に残した。
NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)
つみたて投資枠は、すでに月10万円のS&P500積立が動いている。
成長投資枠は、2025年分は迷いの中でオルカンとS&P500が混在してしまったが、2026年分はS&P500で完全に埋めた。方針が決まってからは、ぶれていない。
成長投資枠で何を買うべきかはこちらで整理しています。
→ NISAの成長投資枠は何を買うべき?つみたて投資枠との違いと正しい使い分け
特定口座
税優遇がない分、最も分散の効いたオルカンを基本にした。4月2日から積立設定で、毎月淡々と買い続けている。
妻のNISAつみたて投資枠
妻の口座にも100万円を移した。家族単位で、少しずつ投資の基盤が整ってきた。
オルカンとS&P500に、理論上の大きな差はない。
どちらも世界経済の成長に乗る、合理的な選択だ。
厳密に言えば、口座別に商品を使い分けると、ポートフォリオ全体は世界の時価総額バランスから少し米国寄りにずれる。純粋なオルカン一本で持つときに比べれば、投資効率の観点では若干非効率かもしれない。
ただ、15年程度の投資期間を想定したときに、アメリカ一強がまだ続くと考えている自分がいる。それが外れて全世界型の方が伸びた場合は、「オルカンも持っていたから結果を素直に受け入れられる」。逆にS&P500が上回れば、「NISAをS&P500にしておいてよかった」と思える。
どちらに転んでも、自分の選択として納得できる形。
それが、自分には一番続けやすかった。
感情に揺れることが、スタートラインだった
インデックス投資の本を読んで、頭で理解するのは難しくない。
でも、実際に数百万円を動かす画面の前に座ったとき、頭の中は「どーしよーーーー」になる。
過去リターンに引きずられて感情が揺れる。
3ヶ月にわたって同じ迷いを繰り返す。
同じ日に両方のファンドを買う。
それが、投資デビューの現実だった。
でも今思えば、その揺れ方は無駄じゃなかった。
迷い続けた分だけ、「なぜこの方針なのか」を自分の言葉で説明できるようになった。
理論的に正しい選択と、自分が続けられる選択。
それが一致しているとは限らない。
大切なのは、どこかの時点で「自分の方針」を決め、あとは淡々と続けることだ。
感情に揺れた記録が、取引履歴として残っている。
それを見るたびに、なぜこの形にしたかを思い出せる。
それで十分だ、と今は思っている。
保険の見直し・証券会社の選択・そして投資デビュー。環境が整うまで、ここまで来た。
次回は、相場と向き合い始めて最初にぶつかった「含み損」と「積立を止めたくなる衝動」の話を書きます。
【本記事の注記】
山崎元さんご自身は、リスク資産は全世界型で持つことを推奨されています。この「口座ごとにリスク水準を変える」という発想は、氏の主張から僕自身が自分にとって最適と考えた運用方針です。
これまでのエピソード(サイドFIREへの軌跡)
本記事は筆者の個人的な見解・実体験にもとづく情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。特定の金融商品・サービスの購入を推奨するものではありません。







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