個人向け国債はどれを選ぶ?|固定5年が1.95%でも、変動10年を推す理由

個人向け国債、どれを選ぶ? 固定3年1.56%・固定5年1.95%・変動10年1.80%の3枚の証書比較

個人向け国債を買おうと財務省のページを開くと、商品が3つ並んでいます。固定3年、固定5年、変動10年。

そして今、利率が一番高いのは固定5年(年1.95%)です。変動10年は1.80%。

「一番高いのを選べばいいんじゃないの?」——ここで手が止まった人に向けて、この記事を書いています。

僕の答えは、利率が低い方の変動10年です。

数字の大小と逆の結論になる理由を、仕組みの整理から始めて、順番に腹落ちさせていきます。
読み終わる頃には、3つの商品を前にして迷う時間がなくなるはずです。

なお、「そもそも無リスク資産を銀行に置くか国債に置くか」という一つ手前の話は、別の記事で整理しています。

個人向け国債 変動10年の使いどころ|「無リスク資産の置き場」の正解

この記事は、その次の段階。個人向け国債の「中」で、どれを選ぶかだけに絞ります。

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目次

結論:個人向け国債は「変動10年」。固定5年の方が金利が高くても

先に結論を置きます。

👉 個人向け国債で迷ったら、変動10年。今、固定5年の方が利率が高くても、です。

まず現物の数字を見てください。2026年8月発行分(財務省2026年7月発表)の利率です。

商品満期金利タイプ利率(税引前・年)
固定3年3年固定1.56%
固定5年5年固定1.95%
変動10年10年半年ごとに見直し1.80%

一番高いのは固定5年。変動10年より0.15ポイント高い。

それでも変動10年を推す理由を一言でいうと、こうなります。

固定5年の1.95%は「今後5年、金利が上がっても文句を言わない」という条件付きの数字。変動10年の1.80%は、条件なしの数字。

「条件付き」とはどういうことか。次の章から順に確かめていきます。

まず3種類の基本と特徴を整理する(固定3年・固定5年・変動10年)

比較の前に、土台を揃えます。実は3つの商品は、ほとんど同じものです。

共通点

  • どれも日本国が発行する国債。1万円から買える
  • 満期まで持てば元本と利子が国から支払われる
  • 発行から1年たてば、いつでも中途換金できる。そのとき元本は割れない(直近1年分ほどの利子を返すだけ)
  • 利率がどれだけ下がっても、年0.05%の最低保証がある

ここで、よくある誤解を2つほどいておきます。この2つが解けると、選び方は一気にシンプルになります。

誤解①「変動10年は、10年間お金が縛られる」

縛られません。「10年」は満期までの長さであって、拘束期間ではないからです。

発行から1年たてば、3商品ともいつでも換金できます。ペナルティは「直近およそ1年分の利子を返す」だけで、元本そのものは1円も割れません

つまり「10年は長いから固定3年にしよう」という選び方は、存在しない縛りを避けていることになります。

誤解②「変動って、元本が減ったりするんでしょ?」

減りません。変動するのは利率だけです。

株式やファンドの「値動き」とはまったくの別物で、元本は満期でも中途換金でも確保されています。

しかも利率には0.05%の最低保証がある。

元本割れは起こらない設計です。

——さて、共通点と誤解を整理すると、3商品の実質的な違いは、たった1つに絞られます。

👉 利率が「買った時のまま固定」か、「半年ごとに見直される」か。それだけです。

満期の長さ(3年・5年・10年)は、1年たてばいつでもやめられる以上、大きな違いではありません。

だから問いはこうなります。「固定と変動、どっちがいいか?」

「今いちばん高い」固定5年を選ぶと、何が起きるか

固定5年の1.95%は、たしかに魅力的に見えます。

でも、固定金利を選んだ瞬間、あなたは1つの賭けに参加しています。本人にその自覚がなくてもです。

「今後5年間、金利はここから大きく上がらない」という賭けです。

固定5年の利率は、買った時点で満期まで確定します。この先、世の中の金利がどれだけ上がっても、あなたの1.95%は変わりません。

実際、金利は動いてきました。

日銀の政策金利は、2024年夏の0.25%から2026年6月には1.00%まで上がっています。

2年で0.75ポイントの変化です。

預金金利も国債の利率も、それを追いかけて動いてきました。

もし2年前に「今が一番高いから」と固定金利を選んでいた人は、その後の上昇をすべて見送ることになりました。

もちろん、逆もあります。ここから金利が下がっていけば、1.95%を確保した固定5年の勝ちです。

つまり、こういうことです。

👉 固定を選ぶことは、「安全な選択」に見えて、実は金利の方向への賭けです。

当たれば少し得をして、外れれば数年間、上がっていく金利を眺めることになる。

この構造を知った上で選ぶなら、それは一つの判断です。

でも「一番高いから」だけで選んでいたなら、賭けに参加していることに気づいていなかった、ということになります。

なぜ変動10年を推すのか:無リスク資産の仕事は「金利を予想しないこと」

固定5年と変動10年の比較図:金利が上がった場合と下がった場合に何が起きるか(固定を選ぶ=金利に賭ける、変動を選ぶ=賭けない)

ここで、そもそも論に一度戻ります。

このお金——個人向け国債に置こうとしているお金に、あなたは何をさせたいのでしょうか。

増やすことではないはずです。

増やす仕事は株式(リスク資産)に任せている。

国債に置くお金の仕事は、減らさず、予想外を起こさず、土台であり続けることです。

だとすると、答えは決まってきます。

金利がこれからどう動くかは、誰にもわかりません。日銀にも、エコノミストにも、もちろん僕にもです。

変動10年は、この「わからない」に対する、仕組みの側からの答えになっています。

  • 金利が上がれば → 半年ごとの見直しで、利率が追いかけて上がる
  • 金利が下がれば → 利率も下がる。ただしその時は預金も含めて世の中全体の金利が下がっているので、どこに置いていても同じ

つまり変動10年は、金利がどちらに動いても「大きく取り残される」ことがない設計です。賭けに勝ちにいく商品ではなく、賭けから降りるための商品と言えます。

例えるなら、固定5年は「今日の天気を見て、5年分の服を今日ぜんぶ決める」やり方です。

変動10年は「毎朝、その日の天気で着替える」やり方。

5年後まで天気を当てる自信があるなら前者でもいい。

僕にはありません。

👉 無リスク資産の置き場選びで唯一やってはいけないのが、金利の方向を予想すること。変動10年は、予想しなくていい唯一の選択肢です。

ここに、行動経済学の視点を1つだけ足します。

人は「得をし損ねた後悔」より「選択を間違えた後悔」の方を強く引きずります。

固定5年で金利上昇に取り残された場合、5年間その後悔と付き合うことになる。

変動10年は、どちらに転んでも「まあ、仕組み上ついていけてる」と思える。

後悔が最小になる構造を最初から選んでおくのは、感情の管理としても合理的です。

もう1つ、実務の面のメリットを足します。変動10年は、一度買ったら、金利のことを考えなくていいんです。

固定はそうはいきません。

たとえば固定5年を買って2年後、世の中の金利が大きく上がっていたらどうでしょう。

「直近1年分ほどの利子を返してでも、高い利率のものに買い直した方が得なのか?」という乗り換え計算が、あなたの宿題になります。

ざっくり損益分岐を出すと、答えは「新発の固定5年が年2.6%を超えているか」。返す利子は約1年分(1.95%分)なので、残り3年で取り返すには0.65ポイント以上の上乗せが必要——という計算です。

この計算、面倒だと思いませんか。

固定を持っている限り、金利が上がるたびにこの宿題がついて回ります。

変動10年には、この宿題そのものがありません。

利率の方が勝手についてきてくれるので、買った後は金利のニュースを追わなくていい。

「買ったら忘れていい」も、変動10年の立派な性能です。

変動10年のデメリットも正直に:固定5年が勝つ局面はある

良い面だけ並べて終わると、フェアではありません。変動10年が負けるパターンを正直に書きます。

① 金利が「このまま横ばい〜低下」なら、固定5年の勝ち

変動10年の利率は「10年国債の金利 × 0.66」で決まります。

66%しか受け取れない設計です。

今の1.80%が固定5年の1.95%より低いのは、この0.66掛けのためです。

計算すると、変動10年の利率が1.95%を超えるには、10年国債の金利が今の2.73%からおよそ2.95%まで上がる必要があります。金利が今の水準で止まれば、5年間ずっと固定5年の勝ちです。

ただ、「変動は下がるかもしれない」という不安には、1つ保険を付けておきます。

変動10年の利率が、銀行預金の金利を下回ることは構造上ありません。それが定期預金であっても、です。

負けるとしても相手は固定5年で、「預金に負ける」ことはない。

▼ なぜ「預金は国債に勝てない」と言い切れるのか、仕組みから整理した記事はこちら

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② ただし、勝っても負けても差は小さい

その差は年0.15ポイント。100万円置いて、年1,500円(税引前)です。

だからこの選択は「外したら大損する」類のものではありません。

微差は微差です。

力む必要はない。

ただ、どうせ選ぶなら、僅かな上乗せのために賭けに参加するより、賭けそのものから降りる方を僕は選びます。無リスク資産にさせたい仕事と一致しているのは、そちらだからです。

③ 1年間は換金できない

発行から1年間の中途換金不可は、3商品共通の制約です。

だから、すぐ使うかもしれないお金(生活防衛資金など)はそもそも国債に入れない。

ここは冒頭で紹介した「無リスク資産の置き場」の記事の結論の通りです。

個人向け国債の選び方まとめ:迷ったら変動10年

最後にまとめです。

基本は、変動10年に一本化。迷ったら変動10年。

場合分けするなら1つだけ。

「3年後(5年後)に使うと日付まで決まっているお金を、どうしても国債に置きたい」なら、満期を合わせて固定3年・固定5年を選ぶ手はあります。

ただしこれが成立する条件が1つあって、その日まで「絶対に使わない」と言い切れることです。

そして正直に言えば、「絶対に使わない」は、だいたい言い切れません。

予定は変わるし、想定外は起きるからです。

だから、使う時期が決まっているお金は現金(預金)に置くのが僕の基本線です。

整理すると、こうなります。

生活防衛資金は現金。

国債に置くのは、15年以上は使わないと言える運用資産のうち、無リスクで持ちたい部分だけ。

そういう「長く置きっぱなしにするお金」だからこそ、満期も金利も気にしなくていい変動10年が、いちばん噛み合います。

ちなみに僕自身は個人向け国債を買っていません。

運用資産を株式100%で設計していて、無リスク部分を組み込んでいないからです。

それでも、家族に「国債買うならどれ?」と聞かれたら、迷わず変動10年と答えます。

理由はこの記事に書いた通りで、そこに例外を作る材料がないからです。

まとめます。

  • 個人向け国債3種の実質的な違いは「利率が固定か、半年ごとに見直されるか」だけ。満期の長さは1年たてば換金できるので大きな違いではない
  • 固定5年の1.95%は「今後5年、金利が上がらない」に賭けた数字。固定を選ぶことは金利予想への参加
  • 変動10年は金利がどちらに動いても取り残されない。買った後に金利を追いかけ直す宿題もない。無リスク資産の仕事=金利を予想しないことと、唯一一致している
  • 金利が横ばいなら固定5年が勝つが、差は100万円で年1,500円ほど。微差のために賭けに参加しない
  • 迷ったら変動10年。使う時期が確定しているお金は、そもそも現金でいい

👉 表面利率は「今の数字」。変動10年は「これからを追いかける仕組み」。無リスク資産に置くべきは、数字ではなく仕組みの方です。

なお、「そもそも投資を何から順番にやるか」の全体地図は、こちらにまとめています。

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▼ 「値動きのある債券(債券ファンド)」は買うべきか気になる人へ

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本記事の注記

  • 各利率は2026年8月17日発行分(財務省2026年7月発表:変動10年 第196回1.80%/固定5年 第184回1.95%/固定3年 第194回1.56%)。変動10年の適用利率は基準金利×0.66(年0.05%を最低保証)で半年ごとに見直されます。最新の利率・条件は財務省の個人向け国債ページでご確認ください
  • 中途換金は発行から1年経過後に可能で、中途換金調整額として「直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685」が差し引かれます(元本は確保されます)
【免責事項】
本記事は筆者の個人的な見解・実体験にもとづく情報提供を目的としており、投資・保険の勧誘を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。特定の金融商品・サービスの購入を推奨するものではありません。
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この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー(FP技能士)|東証プライム上場企業の会社員。
40代から資産形成に本気で取り組み、1年で純資産1000万円増を達成。
「今さら遅いかも…」と不安な方へ、データと実体験に基づく合理的な資産形成を発信しています。

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