iDeCoの節税効果はいくら?|月1万・2.3万・6.2万で検証+シミュレーター

NISAの節税は「出口」の話です。
利益の20.315%が非課税になる。

では、iDeCoは?

iDeCoの最大のメリットは「入口」の節税です。
掛金の全額が所得控除になる──つまり、投資した分だけ、その年の税金が減ります。

月2.3万円をiDeCoに入れるだけで、所得税率20%の人なら年間約8.3万円の節税。
35年で約290万円です。

ただし、iDeCoには出口の課税があります。
受け取るときに退職所得として課税される。
「入口で減らした税金を、出口で返すだけでは?」──そう思う方もいるかもしれません。

この記事では、月1万・2.3万・6.2万の3パターンで「入口の節税」と「出口の課税」を検証し、差し引きでiDeCoがどれだけ有利かを金額で示します。

👉 「退職金が多い人はiDeCoをやらない方がいい」──そう言われることがあります。
本当にそうか、数字で確認してください。

※ 本記事ではiDeCoと書いていますが、企業型DC(確定拠出年金)も税制上の仕組みは同じです。

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目次

iDeCoの節税は「入口」の話──NISAとの構造の違い

NISAの節税は「出口」です。
稼いだお金に税金を払い、手取りで投資し、その利益が非課税になる。
姉妹記事で検証したとおり、NISAの出口非課税だけで数千万円の差が生まれます。

NISAの節税効果はいくら?|月5万・10万・30万で検証+シミュレーター

一方、iDeCoの節税は「入口」です。
掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれます。

何が起きるか。
月2.3万円をiDeCoに入れると、年間27.6万円が課税所得から消えます。
所得税率20%+住民税10%=合計30%の人なら、年間8.3万円の税金が減る。
天引きの会社員なら、年末調整で戻ってくるか、翌年の住民税が安くなります。

所得税率別に整理します。

所得税率税率合計(+住民税10%)月2.3万をiDeCoに入れた場合の年間節税額35年累計
5%15%約4.1万円約145万円
10%20%約5.5万円約193万円
20%30%約8.3万円約290万円
23%33%約9.1万円約319万円
33%43%約11.9万円約415万円

所得税率が高い人ほど、iDeCoの入口節税は効きます。
これはNISAにはない構造です。
NISAの出口非課税は所得税率に関係なく一律20.315%ですが、iDeCoの入口控除は高所得者ほど恩恵が大きい

僕自身、2008年に勤務先で企業型DCが導入されたのをきっかけに、確定拠出年金の税制を調べました。
そのとき驚いたのは、この入口の節税効果の大きさです。
掛金を入れるだけで、何もしなくても税金が減る。
「投資で利益を出す前に、すでに得をしている」──この構造に気づいたとき、やらない理由が見つかりませんでした。

👉 iDeCoの入口節税は、所得税率が高いほど大きくなる。NISAとは構造が違う。この違いが、後の検証で効いてきます。


月1万・2.3万・6.2万──3パターンで節税額を検証する

入口で所得控除を受け、運用し、出口で退職所得として課税される。
この一連の流れで「iDeCoを使わなかった場合と比べて、いくら手残りが変わるか」を検証します。

前提条件

・開始年齢:30歳
・拠出期間:35年(65歳まで)
・受取:65歳で一時金(一括受取)
・年利:7%(名目)── 年利7%の根拠はNISA記事で整理しています
・所得税率:20%(住民税10%と合わせて合計30%)
・投資先:十分に分散が効いたインデックスファンド
・比較対象①:同じ金額を特定口座で投資した場合(利益に20.315%課税)
・比較対象②:同じ金額を普通預金に入れた場合(金利1%・利息に20.315%課税。税引後の実効金利は約0.80%)
・退職金:2パターン(退職金なし/退職金で退職所得控除を使い切り)

3パターンの月額掛金は以下のとおりです。

パターン月額意味
月1万円1万円少額から始めるケース
月2.3万円2.3万円現行の会社員上限(企業年金なし)
月6.2万円6.2万円2026年12月改正後の上限

iDeCoも特定口座も、入金する瞬間に必要な手取りは同じです。
iDeCoの掛金は口座振替で拠出し、税金は年末調整や確定申告で後から還付されます。
この検証では、同じ金額を毎月入金し、同じリターンで運用した場合に「入口の還付」と「出口の課税差」でどれだけ手残りが変わるかを比較します。

※ 還付金は現金として手元に残る前提です。
NISAなどで再投資すれば、複利効果で優位額はさらに大きくなります。

検証結果──退職金なしの場合

退職金がない、またはiDeCoの一時金に対して退職所得控除がフルに使えるケースです。

退職所得控除(35年加入):40万×20年+70万×15年=1,850万円

月1万円

iDeCo特定口座普通預金
投資元本420万円420万円420万円
最終資産額約1,801万円約1,801万円約484万円
入口節税の還付+約126万円────
出口の課税0円約281万円約18万円(累計)
手取り合計約1,927万円約1,520万円約484万円
iDeCoとの差額──▲約407万円▲約1,443万円

月1万円なら、35年後の資産額が退職所得控除の範囲に収まるため、出口の税金はゼロです。
入口で年末調整の還付を受けながら、出口も非課税。
特定口座は同じ資産額に対して281万円の課税がかかるので、還付126万円+出口税差281万円=407万円の差になります。

そして普通預金との差は1,443万円。
同じ月1万円でも、預金に置くかiDeCoで投資するかで、35年後に3倍以上の差が開きます。

月2.3万円(現行上限)

iDeCo特定口座普通預金
投資元本966万円966万円966万円
最終資産額約4,142万円約4,142万円約1,114万円
入口節税の還付+約290万円────
出口の課税約344万円約645万円約42万円(累計)
手取り合計約4,088万円約3,497万円約1,114万円
iDeCoとの差額──▲約591万円▲約2,975万円

投資元本も最終資産額も同じです。
差を生んでいるのは「入口の還付」と「出口の税制差」です。

特定口座の出口課税は利益の20.315%で一律645万円。
iDeCoは退職所得として課税されますが、退職所得控除1,850万円+1/2課税+分離課税の3重の優遇で、実際の税額は344万円にとどまります。

出口の税差301万円+入口の還付290万円=591万円。
同じ額を同じように投資して、税制の構造だけでこれだけ差が出ます。

普通預金との差は約2,975万円。
元本は同じ966万円なのに、預金に寝かせた場合の手取り1,114万円に対して、iDeCoなら4,088万円です。

月6.2万円(改正後上限)

iDeCo特定口座普通預金
投資元本2,604万円2,604万円2,604万円
最終資産額約1億1,167万円約1億1,167万円約3,002万円
入口節税の還付+約781万円────
出口の課税約2,116万円約1,739万円約114万円(累計)
手取り合計約9,831万円約9,427万円約3,002万円
iDeCoとの差額──▲約404万円▲約6,829万円

掛金が大きくなると、退職所得も膨らみます。
退職所得控除後の課税対象が4,658万円に達し、iDeCoの出口課税は2,116万円。
特定口座の1,739万円を上回ります。

それでも還付781万円が上乗せされるため、差し引きでiDeCoが404万円有利です。
普通預金との差は約6,829万円。
「投資するかしないか」の選択が、iDeCo vs 特定口座の差よりはるかに大きいことがわかります。

検証結果──退職金で退職所得控除を使い切る場合

「退職金が多い人はiDeCoをやらない方がいい」と言われる根拠は、ここにあります。
退職金で退職所得控除を使い切ると、iDeCoの一時金に対する控除枠がゼロになる。

この「最悪のケース」で検証します。

月1万円

iDeCo特定口座普通預金
投資元本420万円420万円420万円
最終資産額約1,801万円約1,801万円約484万円
入口節税の還付+約126万円────
出口の課税約237万円約281万円約18万円(累計)
手取り合計約1,690万円約1,520万円約484万円
iDeCoとの差額──▲約170万円▲約1,206万円

月2.3万円(現行上限)

iDeCo特定口座普通預金
投資元本966万円966万円966万円
最終資産額約4,142万円約4,142万円約1,114万円
入口節税の還付+約290万円────
出口の課税約768万円約645万円約42万円(累計)
手取り合計約3,665万円約3,497万円約1,114万円
iDeCoとの差額──▲約168万円▲約2,551万円

控除がゼロだと、iDeCoの出口課税は768万円。
特定口座の645万円を上回ります。
それでも、入口の還付290万円が出口の税差123万円を吸収し、差し引き168万円の有利が残ります。

出口で手取りを最大化する受け取り設計の5ポイントはこちらで整理しています

月6.2万円(改正後上限)

iDeCo特定口座普通預金
投資元本2,604万円2,604万円2,604万円
最終資産額約1億1,167万円約1億1,167万円約3,002万円
入口節税の還付+約781万円────
出口の課税約2,634万円約1,739万円約114万円(累計)
手取り合計約9,314万円約9,427万円約3,002万円
iDeCoとの差額──約113万円(特定口座が有利)▲約6,312万円

唯一、特定口座のほうが有利になるケースです。
控除ゼロで退職所得が5,583万円に達し、出口の課税が2,634万円。
還付781万円では、出口の税差895万円を吸収しきれません。

ただし、これは還付金を現金として持ち続けた前提です。

年末調整で毎年戻る還付をNISAや特定口座で再投資すれば、その分も35年間複利で回ります。
還付を再投資した場合、このケースでもiDeCoの優位額は約1,934万円に拡大します。

そして、特定口座に負けるケースでも、普通預金との差は6,312万円。
「iDeCoか特定口座か」の差は最大でも数百万円ですが、「投資するかしないか」の差は数千万円です。

3パターンの比較から見えること

まとめます。

iDeCo vs 特定口座

月額掛金退職金なし退職金で控除使い切り
月1万円+約407万円+約170万円
月2.3万円+約591万円+約168万円
月6.2万円+約404万円▲約113万円

※ 還付を再投資した場合+約1,934万円

iDeCo vs 普通預金

月額掛金退職金なし退職金で控除使い切り
月1万円+約1,443万円+約1,206万円
月2.3万円+約2,975万円+約2,551万円
月6.2万円+約6,829万円+約6,312万円

iDeCo vs 特定口座の差は最大でも数百万円ですが、投資するかしないかの差は数千万円。
この構図はNISA記事でも確認したとおりです。

退職金で控除を使い切る「最悪のケース」でも、月2.3万円までならiDeCoが特定口座より有利。
月6.2万円で控除ゼロの場合のみ、「還付を再投資するかどうか」が分かれ目になります。

つまり、iDeCoの優位性は還付の扱い方に依存します

還付を年末の臨時収入として使ってしまえば、高額掛金+控除ゼロのケースでは特定口座に負ける。
還付をNISAで投資に回せば、控除ゼロでも大幅な有利が確定する。

「退職金が多い人はiDeCoをやらない方がいい」──これは半分だけ正しい。
正確には、「退職金が多くて、還付も使い切る人」はiDeCoの効果が薄くなる。
還付を再投資する設計にしておけば、退職金の多寡にかかわらずiDeCoは有利です。

僕自身は企業型DCの上限までマッチング拠出をしています。
2026年12月の改正後は、上限いっぱいまで増額する予定です。
還付は全額NISA枠に充てる設計にしています。

👉 iDeCoの節税効果を最大化する鍵は「還付を使わずに投資に回す」こと。この1つのルールを守れば、退職金の多寡にかかわらず、iDeCoはやる価値があります。


出口で「返す」税金はいくらか──退職所得の3つの優遇

前のセクションで「出口の課税」の金額は確認しました。
ここでは、その計算の裏にある仕組みを整理します。

iDeCoの出口課税が「想像より軽い」のは、退職所得に3つの優遇があるからです。

①退職所得控除──加入年数に応じた非課税枠

退職所得控除は、加入年数に応じて設定される非課税枠です。

加入年数計算式
20年以下40万円×年数
20年超800万円+70万円×(年数−20年)

35年加入なら、40万×20年+70万×15年=1,850万円
月1万円コースなら、35年後の資産1,801万円がまるごとこの控除の内側に収まります。

②1/2課税──課税対象が半分になる

退職所得控除を差し引いた残額に、さらに1/2が適用されます。

退職所得=(一時金−退職所得控除)× 1/2

たとえば、一時金4,142万円から退職所得控除1,850万円を引くと2,292万円。
その1/2の1,146万円が課税対象です。

この1/2ルールは、退職金やiDeCoの一時金に適用される特別な計算です。
給与所得にはありません。

③分離課税──給与と合算されない

退職所得は分離課税です。
給与所得や事業所得とは合算されず、退職所得だけで税率が決まります。

これが何を意味するか。

たとえば、給与の所得税率が33%(課税所得900万超)の人が退職所得1,146万円を受け取るとします。
この退職所得に対する所得税率は33%ですが、給与の33%とは別枠です。
退職所得は0円からスタートして、その金額だけで累進税率の階段を上ります。

もし退職所得が給与と合算されたら、すでに高い税率帯にいるところに上乗せされ、税額は跳ね上がります。
分離されているからこそ、出口の実効税率が大幅に抑えられるのです。

僕がiDeCoを勉強して一番意外だったのは、この分離課税の仕組みでした。
退職所得控除は「知っている」人も多い。
けれど、分離課税であること──給与所得と合算されないこと──を知っている人は少ない。

この3つの優遇が重なることで、iDeCoの出口課税は「入口で得した分を出口で返す」という単純な構図にはなりません。

👉 退職所得控除・1/2課税・分離課税。この3つの優遇が重なるから、iDeCoの出口は「想像より軽い」。入口の還付と合わせて、特定口座との差を生む構造です。


あなたの条件で確認する──iDeCo節税シミュレーター

ここまでは所得税率20%・35年加入の前提で検証しました。
けれど、掛金も加入年数も所得税率も退職金の有無も、人によって違います。

自分の条件で確認してみてください。

iDeCoで積み立てるファンドの実質コストの判定法はこちらで整理しています

一時金受取を前提としたシミュレーターです。
年金受取(分割受取)との比較や、受取タイミングの最適設計については、別記事で整理しています。

確定拠出年金の出口設計|退職金と合算しないための受取戦略


まとめ|iDeCoの節税効果を「金額」で握る

iDeCoの節税は「入口」です。
掛金の全額が所得控除になり、投資した分だけ毎年の税金が還付されます。

月2.3万円・所得税率20%で35年続ければ、入口の還付だけで約290万円。
出口では退職所得として課税されますが、退職所得控除・1/2課税・分離課税の3つの優遇が重なり、特定口座の利益課税(20.315%)より軽くなるケースが大半です。

同じ掛金を入れた場合の優位額(退職金で控除を使い切る最悪のケース):

・月1万円:特定口座より約170万円有利
・月2.3万円:特定口座より約168万円有利
・月6.2万円:還付を現金で持てば▲約113万円。還付を再投資すれば約1,934万円有利

iDeCoの優位性を最大化する鍵は、還付を使わずに投資に回すことです。
NISAで再投資すれば、還付自体も非課税で複利が回る。

「退職金が多い人はiDeCoをやらない方がいい」は、還付を再投資する設計にしている人には当てはまりません。

👉 iDeCoの節税効果を「なんとなく得」ではなく「金額」で握る。そして還付は使わずに投資に回す。この2つが、iDeCoの恩恵を最大化する設計の原則です。

▼ iDeCoとNISA、どっちを優先すべき?40年シミュレーションで検証しています

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本記事は筆者の個人的な見解・実体験にもとづく情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。特定の金融商品・サービスの購入を推奨するものではありません。
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この記事を書いた人

40代から資産形成に本気で取組み
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