楽天SCHD・SBI・SCHDは「買い」か|配当が握力になる人には最上位クラス、それでも僕が選ばない理由

「円で買えるSCHD」が、2024年末の登場からこの1年あまりで一気に人気を伸ばしています。

米国の高配当ETF「SCHD」に、日本の投資信託を通じて投資できる。しかも新NISAの成長投資枠で買える——楽天SCHDとSBI・SCHDが相次いで登場して、SNSでも「高配当ならこれ」という声をよく見かけるようになりました。

結論から言うと、配当(分配金)が「投資を続ける握力」になる人にとっては、SCHDは最上位クラスの選択肢だと僕は考えています。

淡々と増えていく分配金が、下げ相場でも売らずに持ち続ける支えになる。

それは数字だけでは測れない、確かな価値です。

一方で、僕自身はSCHDを買っていませんし、これからも買う予定はありません。そのあたりの「向き・不向き」も、データと一緒に正直にお話しします。

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目次

SCHDとは何か|配当で選び抜かれた米国の優良100社

SCHD(正式名称:Schwab U.S. Dividend Equity ETF)は、米国のチャールズ・シュワブが運用する高配当株ETFです。2011年10月に設定され、いまや純資産で数兆円規模に育った、米国の高配当ETFを代表する1本です。

このETFがなぞっているのは「Dow Jones U.S. Dividend 100 Index」という指数。名前のとおり、米国の配当株からえりすぐった100社で構成されています。

ポイントは、その「選び方」です。単に利回りが高い順に並べるのではありません。

  • 10年以上、連続して配当を出し続けていること(これがまず入口の関門)
  • そのうえで、キャッシュフロー対負債比率・自己資本利益率(ROE)・配当利回り・配当成長率——といった財務の健全性と配当の質を複合スコアで評価
  • 上位100社を選び、修正時価総額加重で組み入れる

つまりSCHDは「利回りが高いだけの会社」ではなく、「長く配当を出し続けられる体力があり、かつ財務が健全な会社」を選び抜く設計になっています。

高配当株にありがちな「業績が傾いて株価が下がった結果、見かけの利回りだけ高くなった会社(減配予備軍)」を、入口の10年ルールでふるい落とす。

ここがSCHDの背骨です。

この「選び方」こそが、SCHDを他の高配当ETFと分ける核心です。次は、同じ米国高配当であるVYM・HDV・SPYDと並べて、その違いをはっきりさせます。

VYM・HDV・SPYDと何が違う?|SCHDが選ばれる理由

米国の高配当ETFといえば、SCHDのほかにVYM・HDV・SPYDがよく比較されます。

名前は似ていますが、「どんなルールで銘柄を選ぶか」がまるで違います。

ここが分かると、SCHDが支持される理由が見えてきます。

ETF連動指数銘柄数選び方の骨格加重方法
SCHDDow Jones U.S. Dividend 100約10010年連続配当+財務健全性の複合スコア修正時価総額加重
VYMFTSE High Dividend Yield約450利回りが市場平均より高い銘柄を幅広く時価総額加重
HDVMorningstar Dividend Yield Focus約75財務優良(経済的な堀)+高利回り配当加重
SPYDS&P 500 High Dividend約80S&P500の中で利回り上位80社均等加重

表だけだと横並びに見えますが、選定ルールの中身を言葉にすると性格がはっきりします。

  • SCHD は前章のとおり「10年連続配当という関門+財務健全性スコア」で100社に絞り込む、質重視の中量級。高利回りと財務健全性のバランスを取りにいく設計です。
  • VYM は「市場平均より利回りが高い」というゆるめの条件で約450社を丸ごと拾う、超分散のインデックス寄り。銘柄を選び込まないぶん、値動きは市場平均に近く、利回りはSCHDよりやや控えめになりがちです。
  • HDV は「経済的な堀(moat)を持つ財務優良企業」を重視する約75社。エネルギーやヘルスケアなどディフェンシブに偏りやすく、より守り寄りの顔つきです。
  • SPYD は「S&P500の中で利回り上位80社を均等加重」というシンプルな設計。利回りは最も高くなりやすい一方、均等加重ゆえに景気敏感セクターや不動産に振れやすく、値動きのクセが強めです。

こうして並べると、SCHDは「利回りの高さ」と「減配しにくい会社を選ぶ規律」の、ちょうど中間に立っているのが分かります。

利回りだけならSPYD、分散だけならVYM、守りだけならHDV——それぞれに一芸はある。

でも「配当を出し続けられる優良企業を、そこそこの利回りで、規律をもって選ぶ」というバランスの良さが、SCHDが多くの人に選ばれる理由だと僕は考えています。

なぜいま日本で人気なのか|“円で買える器”の登場

SCHD自体は10年以上前からある米国ETFです。

ではなぜ「いま」日本で人気なのか。

理由はシンプルで、円建ての投資信託という“器”が2024年末に登場したからです。

これまでSCHDに投資するには、米ドルに替えて米国ETFを直接買う必要がありました。

為替の手続き、外国税額控除の確定申告、ドルでの分配金管理——ハードルが高かった。

それが、

  • 楽天SCHD(楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド〈四半期決算型〉):2024年12月設定
  • SBI・SCHD(SBI・S・米国高配当株式ファンド〈年4回決算型〉):2024年12月設定

という円建て投信の登場で、新NISAの成長投資枠で、円のまま、100円から買えるようになりました。

分配金も円で受け取れる。

この「器」の変化が人気に火をつけた、というのが実際のところです。

規模も急拡大していて、両ファンドとも純資産はそれぞれ1,500億円を超える水準まで育っています(2026年時点)。

信託報酬も年0.12%台と、この手の商品としては十分に低い。

「高配当を円で・NISAで・低コストで」という三拍子がそろったことが、支持の背景にあります。

信託報酬だけでは見えない“実質コスト”の考え方はこちらで解説しています

楽天SCHD vs SBI・SCHD|どっちを買う?

「楽天とSBI、どっちのSCHDがいいの?」——これがいちばん多い質問だと思います。

先に結論を言うと、中身はほぼ同じです。

どちらも同じ米国ETF「SCHD」に投資しているので、当然といえば当然。

実際の基準価額を並べてみると、その“ほぼ同じ”がはっきり見えます。

楽天SCHDとSBI・SCHDの基準価額推移(分配金再投資ベース・2024年12月=100)。設定来1年半でともに約27%上昇し、差は最大でも0.7ポイントに収まっている

SBIが設定された2024年12月を100として、分配金を再投資したベースで並べたのが上のグラフです。

1年半でどちらも約27%上昇

2本の差を拡大しても、いちばん開いたところで約0.7ポイント(約70bp)——ほぼ誤差の範囲に収まっています。

信託報酬も、2025年5月に両社そろって引き下げた結果、いまは楽天0.1238%/SBI0.1227%とほぼ横並び(差は0.001%)。ここでの優劣を語るのは、正直あまり意味がありません。

差が出るとすれば、中身よりも使い勝手の部分です。

  • ポイント:SBI・SCHDは投信保有ポイントの対象。楽天SCHDは対象外(楽天は別途カード積立などの経済圏メリット)
  • 決算・分配のタイミング:どちらも年4回だが決算月が異なる
  • すでに使っている証券口座:ふだん使っている方の証券会社で買うのがいちばんラク

要するに、「どっちが優れているか」ではなく「自分が使っている口座で選ぶ」で十分。中身は同じETFなので、器の使い勝手で決めていい、という水準です。

配当が“続ける握力”になる人には、最上位クラス

ここからが本題です。SCHDは、どんな人に向いているのか。

僕が「最上位クラスの選択肢」だと考えるのは、次のような人です。

① 定期的なキャッシュフローが欲しい人

配当(分配金)が、年4回、円で振り込まれる。

給料以外の“入ってくるお金”があるという実感は、資産形成のモチベーションそのものになります。

特に、投資をゲームや義務ではなく「果実を受け取る営み」として続けたい人には、これ以上ない設計です。

② 取り崩し期の心理的な手軽さを重視する人

リタイア後、資産を切り崩して暮らすとき、「保有株を自分で売る」という行為には想像以上に心理的な抵抗があります。

相場が下がっていればなおさら。

SCHDのように分配金が自動で入ってくる仕組みは、「元本に手をつけている」感覚を和らげてくれる。

この“手をつけずに果実だけ受け取る”感覚は、取り崩し期の精神的な支えになります。

③ 下げ相場でも持ち続けられる握力がある人

これがいちばん大事です。

投資でいちばん難しいのは、暴落したときに売らずにいられるか。

SCHDは、株価が下がっても分配金は比較的安定して入ってくるので、「配当が入っているから、まあ持っておこう」という握力が働きやすい。

設定直後や相場が下火になったときにも売らずに持ち続けられた人なら、この商品と長く付き合えるはずです。

投資で最も再現性が低いのは「暴落時に売らないこと」です。もしSCHDの分配金がその握力になるのなら、多少のリターン差を補って余りある価値がある——僕は本気でそう思います。

「お金に色をつけるな」という考え方もあります。配当も含み益も、同じお金には変わりない。それでも人間の心は、色のついたお金(=定期的に入ってくる配当)に動かされる。その心の動きを“味方につける”設計として、SCHDは優秀です。

お金に「色」をつける心理(メンタルアカウンティング)はこちらで詳しく整理しています

ただし「資産の最大化」だけが目的なら、無分配インデックスが合理的

一方で、目的が純粋に「資産の最大化」——つまり、最終的な金額をできるだけ大きくすることだけなら、話は変わります。

まず押さえておきたいのは、分配金を全額そのまま再投資するくらいなら、はじめから分配金を出さないインデックスファンドのほうが理屈のうえでは有利だという点です。

課税口座で分配金を受け取ると、その都度に税金がかかり、再投資までにわずかなタイムラグも生じる。

無分配のファンドはファンド内部で自動的に再投資が回るので、この摩擦がありません。

ここは誤解されやすいので正直に補足します。

NISAの中で持つなら、分配金に税金はかからないので、この“税のロス”はほぼ消えます

楽天SCHD・SBI・SCHDはまさにNISA成長投資枠での保有が主戦場なので、「分配金は税金で損」という説明は、NISA内ではあまり当てはまりません。

それでも、①ファンド内部で回るはずだった複利が分配のたびに途切れること、②受け取った分配金を再投資するのに新しい非課税枠を使うこと——という細かな非効率は残ります。

そして、ここが本質です。

次に見るように、この14年でS&P500がSCHDを上回った最大の理由は、税でも再投資の手間でもなく、“配当を出さない成長株の値上がり”を取りこぼす設計そのものにありました。

税金を脇に置いて「配当込みのトータルリターン」で正直に比べても、その差は残ります。

長期のデータで見てみましょう。

SCHDとS&P500の配当込みトータルリターン推移(2011年10月=100・14.7年)。100がSCHD約608、S&P500約792まで上昇している

SCHDが設定された2011年10月を100として、分配金をすべて再投資したトータルリターン(米ドル建て)で並べたのがこのグラフです。SCHDのデータが取れるいちばん長い期間——約14.7年ぶんです。

結果は、100が SCHD 約608/S&P500 約792。年率にすると SCHD 13.1%/S&P500 15.1%で、この14年あまりは配当込みで正直に並べても、S&P500がSCHDを上回ってきました

ただ、中身を見ると単純な「負け」ではありません。

  • 2022年の下げ相場では、SCHDは −3%程度で踏みとどまり、S&P500の −18%を大きく上回りました(守りは強い
  • 一方で 2023〜2024年の上昇局面では、S&P500が年+25%前後で駆け上がったのに対し、SCHDは +5〜12%程度。上げ相場での伸びを大きく譲った

高配当株は「下げに強く、上げに置いていかれる」——この14年は、まさにその教科書どおりの結果でした。

エヌビディアやアップルに代表されるハイテク成長株は配当利回りが低く、配当を軸に選ぶSCHDには入りにくい(入っても比重が小さい)。

だからこそ、その大きな値上がりの恩恵を取りこぼしやすい構造なのです。

だから、「暴落での安心感」より「最終的な金額の最大化」を優先するなら、無分配のインデックス(オルカンやS&P500)のほうが合理的、というのが僕の結論です。

もちろんこれは過去14年の実績であって、将来を保証するものではありません。

次の10年で高配当株が優位になる可能性も十分にあります。

分配型と無分配型、どちらが得かはシミュレーターで比較しています

高配当株投資の“税と複利”の構造差はこちらでさらに掘り下げています

それでも僕がSCHDを選ばない理由|合理最優先が僕には一番続く

最後に、完全に個人的な話です。

ここまで読んで分かるとおり、SCHDは「悪い商品」ではまったくありません。

むしろ、配当が握力になる人には最上位クラス。

それでも、僕自身はSCHDを買っていませんし、これからも買いません

理由はシンプルで、「資産の最大化に対して最も合理的な手法を選ぶ」ことが、僕の性格上いちばん続けられる方法だからです。

僕にとっての握力は、配当ではなく「これが理屈のうえで最も合理的だ」という納得感です。

無分配の低コストインデックスを淡々と積み立てて、余計な判断をしない。

分配金の使い道に悩まない。

税の繰り延べを最大化する。

この“迷わなくていい状態”こそが、僕が20年、30年と続けられる形なんです。

だから、これは「SCHDより無分配インデックスが優れている」という話ではありません。

「何が自分の握力になるか」は人によって違う、というだけの話です。

あなたの握力が配当なら、SCHDは素晴らしい相棒になります。

あなたの握力が“合理性への納得”なら、僕と同じく無分配インデックスがしっくりくるでしょう。

大事なのは、値動きの説明も、税金の理屈も、向き・不向きも全部分かったうえで選ぶこと。分かって選んだSCHDは、間違いなく良い選択です。

まとめ

  • SCHDは「10年連続配当+財務健全性」で選び抜いた米国優良100社に投資する高配当ETF。VYM・HDV・SPYDと比べても、利回りと規律のバランスが良い
  • 円で・NISAで・低コストで買える「器」(楽天SCHD/SBI・SCHD)が2024年末に登場したことが人気の背景。2本の中身はほぼ同じで、使い勝手で選んでいい
  • 配当が“投資を続ける握力”になる人には、最上位クラスの選択肢
  • ただし「資産の最大化」だけが目的なら、過去14年は配当込みでもS&P500が上回っており、無分配インデックスのほうが合理的
  • 何が自分の握力になるかで選ぶ。分かって選んだSCHDは良い選択

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本記事は筆者の個人的な見解・実体験にもとづく情報提供を目的としており、投資・保険の勧誘を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。特定の金融商品・サービスの購入を推奨するものではありません。

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この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー(FP技能士)|東証プライム上場企業の会社員。
40代から資産形成に本気で取り組み、1年で純資産1000万円増を達成。
「今さら遅いかも…」と不安な方へ、データと実体験に基づく合理的な資産形成を発信しています。

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