NISAの節税効果はいくら?|月5万・10万・30万で検証+シミュレーター

NISAが非課税であることは、投資をしている人なら知っていると思います。

では、「NISAのおかげで、いくら節税できるのか」を金額でイメージできますか?

月10万円をNISAで投資するには、税引前で約14.3万円の稼ぎが必要です(所得税率20%+住民税10%の場合、約4.3万円が税金)。

入口でこれだけ税金を払ったうえで投資に回し、出口で利益の20.315%が非課税になる──それがNISAの構造です。

この記事では、月5万・10万・30万の3パターンで「NISAを使わなかった場合と比べて、いくら手残りが変わるのか」を検証します。

👉 NISAの節税効果を「金額」で握ることで、枠の使い方に対する判断軸が変わります。

※ 本記事のシミュレーションは、分配金の出ない十分に分散が効いたインデックスファンドへの投資を前提としています。

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目次

NISAの「非課税」は出口の話──入口課税の現実を整理する

NISAは非課税。 これは正しいですが、不完全な理解です。

NISAに入れるお金は、すでに税金を引かれた後のお金です。
会社員なら給与から所得税と住民税が天引きされ、手取りの中から投資に回している。

つまり、NISAの投資資金は「入口で課税済み」です。

僕自身、資産形成に本気で取り組み始めてNISAを勉強したとき、この構造に気づきました。
預金金利や投資の利益に課税されることは知っていた。 収入に税金がかかることも知っていた。
けれど、それらをつなげて考えられていなかった。

「これは二重課税みたいなものだな」と感じました。
厳密には、入口は「所得」への課税、出口は「利益」への課税なので二重課税ではありません。

けれど、稼いだお金に課税され、それを投資して得た利益にもう一度課税される──家計から見た負担感は二重です。

NISAの「非課税」とは、この出口の課税(利益の20.315%)が免除されるという意味です。

では、月10万円をNISAに入れるために、実際にいくら稼ぐ必要があるのか。 所得税率別に整理します。

所得税率税率合計(+住民税10%)月10万投資に必要な税引前月収うち税額
5%15%約11.8万円約1.8万円
10%20%約12.5万円約2.5万円
20%30%約14.3万円約4.3万円
23%33%約14.9万円約4.9万円
33%43%約17.5万円約7.5万円

会社員は天引きされているので、この「見えない税負担」を意識しにくい。 けれど、投資に回すお金の出所を正確に理解することが、NISAの節税効果を正しく評価する出発点です。

👉 NISAの非課税は「入口で税を払ったうえで、出口の税を免除する」構造。この前提が抜け落ちると、節税効果の大きさを実感できない。

月5万・10万・30万──3パターンで節税額を検証する

入口で課税されたお金をNISAに入れ、出口で利益が非課税になる。
その効果が「金額でいくらになるか」を、3パターンで検証します。

前提条件

開始年齢:30歳 運用終了:65歳(35年間) 年利:7%(名目)
── なぜ名目7%なのかは本記事の後半で整理しています
生涯投資枠:1,800万円を使い切る前提 投資先:分配金の出ない、十分に分散が効いたインデックスファンド

比較対象①:特定口座(同じインデックスファンドを7%運用・売却時に利益の20.315%課税)

比較対象②:普通預金(金利1%・毎年利息の20.315%課税。税引後の実効金利は約0.80%)

月5万なら入金に30年かかり、残り5年は運用のみ。
月30万なら5年で枠を埋め、残り30年は運用のみ。

投資元本は3パターンとも同じ1,800万円です。

検証結果

月5万円(入金30年+運用のみ5年)

NISA特定口座普通預金
最終資産額約8,647万円約7,256万円約2,115万円
利益約6,847万円約5,456万円(税引後)約315万円(税引後)
NISAとの差額──▲約1,391万円▲約6,532万円

月10万円(入金15年+運用のみ20年)

NISA特定口座普通預金
最終資産額約1億2,801万円約1億566万円約2,241万円
利益約1億1,001万円約8,766万円(税引後)約441万円(税引後)
NISAとの差額──▲約2,235万円▲約1億560万円

月30万円(入金5年+運用のみ30年)

NISA特定口座普通預金
最終資産額約1億7,433万円約1億4,257万円約2,331万円
利益約1億5,633万円約1億2,457万円(税引後)約531万円(税引後)
NISAとの差額──▲約3,176万円▲約1億5,102万円

3パターンの比較から見えること

投資元本は3パターンとも同じ1,800万円。
差を生んでいるのは「1,800万円が丸ごと複利で回る期間の長さ」です。

月5万で30年かけて埋めた場合、NISAの節税額は約1,391万円。
月30万で5年で埋めた場合、節税額は約3,176万円。

同じ1,800万円を投入しても、埋めるスピードだけで節税額が約2.3倍変わります。

すでに特定口座で運用中の方は、NISAへの移し替え判断が先に来ます。 合理的な判断軸はこちらで整理しています。 → 「特定口座のインデックスファンドはNISAに移し替えるべきか」

一方、普通預金との比較はさらに強烈です。
月30万のケースでは、NISAと普通預金の差は約1億5,000万円。
同じ金額を同じ期間、預金に置くか投資に回すか──その選択だけで、これだけの差が開きます。

ただし、月30万円は税引前で約42.9万円の稼ぎが必要です(所得税率20%の場合)。
誰もができる金額ではありません。

入金ペースを上げて生活を切り詰める「NISA貧乏」は、設計の結果なら問題ありません。
危険なのは無自覚にそうなることです。 → 「NISA貧乏は本当に危険?」

僕自身は、資産形成に本気で取り組み始めた時点である程度の原資があったため、5年で枠を埋める設計にしています。 ただ、これは始めるのが遅かったからこうなった、というのが正直なところです。
もっと若いうちから始めていれば、月々の負担を軽くしながら、より長い複利の恩恵を受けられたはずです。

👉 無理のない範囲で、できるだけ早く枠を埋める。それがNISAの節税効果を最大化する合理的な戦略です。

なぜ「年利7%」で計算するのか

ここまでのシミュレーションでは年利7%(名目)を使いました。
「高すぎないか?」と思った方のために、根拠を整理します。

株式の期待リターンは、無リスクリターン(預金や国債のようにリスクを取らなくても得られるリターン)+リスクプレミアム(株式を保有するリスクに対する上乗せリターン)で考えます。

リスクプレミアムは約5%。 これは山崎元さんが「経済評論家の父から息子への手紙」で示した考え方で、僕も過去データを確認したうえで納得しています。

リスクプレミアム5%の根拠と「平均リターン」の正体はこちらで構造から整理しています。 → 「株式のリターンはどこから来るのか?」

無リスクリターンは時期によってブレますが、多くの国の中央銀行がインフレ目標としている2%を置くのが、長期の前提としては合理的です。

無リスクリターン2%+リスクプレミアム5%=名目リターン約7%。 オルカンやS&P500の長期実績(年率10%前後)から見れば、むしろ控えめな数字です。

「インフレを考慮して実質5%で計算すべきでは?」という考え方もあります。
将来の運用結果を「今の価値観」で評価したいときは、実質5%が適切です。

けれど、この記事のテーマは「節税額」。 税金は名目の利益にかかります。
インフレを差し引いた後の利益に課税されるわけではありません。

実質5%で計算すると、課税対象となる利益額を過小評価し、NISAの節税効果も小さく見えてしまいます。

👉 節税効果の検証では、名目リターンで計算するのが正確。税金は名目利益にかかるからです。

あなたの条件で確認する──NISA節税シミュレーター

ここまでは3パターンの固定条件で検証しました。 けれど、投資額も期間も所得税率も、人によって違います。

自分の条件で確認してみてください。

まとめ|NISAの節税効果を「金額」で握る

NISAが非課税であることは知っている。
けれど「いくら節税できるか」を金額で把握している人は多くありません。

NISAの投資資金は、入口で所得税+住民税を支払った後のお金です。
そのうえで、出口では利益の20.315%が非課税になる。

月5万で30年かけて枠を埋めた場合の節税額は、約1,391万円。 月30万で5年で埋めた場合は、約3,176万円。
投資元本は同じ1,800万円でも、埋めるスピードで節税額は2倍以上変わります。

そして、普通預金に置いた場合との差はさらに大きい。
投資をしないという選択が、35年後にどれだけの差を生むか──数字で確認しました。

👉 NISAの節税効果を「なんとなく得」ではなく「金額」で握る。それが、枠の使い方と入金ペースを合理的に設計する出発点です。

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この記事で年利7%の根拠としたリスクプレミアムの考え方は、この本から学びました。 金融のプロが息子に「お金とどう向き合うか」を語る手紙。 数字の裏にある原理原則を、人間の言葉で受け取れる一冊です。

NISAの節税効果を確認した方へ。 節税額を最大化するには、収入・支出・運用を正しい順番で設計する全体像が必要です。

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【免責事項】
本記事は筆者の個人的な見解・実体験にもとづく情報提供を目的としており、投資・保険の勧誘を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。特定の金融商品・サービスの購入を推奨するものではありません。
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この記事を書いた人

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