家計管理や資産形成について、パートナーと協力して取り組みたい。でも、相手がどう考えているかわからないし、理解してくれるか不安——そう感じる人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、保険の解約について僕が実際にパートナーと合意形成に至った経緯と、その要因を紹介します。ひとつの例として参考にしてもらえたら嬉しいです。
それでは、いってみましょう!
第4話 最重要ミッション!妻との合意形成
約束の日まであと1週間。ドル建ての変額保険も解約することに決めた。あとは、仁花との合意形成さえできれば——。
保険というより、投資に関する知識を深めた結果、ドル建ての変額保険も解約を決断した。そもそも相場が絶好調だった16年を経ても含み損の状態では話にならない。当時は「円ばかりでなく、ドルを持つ方がリスク分散になる」と考えて契約したが、実際には外国株を持つことで十分にドル建て資産を確保できる。アセットの分散という意味では惜しいところまでいっていたが、選んだ商品は最悪だった。幸いにも円安水準で解約できるタイミングなので、サンクコストにとらわれず、バッサリ切ることにした。
いよいよ最重要ミッションである仁花との合意形成に取り掛かる。

「色々考えたんだけど、A社の変額保険と医療保険は解約しようと思うんだよね」
反応に応じて説明の仕方を変えられるよう、脳をフル回転させながら意を決して切り出した。
「いいんじゃない? 医療保険も結局、コロナでちょっと返ってきただけだし。生命保険も、どちらかが死なないと使えないのは気になってた。それに、飛雄がすごく勉強して色々考えてくれたのを見てきたから、信じる!」

……。
驚いた。最重要ミッションであり、最も厚い壁になると思っていた仁花との合意形成が、こんなにもあっさり受け入れられるとは。信頼が足りていなかったのは、僕の方だったのかもしれない。
この出来事が飛雄のモチベーションをさらに高めたのは言うまでもない。保険全体を俯瞰し、過去ではなく現在と未来の状況をトータルで考えた結果、団信代わりの保険や、1年で40%もの運用益を叩き出していた一時払変額も含め、A社の保険はすべて解約することに決めた。最終決断を下したのは、営業マンとの約束のわずか2日前。しかし、ここでも仁花はすんなり納得してくれた。
担当営業マンは幸いにも誠実だった。もちろん解約理由は聞かれたが、「現在の自分たちの状況では必要ないと判断した」と伝えると、すぐに手続きを進めてくれた。当日中に解約手続きが完了するとは思っていなかったが、自分の中に確固たる理由と根拠を持って伝えたことが、このスムーズな対応につながったのだと思う。
手続き完了直前、営業マンがふと切り出した。
「最後に少しだけ。認知症になった場合、銀行口座がロックされてしまい、介護のために本人の資産を使えなくなることがあるんです。でも、この一時払い変額保険なら、そういう場合でも資金を引き出せます。あまり知られていない情報ですが、それでも解約でよろしいですか?」
この言葉にも動じなかったのは、あのYouTuberのおかげだ。認知症対策についてはしっかり予習済みだった。口座ロック時に使える保険商品があることまでは知らなかったが、「そんな大事なこと、契約時に一言も言ってなかったじゃん」と思っただけだった。
逆の立場ならもっと粘ってしまいそうなくらい、解約手続きはあっさり完了した。最後に営業マンが「S&P500とかに回すんですか?」と聞いてきたときは、さすがに吹き出しそうになった。
こうして、資産形成に本気で取り組むと決めてから約3週間。固定費の中でも最大の敵だった「無駄な医療・生命保険」を駆逐した飛雄は、次なる敵「通信費」に立ち向かうのだった。
第4話 完
なぜすんなり合意形成できたのか
今回は、僕の実体験をもとにパートナーとの合意形成について紹介しました。ただ、僕の場合は躓くことなくスムーズに進んだため、「問題が起きたときの対処法」ではなく、「どうしたらスムーズに合意形成できるか」という視点で振り返ります。
僕が成功した要因は、大きく2つのキーワードで表せるかなと思います。
「共有」と「共感」 です。
僕が資産形成に本気で取り組むきっかけとなったYouTubeでは、「目的が大切」と繰り返し語られています(人生の羅針盤とも表現されています)。そこで、僕も勉強を始めて数日後に「60歳でサラリーマンを辞める」「その後、妻と旅行で47都道府県を制覇する」という人生の目標を決めました。もちろん、これからの長い人生で目標が変わることもあるでしょう。でも、まずは決めることが大切です。
目標を定めることで資産形成のペースを具体化できるだけでなく、夫婦間で共有することでチームとしての結束力が高まります。もちろん、一方的な目標ではなく、一緒に目指したくなる目標を立てることが重要 です。これが最初の「共感」と「共有」です。
「いやいや、それが難しいんだよ」という人もいるかもしれません。そこで、僕が実践したもう1つの「共有」と「共感」を紹介します。それは 「まずは自分が努力し、それを隠さないこと」 です。
YouTube漬けの生活を始めてすぐ、妻が興味を持ちそうな動画をピックアップして紹介しました。資産形成は豊かな生活を送るためのものなので、嫌がる人は少ないはずです。そして、「いいなと思ったら他の動画も時間があるときに見てみて」と一言添えました。
また、家計管理や投資に関する本も読み漁り、活字が苦手な人でも楽しく読めそうなものを選んで妻に紹介しました。「お金の大学」や「難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください」などですね。重要なのは、「全部読め」と押し付けないことです。そして何より、僕自身が本気で取り組む姿を見せ続けました。
そうすることで、「よくわからないことに夢中になってる」のではなく、「家庭のために必死で勉強している」と共感を得られたのだと思います。
まとめ
パートナーと合意形成したければ、
まずは自分が本気でやれ!!!
シンプルですね。それではまた次回!
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