金(ゴールド)投資は必要か|リスク18%・”有事に買われない”安全資産の実像

金(ゴールド)の価格がこの数年でぐんぐん上がり、「ゴールドプラス」のようなレバレッジ型の金投信まで次々と登場しています。SNSを開けば「これからは金」「有事の金」という言葉が並び、自分も少しは持っておくべきか……と迷っている方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、一般的なサラリーマンの資産形成に、金は要りません。 現金と株式、この2つの比率を調整するだけで、狙ったリスク設計は十分にできます。

この記事では、金が「安全資産」と呼ばれる割に実際は値動きが荒いこと、2025年6月のイラン有事で「有事の金」が機能しなかったこと、そして「上がってるから買う」が高値づかみに直結する構造を、すべて実データで確認していきます。読み終わる頃には、SNSの「金を持て」コールに揺さぶられなくなっているはずです。

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目次

なぜ今「金は買うべき」の声が増えているのか

金の価格は近年、記録的な上昇を続けてきました。

その流れに乗って、金をテーマにした投資信託が一気に増えています。中でも目立つのが、「ゴールドプラス」に代表される、金の値動きにレバレッジ(てこ)をかけた商品です。

ここで一つ、頭に入れておいてほしい事実があります。

👉 新しい商品は「値上がりが目立ってきたから、人気が出てきたから」生まれる。

運用会社も商売です。売れる見込みがあるからこそ、その時期に新商品を組成します。

つまり、新しい金商品が話題になっているという事実そのものが、「金がすでにかなり上がった後」というサインなのです。

金は「安全資産」ではない|実データが示す”リスク”の大きさ

金は「守りの資産」「安全資産」というイメージで語られがちです。

でも、実際の値動きを計算してみると、その印象は覆ります。

ここでいう「リスク」とは、値動きの荒さ(ブレ幅)のこと。「損しやすさ」ではなく、上にも下にもどれだけ大きく動くかを示す数値で、大きいほど値動きが激しいと考えてください。

直近5年間の日次データから、この年率リスクを計算すると、こうなります。

指標(直近5年・年率)S&P500
リスク(値動きの荒さ)18.1%16.9%
最大下落率(ドローダウン)-21.0%-25.4%
「安全資産」のはずの金、実は株より荒い|金とS&P500のリスク比較とイラン有事の金価格

👉 金のリスクは、株式(S&P500)よりむしろ高い。

「株は怖いけど金は安全」というイメージとは、まるで逆です。金も2022年には高値から2割下落しています。

「安全資産」という言葉の響きと、実際の値動きの荒さは、別物だと考えてください。

なお、ここでの「リスク」という数値が具体的に何を意味するのか(おおよそ68%の確率でこの範囲に値動きが収まる、など)は、NASDAQ100の実データで詳しく整理しています。

「リスク」という数値の正確な読み方

「有事の金」は本当か|2025年イラン有事で金はどう動いたか

金を擁護する人が必ず持ち出すのが、「有事の金」という言葉です。戦争や金融危機で世界が不安定になると金が買われる、という考え方ですね。

では、直近で地政学リスクが現実になった2025年6月、イランとアメリカ・イスラエルが衝突した局面で、金は実際にどう動いたのか。COMEXの金価格を追ってみます。

  • 6/13 イスラエルがイランを攻撃 → 金は3,431ドルへ急騰(ここまでは「有事の金」らしい反応)
  • 6/21 アメリカがイランの核施設を攻撃(地政学リスクが最大化した局面)
  • ところが金は、6/24に3,317ドル、6/27には3,274ドルへ下落

👉 リスクが最も高まった瞬間に、金は一方的に買われるどころか、むしろ売られた。

「有事だから金が上がる」という単純な法則は、少なくとも今回は働きませんでした。

有事の金は、ありそうでいて実は再現性の低い、神話に近い言葉だと僕は思っています。

そもそも金は富を生まない|需要と供給で値が決まるだけ

ここまでは値動きの話でした。でも、もっと根本的な問題があります。

👉 金は、それ自体が何も生み出さない。

株式は、その裏側に事業があります。

企業が人を雇い、モノやサービスを売り、利益を生み、配当を出す。

だから長期で持てば、企業の成長そのものが資産を押し上げてくれます。

一方、金庫の中の金は、1年経っても1グラムは1グラムのまま。利息も配当も生みません。

金の価格は「誰かがいくらで買ってくれるか」、つまり需要と供給だけで決まります。これは投資というより、値上がりを期待した「価格当てゲーム」に近いものです。

「上がってるから買う」が一番危ない|新商品が出る時=高値づかみの構造

最初の見出しで触れた、「新商品は上がった後に出る」という話に戻ります。

人間は、上がっているものを見ると「乗り遅れたくない」と感じます。値上がりと人気が、そのまま「良い商品」に見えてしまう。

でも、価格が上がって話題になってから買うというのは、定義からして「高い値段で買う」ことです。

👉 上がってから買うのは、いつだって遅い。

特にレバレッジ型の金投信は値動きが増幅されるので、高値づかみしたときのダメージも大きくなります。

「ゴールドプラスが人気らしい」と聞いて飛びつくのは、この高値づかみを繰り返す典型パターンです。やってはいけないことの筆頭だと考えてください。

唯一の正当な理由は”低相関”、でも小資産には不要

ここまで金に厳しいことばかり書いてきましたが、金を持つことに理論的な意味がまったくない、というわけではありません。

唯一の正当な理由は、「株式との相関の低さ」です。

先ほどと同じ5年間のデータで、金とS&P500の日次リターンの相関係数を計算すると、0.13。ほとんど連動していません。

相関の低い資産を組み合わせると、ポートフォリオ全体の値動きをならすことができる。これは事実です。

ただし――ここが肝心です。

👉 そのための金は、資産が小さいうちは要らない。

分散効果を取りにいくのは、現金と株式の比率調整だけではリスクを下げきれなくなってからで十分です。

金融資産が1,500万〜3,000万円という段階なら、株式の比率を下げて現金を厚くするだけで、狙ったリスク水準はつくれます。

正直に言えば、僕は国債ですら1億円を超えてから考えればいいと思っています。それより手前の段階で、配当も利息も生まない金にお金を寝かせる必要はありません。

まとめ:一般サラリーマンに、金投資は要らない

最後に整理します。

  • 金は「安全資産」ではない(ボラは株より高く、2割下落もある)
  • 「有事の金」は2025年のイラン有事で機能しなかった
  • 金はそれ自体が富を生まない(配当も利息もない)
  • 新商品が出る=上がった後、で高値づかみになりやすい
  • 低相関という長所はあるが、小資産には現金と株式の比率調整で十分

👉 現金と株式以外は、いらない。

金を買うかどうかで悩む時間があったら、その分を入金と、現金・株式の比率をどう保つかに使った方が、資産形成はずっと前に進みます。

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【免責事項】
本記事は筆者の個人的な見解・実体験にもとづく情報提供を目的としており、投資・保険の勧誘を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。特定の金融商品・サービスの購入を推奨するものではありません。
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この記事を書いた人

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