投資信託に、1ヶ月で2兆6,969億円。
2026年7月、国内の追加型株式投信に流れ込んだお金の量です(ウエルスアドバイザー推計・ETF除く)。
今年1月に次ぐ、過去2番目の高水準でした。
同じ時期のSNSやニュースには、こんな話題が並んでいました。
「金(ゴールド)が人気」「FANG+で儲かった」「話題のファンドに資金殺到」。
コツコツとオルカンやS&P500を積み立てている人ほど、この空気には少し揺れると思います。
「みんな、もっと儲かるものを買っているんじゃないか。自分の積立は地味すぎるんじゃないか」――その感覚は自然なことです。
先に、この記事の結論を言います。
👉 2.6兆円の中身を開けると、性質のまったく違う「2種類のお金」が混ざっています。話題を追って動く回転資金と、73ヶ月間一度も途切れなかった本流。あなたの毎月の積立は、本流のほうです。だから「過去2番目の大流入」のニュースも、金やFANG+の景気のいい話も、あなたが積立先を変える理由にはなりません。
なお、流入上位の商品が良いか悪いかという話は、この記事ではしません。
個別の商品の中身は別の記事で開けてきました(ランキング上位の人気ファンドを解剖した話/日本株ファンドに資金が殺到したときの話)。
今日はもう一段手前、2.6兆円という数字の「中身の性質」の話です。
- 7月の2.6兆円の内訳——主役は話題のファンドではなくインデックス積立だった
- 中身は2種類。73ヶ月途切れなかった本流と、話題を追う回転資金
- 本流が続く理由は意思ではなく「設定」——あなたが積立先を変えなくていい理由
7月、投資信託に何が起きたか|2.6兆円の資金流入の内訳
まず事実から並べます。
2026年7月の国内公募追加型株式投信(ETF除く)の資金流出入は、こうなっていました。
| 分類 | 7月の純資金流入 | 備考 |
|---|---|---|
| 全体 | 2兆6,969億円 | 今年1月に次ぐ過去2番目 |
| 国際株式型 | 1兆6,433億円 | 73ヶ月連続の流入超過・大分類トップ |
| うち グローバル(含む日本・為替ヘッジなし) | 1兆301億円 | 全カテゴリー中トップ |
| うち 北米(為替ヘッジなし) | 5,275億円 | 全カテゴリー中2位 |
| 国内株式型 | 6,001億円 | 大分類2位 |
出典:ウエルスアドバイザー「投資信託への資金流出入速報」(2026年8月5日公表・同社推計値)
「グローバル(含む日本・為替ヘッジなし)」は、聞き慣れない分類名ですが、中身の主役はオルカンに代表される全世界株式のインデックスファンドです。
「北米(為替ヘッジなし)」の主役はS&P500連動ファンド。
つまり2.6兆円のうち、半分以上は、全世界株式や米国株式のインデックスファンドに向かった毎月の積立とみられるお金でした。
ニュースの見出しは「過去2番目の大流入」。
SNSの話題は金やテーマ型。
でもデータの主役は、地味なインデックスファンドだった――この事実が大々的に語られることは、たぶんこれからもありません。
「今月も積立が淡々と実行されました」では、ニュースの見出しにならず、SNSでも伸びないからです。
語られやすいのは、大きな数字と、儲かった話。
目立つ情報と、量として起きていることは、別物です。
中身は「2種類のお金」――73ヶ月動かない本流と、話題を追う回転資金

同じ2.6兆円の中に混ざっている2種類のお金に、この記事の中だけ、名前をつけて区別します。
(※これは「コア・サテライト戦略」のような資産配分の話ではありません。持ち方の推奨ではなく、市場に流れ込むお金の性質を観察するための呼び名です)
1つめは「本流」。 国際株式型は、この7月で73ヶ月連続の流入超過でした。
73ヶ月=6年あまり。
この間には、コロナ後の急騰も、2022年の米国株の下落も、2025年の関税ショックと円高も、日経平均の高値更新もありました。
それでも、一度も途切れませんでした。
相場が良くても悪くても、話題が金に移っても日本株に移っても、毎月ほぼ同じお金が同じ場所へ流れ込み続けた。
これが本流です。
2つめは「回転資金」。 そのときどきの話題――金、FANG+、半導体、日本株――へ、成績の良さを見てから移動してくるお金です。
今年の上半期は、金関連ファンドへの流入加速が象徴でした。
この2つは、金額の桁は近くても、性質がまるで違います。
- 本流は「過去の成績を見て動いていない」お金。毎月決まった日に、決まった額が、自動で買われている
- 回転資金は「過去の成績を見てから動く」お金。上がったものに集まり、集まる頃には価格はもう上がっている
👉 資金流入の急増は「人気投票の結果」ではなく、大半が「成績の後追い」です。上がったから、集まる。この順序を逆に読むと、高値掴みが始まります。
後追いがなぜ危ないかは、日本株に資金が殺到した5月に詳しく書きました。
リセンシーバイアス(直近の出来事を過大評価する認知の歪み)の話も含めて、そちらに譲ります。
→ 日本株ファンドに資金殺到──ランキング上位を理由に飛びつくな!
なぜ73ヶ月も途切れないのか|続けているのは意思ではなく「設定」
ここからが、この記事でいちばん伝えたいことです。
73ヶ月、毎月1兆円規模のお金が途切れず流れ込む。
これを「日本の個人投資家は意志が強くなった」と読むのは、たぶん間違いです。
続いている理由は、意思ではなく「設定」です。
積立設定は、一度組んだら、相場を見ません。
ニュースも見ません。
含み損の画面も見ません。
毎月決まった日が来たら、決まった額を買う。
それだけです。
そしてこの「感情が入り込む余地のない仕組み」こそが、インデックス投資の合理性の、実務上の正体だと僕は考えています。
理屈のうえでは、投資の合理性は「低コストで、市場平均と言える十分に分散が効いたインデックスを、できるだけ長く持つ」ことに尽きます。
でも理屈は、暴落の夜に含み損の画面を見た瞬間、簡単に負けます。
僕自身、2025年の関税ショックのときに含み損の数字を見て、理屈と感情がまったく別物であることを体で知りました。
それでも僕の積立が止まらなかったのは、僕が強かったからではありません。
設定が動じなかったからです。
👉 73ヶ月の連続流入は、無数の「揺れなかった感情」ではなく、無数の「解除されなかった設定」の集計結果です。
ここで、順序を1つだけ確認させてください。
「みんなが積み立てているから、積立が正しい」のではありません。 低コストのインデックスファンドを長く持つことが合理的で、その合理性が新NISAという制度と積立設定という仕組みに乗った結果、本流になった。
合理性が先、流入は結果です。
この順序を持っておくと、いつか本流が細る月が来ても(そういう月は必ず来ます)、あなたの判断は揺れません。
積立という行為の意味は、こう捉えると腹に落ちます。
毎月の積立は「資金を小分けにして慎重に買う」行為ではなく、「毎月新しく生まれる収入を、即座に市場に晒す」行為です。
だから積立をやめるとは、慎重になることではなく、新しいお金を働かせるのをやめることを意味します。
では、回転資金側では何が起きていたか
本流の話ばかりしましたが、回転資金側もフェアに見ておきます。
2026年上半期、流入が目立って加速したのは金関連ファンドとテーマ型でした。
金価格の上昇を背景に、株価指数と金を同時に持つ「指数×金」型の商品も次々に登場しています。
僕はこの動き自体を否定しません。
ただ、「上がっているものに、上がってから乗る」構造がそこにあることだけは、見えるようにしておきたい。
過去にこの構造を、商品単位で開けた記事が2本あります。
金の上昇で人気化したゴールドプラス。
圧勝の中身を分解したら、勝ちを作っていたのは金ではなくレバレッジでした。
→ ゴールドプラスの評判・口コミ|「含み益200万が8万に」の声から正体を検証する
FANG+は「インデックス投資」の顔をした集中投資です。
構造から整理しました。
どちらの記事でも、商品を買った人を笑う意図はありません。
言いたいことは1つだけです。
回転資金の列に並ぶなら、自分が「成績の後追い」という構造の中にいることを理解して並ぶこと。 理解した上での選択なら、それはその人の投資です。
まとめ|あなたの積立は、本流のほうだった
整理します。
- 7月の投信への流入2兆6,969億円は過去2番目。ただし主役は話題のファンドではなく、全世界株式・米国株式インデックスへの積立だった
- 2.6兆円の中身は2種類。73ヶ月途切れなかった本流と、話題を追う回転資金
- 本流が続く理由は意思ではなく設定。感情が入り込めない仕組みが、暴落もショックも通り抜けてきた
- 順序を間違えない。合理的だから本流になったのであって、本流だから合理的なのではない
この記事で言いたいことは、突き詰めれば1つです。
「過去2番目の大流入」という大きな数字と、金やFANG+の儲かった話。この2つを表面だけ見て、自分の積立方針を変えないこと。
「何か動いたほうがいいような気がした」人へ。
この記事の行動指針は、めずらしく「何もしない」です。
証券口座を開いて、積立設定が生きていることを確認したら、閉じてください。
それで終わりです。
👉 あなたの毎月の積立は、73ヶ月途切れなかった本流の一部です。ニュースが騒がしい月も、あなたの設定は今月も静かに仕事をしました。来月もそうです。
📚 騒がしい月に“何もしない”を続けられるようになる1冊
※ 下記リンクは成果報酬型広告です。遷移先はAmazon・楽天の公式サイトです。
インデックス投資の理屈ではなく、**「続ける」ことの実務**を書いた本です。著者の水瀬ケンイチさんは、リーマン・ショックを含む20年以上を積立で通り抜けてきた実践者。僕自身が実際に読んで、「寝かせておく」という構えの支えになった、この記事の「解除されなかった設定」の大先輩のような1冊です。
関連リンク【PR】
※ 下記リンクは成果報酬型広告です。遷移先は楽天証券・楽天カードの公式サイトです。
楽天証券で口座を開く(無料)
積立設定が静かに働き続ける器は、NISAでの低コストインデックスファンドです。オルカンもS&P500も最安水準の手数料で積み立てられます。
▶ 公式サイトで口座開設積立投資のカード決済でポイントが貯まります。
楽天カードを申し込む(無料)※広告
本記事は筆者の個人的な見解・実体験にもとづく情報提供を目的としており、投資・保険の勧誘を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。特定の金融商品・サービスの購入を推奨するものではありません。
