野村構造変化日本株ファンドの評判は?|初日1,107億円の中身と、コスト3.3%+1.573%を検証

野村構造変化日本株ファンドの評判は?同じ中身が隣の棚で11分の1のコスト

「野村構造変化日本株ファンド」を検索してここに来た方は、たぶん2種類います。

野村證券の担当者に勧められて、買う前に評判を確かめたい人。
もう買っていて、10月15日の下げを見て少し不安になった人。

どちらの方にも、まず数字から順番に見てもらいます。

このファンドは2026年7月31日に設定されました。
設定初日に集まったお金は1,107億円。

結論から言います。

僕はこのファンドを買いません。ただ、その理由は「構造変化というテーマが間違っているから」ではありません。

逆です。
「構造変化」という言葉が広すぎて、何も選んでいないのと同じだからです。

実際に買った人の声(掲示板40件)と、設定から2ヶ月半の数字は記事の後半にまとめています。
評判を探して来た方は、目次からそちらへ飛んでも大丈夫です。

この記事でわかること
  • 「構造変化」の4つの観点が、実際に何を買っているのか(9月末の組入109社と特性値)
  • コスト3.3%+1.573%を、同じ日本株のインデックスと並べるとどう見えるか
  • 設定から2ヶ月半の値動きと資金の流れ、掲示板40件の評判、勧められて買った人の「判断の順番」
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目次

まず、野村構造変化日本株ファンドの中身を数字で見る

評価の前に、商品としての骨格を並べます。

項目内容
運用野村アセットマネジメント
設定日2026年7月31日(信託期間は無期限)
当初設定額1,107億円
販売会社野村證券のみ(銀行・ネット証券での取扱なし。2026年10月時点)
購入時手数料3.3%(税込・1億円未満)
信託報酬年1.573%(税込)
信託財産留保額0.2%(換金時)
決算年1回(8月6日・初回は2027年)
ベンチマークなし(参考指数としてTOPIX配当込み)
対象NISA成長投資枠

見るべき数字は3つです。

購入時手数料の3.3%。
信託報酬の年1.573%。
そして「ベンチマークなし」。

購入時手数料は買った瞬間に引かれるコストです。
100万円を入れた時点で3.3万円が消え、運用に回るのは96.7万円から。

信託報酬は、持っているあいだ毎日引かれ続けるコスト。
年1.573%は「その年のリターンから、まず1.573%を差し引いてスタート」という意味です。

「ベンチマークなし」が何を意味するかは、あとで解説します。
先に見るのは、このファンドが何を買っているか。

野村構造変化日本株ファンドの中身は、TOPIXのインデックスで買える109社

目論見書によると、このファンドは4つの観点から「世界の中長期的な構造変化」に着目します。

マクロ環境の変化。
政策・地政学の変化。

技術革新。
日本特有のビジネス機会。

一つずつ読んでください。
金利もインフレも、政策も地政学も、技術革新も、日本固有の事情も入っています。

この4つのどれにも当てはまらない上場企業を、僕は思いつきません。

つまりこの4つの観点は、投資対象を絞る条件ではなく、日本株市場全体をそのまま言い換えたものです。
「特定の業種やテーマに縛られない柔軟な運用」というのは、売る側の言葉で言えば長所です。

買う側の言葉に直すと、「何を買ったのか、自分で説明できないファンド」になります。

設定から2ヶ月、2026年9月30日時点の月次レポートです。
組入銘柄は109社で、上位10社はこの顔ぶれでした。

順位銘柄純資産比
1日立製作所3.6%
2みずほフィナンシャルグループ3.5%
3東京エレクトロン3.4%
4アドバンテスト3.2%
5ソニーグループ3.2%
6三菱商事3.0%
7村田製作所2.9%
8キーエンス2.9%
9三井物産2.9%
10HOYA2.3%

※野村アセットマネジメント 月次レポート(2026年9月30日現在)より。上位10社で純資産の30.8%

全部、日本を代表する大型株です。
組入の98.6%が東証プライム上場。
TOPIXでも上位に並ぶ顔ぶれと重なります。

ファンド全体の特性値も、同じレポートに出ています。

このファンドTOPIX(参考)
PER(株価収益率)18.5倍17.2倍
PBR(株価純資産倍率)2.5倍1.8倍
ROE(自己資本利益率)13.3%10.6%
業種1位電気機器 38.6%─

※野村アセットマネジメント 月次レポート(2026年9月30日現在)より

要するに、日本の大型株の中から、市場平均より少し割高で、利益率も少し高い銘柄に寄せた形です。
利益率が高い分だけ株価も高く買われているので、結局、TOPIXと大きな違いはありません。

TOPIXの上澄みを、TOPIXより割高な株価で買う。
これが「構造変化」の中身だと僕は読みました。

ここが、この記事の核心です。

この10社は、TOPIX連動のインデックスファンドを1本買えば、全部入っています。
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)なら、購入時手数料ゼロ、信託報酬は年0.143%。

オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)にも、日本の大型株として入っています。
8月末時点の上位10社は、オルカンの直近の運用報告書にある日本株の組入明細で全部確認済みです。

つまりこういうことです。
同じ中身が、隣の棚に、11分の1のコストで売っている。

このファンドを買うというのは、その隣の棚を見ずに、入口3.3%+年1.573%を払う行為です。
買うのは、少し割高な方向へ寄せた詰め合わせ。

もう一つ、月次レポートで見ておきたいのが売買です。
8月は総合商社を1社売ってソフトバンクグループを買い、9月は非鉄金属の会社を売ってソニーグループを買いました。

8月に買ったソフトバンクグループは、9月末の上位10社から消えています。
信越化学も外れて、代わりにソニーグループとHOYAが入った。
組入銘柄は117社から109社へ。

設定2ヶ月で、中身はもう動いています。
「構造変化」が何を指すかは、運用チームが月ごとに決め直す。
買った人には、その理由は見えません。

レポートには、銘柄ごとに「着目する構造変化」のラベルも付いています。
日立とキーエンスは「政策・地政学の変化」、ソニーは「日本特有のビジネス機会」。
4つの箱は、どの大型株にも何かしら貼れる。それが、この4観点の広さです。

すでにTOPIXやオルカンを持っている人なら、話はもっと単純です。
このファンドを足しても新しい分散は生まれず、すでに持っている大型株への上乗せにしかなりません。

名前は違っても、中身は日本の大型株。そういう商品は、高配当ファンドにもあります。

→ 「高配当」を名乗るニチハイ10の中身は、超大型株10社でした

テーマ型ファンドの問題は、ふつう逆の方向にあります。
「フィジカルAI」のようにテーマが狭すぎて、少数の銘柄への集中投資になってしまう。
このファンドはその逆。
テーマが広すぎて市場平均とほとんど変わらないものを、市場平均の何倍ものコストで買うことになります。

→ テーマが狭すぎる側の検証は「モルガン・スタンレー フィジカルAI株式ファンドは買い?」で書いています

→ もう一つ、狭いテーマを掲げながら中身はテーマ以外が大半という例が、「量子革命」の量子の会社は2割だった検証

野村構造変化日本株ファンドのコストを、同じ日本株で並べる

コストは単体で高い・安いを判断するものではありません。
同じ目的を果たせる商品と並べて評価するものです。

「日本株に投資したい」という目的に対して、並べます。

ファンド対象信託報酬(年率)購入時手数料
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)日本株 約1,700銘柄0.143%0円
eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)全世界 約2,500銘柄(日本 約5%)0.05775%0円
野村構造変化日本株ファンド日本の大型株 109銘柄1.573%3.3%

信託報酬は、TOPIXインデックスの11倍です。
しかも入口で3.3%。

ちなみに購入時手数料が1.65%に下がるのは、購入額が1億円を超えてからです。
この記事の読者で該当する方は、たぶんいません。

この差が、買い手にどう効くか。

年1.573%と年0.143%の差は、1.43ポイント。
これは毎年、銘柄選びの腕前だけで取り返し続けなければならないハンデです。

複利で10年なら約15%。
「10年後に笑う」ためには、その前に10年ぶんのハンデを埋めなければなりません。

ファンド全体で見ると、もっと生々しくなります。
純資産1,547億円(10月16日)に年1.573%をかけると、信託報酬だけで年間24億円。
当初設定額の1,107億円に最大3.3%をかけると、入口で最大36億円。

これは運用成績と関係なく、買った瞬間と持っている間ずっと、確実に発生するお金です。

信託報酬の他にも、売買委託手数料や監査費用などが別途かかります。
アクティブ運用は売買が多いぶん、この「表に出ないコスト」もインデックスより膨らみやすい構造です。

→ 信託報酬の外側にあるコストの見方は「投資信託の隠れコストとは?」で書いています

「野村の総力」は、指数に勝ち続けられるのか

ここまで読んで、こう思う方がいるはずです。
「コストが高いのは分かった。でも、それを上回る成績を出すのがプロの仕事だろう」

その通りです。
だから問いはひとつに絞られます。
日本株のプロが選んだアクティブファンドは、コスト差を埋めて指数に勝ち続けてきたのか。

これには、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが毎年出している「SPIVA日本スコアカード」という記録があります。
日本で売られているアクティブファンドが、指数に勝ったか負けたかを集計したものです。

2025年末版の、日本の大型株ファンドの数字です。

期間指数に負けたファンドの割合
1年(2025年)49%
10年83.38%
15年80.38%

※SPIVA日本スコアカード2025年末より。指数はS&P/TOPIX150。過去の集計であり、将来も同じ割合になると約束されたものではありません

2025年の1年だけなら、半分は勝っています。
ですが期間を延ばすほど負ける割合は上がり、10年でも15年でも8割を超えました。

この数字で大事なのは、「途中で消えたファンド」の扱いです。
成績が振るわず繰上償還(運用を途中で終えること)や合併で消えたファンドを記録から外すと、生き残った優等生だけが残る。
勝率は実際より良く見えます。

SPIVAはそれを避けるために、消えたファンドも分母に入れて「負け」として数えています。
15年の期間では、全ファンドの半数以上が存続できませんでした。
「8割が負けた」は、消えた分まで含めた数字です。

もう一つ、逆方向の注意も。
この勝ち負けは基準価額で測ったもので、購入時手数料は入っていません。
買った人の財布で見ると、入口の3.3%ぶんだけ、この記録よりさらに負けます。

「野村證券が総力をあげて」というのは、掲示板でいちばん支持を集めていた期待の言葉です。
気持ちは分かります。

ただ、10年前に総力をあげていた運用会社の8割が、結果として指数に負けたというのが、残っている記録です。

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ここで、最初に置いた「ベンチマークなし」に戻ります。

インデックスファンドの仕事は、指数に沿って動くこと。
アクティブファンドの仕事は、指数に勝つこと。
勝てないなら、11倍のコストを払う理由がなくなります。

このファンドは目論見書で「ベンチマークはありません」と明記し、TOPIX(配当込み)を参考指数として置いています。
言い換えると、勝ち負けを測る物差しを、ファンドの側では決めていません。

だから物差しは、持つ側が置くしかありません。
置くならTOPIX(配当込み)です。

その物差しで、最初の2ヶ月を見ておきます。
8月のファンドの騰落率は+3.31%、eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)は+3.84%。
9月はファンドが+0.46%、Slim TOPIXは−0.28%でした。

1ヶ月目は負けて、2ヶ月目は勝った。
どちらにも、購入時手数料は入っていません。

月ごとの勝ち負けは、これからも入れ替わります。
ただ、「毎年1.43ポイントのハンデを埋め続ける」というのが、この物差しで見るということです。
答えが出るのは、10年先。

野村構造変化日本株ファンドの設定後2ヶ月半|売れ続けているか、どう動いたか

初日の1,107億円は、何を見て集まったのか

設定初日で1,107億円。

日経によると、7月に新しく設定された投資信託35本の中で最大で、今年設定された投信の中でも最大だそうです。

この数字を見て「それだけ期待されている良い商品なのだろう」と受け取る方がいると思います。
違います。
初日の1,107億円は、運用成績がゼロ日の時点で集まったお金です。

分かっているのは、野村證券が7月24日から30日までの当初募集の1週間で、1,107億円ぶん売ったという事実だけ。

このファンドは野村證券でしか買えません。
「楽天証券で買えるか」「SBI証券で買えるか」と検索している方がいますが、答えは買えない、です。

つまり1,107億円のほぼ全部が、担当者のいる口座で、担当者の説明を聞いて買われたお金だということになります。

ついでに書いておくと、「今年最大」はいずれ抜かれると僕は見ています。
9月30日に設定されたオルカン高配当(eMAXIS 高配当全世界株式)は、初日約34億円。
まだ小さいですが、答えが出るのは1年後くらいでしょう。
名前はオルカンでも中身はSlimシリーズとは別物で、推奨しているわけではありません。

→ 「オルカン高配当の評判は?」

大きさそのものは、論点ではありません。
論点は、そのお金が「何を見て」集まったかです。

売れ続けているか|口数が減ったのは、51営業日で1日だけ

純資産総額を基準価額で割ると、そのファンドが何口ぶん買われているかが分かります。
値動きで膨らんだ分を取り除いた、純粋な出入りです。

時点基準価額純資産総額口数(7/31=100)
2026/7/319,947円1,101億円100
2026/8/1210,371円1,306億円114
2026/8/3110,276円1,442億円127
2026/9/99,942円1,430億円130
2026/9/3010,323円1,540億円135
2026/10/1610,222円1,547億円137

※投資信託協会の公表データより作成。口数は純資産総額÷基準価額で算出した概算値です

設定から10月16日までの51営業日で、口数が前日より減ったのは1日だけ。
基準価額が設定来の高値をつけた10月6日で、それもわずかです。
8月19日に3.5%下げた日も、10月15日に4.0%下げた日も、口数は増えています。

つまり解約より新規の買いが上回り続けている。
8月だけで約301億円が新たに入り、設定から2ヶ月半で口数は約37%増えました。

8月の301億円は、国内株式型の投資信託の中で月間1位。
7月の1,102億円に続いて、2ヶ月連続の1位でした。

ただ、勢いは落ちています。
同じ計算で、9月に入ったお金は約89億円、10月は16日までで約22億円。
8月の3分の1以下です。

9月の国内株式型の投資信託では、流入の6割以上がインデックスファンドでした(モーニングスター調べ)。
8月はアクティブが7割だったので、主役が入れ替わった形です。

売れているのは、運用が良いからではありません。
まだ2ヶ月半で、良いも悪いも判定できる期間ではない。
売れているのは、売る力があるからです。

どう動いたか|TOPIXと同じ方向に、TOPIXより大きく揺れる

値動きも見ておきます。
設定時の10,000円から、10月6日に設定来最高の10,780円。
そこから10月15日に1日で4.0%下げて10,017円、16日は10,222円で、設定来+2.2%。

購入時手数料3.3%と換金時の0.2%を入れると、損益の分かれ目は約10,350円。
16日の10,222円は、その手前です。
満額払って買った人は、実質で約1.2%のマイナス。

eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)は、同じ期間(7月30日〜10月16日)に+3.8%。
31,471円から32,662円です。
指数そのものではなく、同じように買える商品の基準価額で比べています。

差の大半は、設定初日の1日でついています(Slim TOPIXが+1.3%、このファンドは−0.5%)。
運用が始まった7月31日から10月16日で切ると、このファンドは+2.8%、Slim TOPIXは+2.5%。
ほとんど同じ動きです。

違うのは、揺れの大きさでした。
10月15日、Slim TOPIXが2.4%下げた日に、このファンドは4.0%下げています。
8月19日も、3.1%に対して3.5%。
電気機器が4割近い(9月末で38.6%)ぶん、TOPIXより値動きが大きく出ます。

👉 TOPIXと同じ方向に、TOPIXより大きく揺れる。設定から2ヶ月半の値動きは、それだけです。

念のため書いておくと、2ヶ月半の成績でこのファンドの良し悪しは言えません。
アクティブ運用の評価は、10年単位でしか出ません。

ただ、3.3%の穴だけは初日に確定しています。
運用が始まる前から、指数より3.3ポイント後ろからスタートしている。
この事実だけは、期間の長短と関係ありません。

同じ野村證券だけで売られた新興国株のファンドは、先に設定から半年を迎えました。
指数とどう並んだかは、こちらで確かめています。

→ ノムラ・エマージング・オープン、半年の成績を指数と並べた記事

野村構造変化日本株は10月の下落でどれだけ下がったか|TOPIXの1.7倍、口数は+2.9%

2026年10月、日本株にも下げが来ました。
10月6日の高値から26日の安値まで−8.8%。
同じ期間のTOPIXは−5.2%でした。

2026年10月(高値→安値)下げ幅物差し倍率
野村構造変化日本株ファンド−8.8%TOPIX −5.2%1.7倍
口数(10月7日→27日)+2.9%純資産 1,599億→1,534億円

この記事では「TOPIXと同じ方向に、TOPIXより大きく揺れる」と書きました。
中身の4割が電気機器だからです。

実物は1.7倍。
予告どおりの向きに、予告どおり大きく出ました。

日経平均が−4.9%だった15日、このファンドは−4.0%。
TOPIXは−2.4%です。
日経平均に近い動きをしたのは、値がさの電気機器株を多く持つからです。

口数は、10月7日から27日で+2.9%。
純資産の減少は値下がりの分で、持っている人の総量は増えています。

同じファンドでも、10月高値で買った人は−7.6%、10月に毎日積み立てた人は−3.1%(27日時点)。
9本を同じ物差しで並べた実測は、こちらです。

→ FANG+・フィジカルAI・テック12は下落のときどれだけ下がる?|10月の実測は指数の1.0〜2.7倍

野村構造変化日本株ファンドの口コミ・評判|買った人は、何を書いているか

ここまでは、仕組みと数字の話でした。
では、実際に持っている人は何を書いているのか。

Yahoo!ファイナンスの掲示板を、設定直後の8月3日から10月16日まで通しで読みました。
書き込みは40件で、そのうち12件は毎日の基準価額の報告。
匿名で、事実として保証されたものではありません。

それでも、買った人が何を期待し何に困っているかのサンプルとしては、公式資料よりずっと正直です。

8月|期待側と、慎重側

期待側の声は、はっきりしています。

「野村證券が総力をあげて」。
「10年後笑うつもりです」。
「あんまり上がってこないうちにもうちょい買い増したい」。

長い目で持つつもりの人が、目立ちます。
NISAの成長投資枠の残りで買ったという書き込みもあり、「担当者から営業があったので買ってみた」と続いていました。

慎重側の声も、同じくらいあります。

「10年我慢できるかなぁ。手数料高いので」。
「野村のパワーが見えないね」。

「チマチマ上げてガンと下げる」。
「昨日の下落にはびっくりしました」。

面白いのは、期待側も慎重側も、同じ一つの言葉を使っていることです。
10年。

10年後に笑うつもりの人と、10年我慢できるか不安な人が、同じファンドを持っています。
そして先ほど見たとおり、10年という期間で指数に勝てた日本の大型株アクティブは、過去には2割弱でした。

9月以降|持っている人が、自分で物差しを置き始めた

9月に入ってからの書き込みは、少し空気が変わりました。
目についたのは、指数と並べる声です。

9月30日、このファンドは+1.58%上がりました。
それを日経平均、TOPIX、JPX日経400と並べて、「いずれの上昇幅より低い」と書いた人がいます。
10月7日には、指数が下がる日に一緒に下がらないでほしい、という声もありました。

この記事の前半で、物差しは持つ側が置くしかないと書きました。
掲示板では、持っている人がもう自分で置いています。
そして上で見たとおり、数字もその感覚と一致しています。

「ようやくプラスに」(10月1日)と喜ぶ声と、「厳しかったね」(10月15日)という声のあいだは、2週間でした。
「閑散としてますが」(10月6日)という書き込みも、そのままの空気です。

勧められて買った人へ|疑うべきは商品より「勧めてきた相手」

このファンドが野村證券でしか買えないという事実は、買った人にとって、もう一つの意味を持ちます。

このファンドを持ち続けるかぎり、あなたの口座は野村證券のままだということです。

入口の3.3%は、売った会社の収入です。
信託報酬1.573%も、その一部が保有中ずっと販売会社に入り続けます。

あなたが買った瞬間に、相手の取り分は確定している。
上がるかどうかは、その後の話です。

ネット証券にはこのファンドはありません。
勧めてくる人がいない場所には、勧めることで収入が生まれる商品は並ばない。
それだけの話です。

だから、ここで線を引きます。

👉 勧められて買った商品が2本続けて外れたなら、次に見直すのは商品ではなく口座です。

商品を選び直しても、選ぶ場所が同じなら、次に勧められるのはまた別の「いま一番売れる物語」です。

移すなら、自分で商品を選べて、勧誘の電話が来ない場所へ。
大手のネット証券なら、どこでも構いません。
そのうえで僕は、自分が使っている楽天証券をお勧めします。

もう買ってしまった人へ

売るべきか持ち続けるべきかは、この記事では決められません。
それでも、判断の順番だけは書けます。

まず、入口で払った3.3%は、もう戻ってきません。
取り返せない以上、「元を取るまで持つ」は持ち続ける理由になりません。
払い終えたコストを理由に判断を先延ばしにするのは、行動経済学でいうサンクコスト(埋没費用)の典型です。

決めるべき問いは、ひとつだけです。
「この商品を、いまの値段で、新しく買うか」。

買わないと答えるなら、持ち続ける理由も同じだけ弱いはずです。

NISAの成長投資枠で買った人は、一つだけ知っておいてください。
売った分の枠は、その年のうちには戻りません。
翌年に、買った時の金額ぶんが復活します。

そしてもし動かすなら、ひとつだけ。
売った資金を、また勧められたものに入れないこと。
それをやると、手数料だけ2回払って同じ場所に戻ります。

勧められて買った人が次に迷いやすいのが、毎月分配型の「分配金が減ったら売るか」です。

→ 分配金の増減で売買を決めてはいけない理由

まとめ|「縛られないアクティブ」を見たときの3つの問い

「構造変化」に限らず、「テーマに縛られない」「柔軟に対応する」と説明されるアクティブファンドは、これからも出てきます。
そのたびに誰かの評判を探さなくていいように、この記事の中身を3つの問いにして渡します。

「縛られないアクティブ」を見たときの3つの問い
  • そのファンドは、何に縛られているか説明できるか。説明できないなら、中身は市場平均とほぼ同じ。市場平均なら、市場平均のコストで買えばいい
  • コスト差を、何で取り返す根拠があるか。年1.43ポイントは10年で約15%。過去10年、日本大型株のアクティブは8割が埋められなかった。消えたファンドまで数えた数字で
  • 勝ち負けの物差しはあるか。ファンドが置いていないなら、自分でTOPIXを置いて測る

野村の運用チームが優秀でないと言いたいのではありません。
優秀なプロが真剣に選んでも、コストの差を10年埋め続けるのは、記録の上ではほとんど誰にもできなかった。

だから僕は、日本株を持つならTOPIXのインデックスで持ちます。
勧められた商品の隣に、同じ中身が11分の1のコストで並んでいないか。
それを先に確認します。

「指数で決まり、商品で差がつく」という投資信託選びの全体像は、こちらにまとめています。

→ 「投資信託の選び方|結局どれを選べばいい?」

【本記事の注記】

出典:野村アセットマネジメント 月次レポート(2026年9月30日現在)。
投資信託協会の公表データ(基準価額・純資産総額、2026年10月16日まで)。
モーニングスター「投信資金フロー動向 2026年9月」。
Yahoo!ファイナンス掲示板(2026年10月16日時点)。
2026年10月18日に、9月末のレポートと設定後2ヶ月半の数字で全体を更新しました。

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「野村が総力をあげるなら、プロに任せた方がいいのでは」。
この記事を読んでも、その気持ちが完全には消えない方がいると思います。

なぜ優秀なプロが真剣に選ぶほど、結果として市場平均に負けていくのか。
この本は、それを40年以上前から同じ結論で説明し続けています。

僕自身、アクティブファンドを「自分には選べない」と割り切れたのは、この本を読んでからでした。

▼ テーマが狭すぎる側のファンドを、同じ型で検証した記事はこちら

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【免責事項】
本記事は筆者の個人的な見解・実体験にもとづく情報提供を目的としており、投資・保険の勧誘を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。特定の金融商品・サービスの購入を推奨するものではありません。
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この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー(FP技能士)|東証プライム上場企業の会社員。
40代から資産形成に本気で取り組み、1年で純資産1000万円増を達成。
「今さら遅いかも…」と不安な方へ、データと実体験に基づく合理的な資産形成を発信しています。

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