「普通預金の金利が0.4%になる」――このニュースを見て、「一番金利が高い銀行はどこだろう」と調べ始めた方は注意が必要です。
2026年6月、日銀は政策金利を約31年ぶりの1%に引き上げました。
これを受けて8月3日から、メガバンクの普通預金金利は0.4%に上がります。
ゼロ金利に慣れた僕たちには、ちょっとした事件です。
- 「どうせなら金利の高い銀行に移そうかな」
- 「普通預金1%をうたう銀行の方が得?」
- 「今のメインバンクのままでいいんだろうか」
こう考え始めたタイミングだからこそ、先にお伝えしたいことがあります。
銀行選びで家計が変わるのは「金利」ではありません。「家計が自動で回る機能」です。
この記事では、金利で銀行を選ぶと何を失うのか、そして僕が実際に使っている2つのネット銀行の使い分けを、家計管理をこれから整えたい人向けに具体的にお話しします。
普通預金0.4%、高い銀行は1%へ|それでも金利で選ぶのは間違い
まず事実の整理から。
- 2026年6月:日銀が政策金利を1.0%へ引き上げ(約31年ぶりの水準)
- 2026年8月3日:メガバンク3行の普通預金金利が0.3%→0.4%へ。主要ネット銀行(楽天銀行・住信SBIネット銀行)も同日0.4%へ
- 金利を看板にする銀行では、普通預金で年1%前後も登場(あおぞら銀行BANK支店は7月から1.0%・対象は100万円まで、東京スター銀行は給与受取などの複数条件クリアで最大1.0%など)
「金利のつく時代」が戻ってきました。これ自体は預金者にとって良いニュースです。
ただし、冷静に電卓を叩きます。
「せっかくなら一番高いところへ」と、金利1%の銀行に乗り換えたとします。
普通預金に100万円を1年間置いた場合、0.4%との差は年6,000円。
税引後なら約4,800円です。
しかも高金利には「対象は100万円まで」「給与受取や投資商品の保有が条件」といった但し書きが付くのが普通で、どれも変動金利。
条件と上限を追いかけて口座を渡り歩いても、この先どこかで別の銀行に逆転されます。
👉 金利差で得られるのは、最大でも年数千円。家計改善としてはほぼ誤差で、効くのは別の場所です。
では、銀行選びで本当に差がつくのはどこか。次で「金利で選んだ人が失うもの」から見ていきます。
金利で銀行を選ぶと何を失うか|年数千円の差より高くつく3つのコスト
コスト1:金利のメリットは、手数料と「時間」で簡単に消える
高金利をうたう銀行の多くは、無料条件が細かく設定されています。「給与受取があれば」「残高◯◯万円以上なら」「平日◯時までの振込なら」――この条件に自分の行動を合わせること自体がコストです。
他行宛の振込手数料は1回150〜330円程度。年数千円の金利メリットは、条件から外れた振込やATM利用が積み重なれば簡単に目減りします。
そしてもう一つ、見落とされがちなのが時間と場所の制約です。
「平日の日中なら無料」は、裏を返せば「あなたの平日の時間を銀行の都合に合わせろ」ということです。窓口やATMに並ぶ時間、無料条件を確認する時間、キャンペーン金利の期限を追いかける時間。
お金は取り返せますが、時間は取り返せません。時間は全員に平等に配られた資源で、だからこそ無駄遣いしない意識が大事です。
この記事で紹介する2行なら、口座開設も振込も設定変更も基本自宅で完結します。
現金が必要ならコンビニATMで24時間。
「銀行のために自分の時間を使う」という発想自体を、家計から消せます。
コスト2:自動化機能がない=先取りが「意志力頼み」に戻る
家計管理の王道は先取り(給料が入ったら先に貯蓄・投資分を分けて、残りで暮らす)です。
問題は、これを手動でやると必ず途切れることです。
忙しい月、出費がかさんだ月、「今月はいいか」と思った月。
僕たちの意志力は、そういう月のためには設計されていません。
毎月手で振り替える運用は、意志力と時間の両方を恒常的に食います。そして先取りが1ヶ月途切れたときに失われる金額は、月数万円――金利差の年数千円とは桁が違います。

👉 銀行選びとは、金利を選ぶことではなく「先取りが自動で回る仕組み」を選ぶことです。
ところが、この自動化機能(他行から自動でお金を引っ張る・自動で振り込む・口座の中を目的別に仕切る)をまともに揃えている銀行は、ほとんどありません。金利ランキング上位の銀行には、まず載っていない機能です。
コスト3:証券口座と繋がらない
今すぐでなくても、先取りが回り始めれば「貯まったお金の一部を投資に回そうか」と考える日はたぶん来ます。
そのとき銀行と証券が連携していないと、投資への入金まで毎月の手作業になります。
ここは後半で詳しくお話しします。
金利は銀行の都合でいつでも変わる数字。機能はあなたの家計を回し続ける仕組み。変わりうる数字で、銀行を選ばない。
僕の実運用|住信SBIネット銀行×楽天銀行の2行体制
ここからは僕が実際に使っている構成です。
結論から言うと、銀行としての機能は住信SBIネット銀行が圧倒的に上位です。
理由は次の3つの機能に集約されます。
①目的別口座|1つの口座の中に「仕切り」を作れる
普通預金の中に、名前を付けたサブ口座(例:生活防衛資金/旅行/車検・家電)を最大10個まで作れます。
「生活費と貯蓄が同じ口座で混ざって、いくら貯まったのか分からない」――家計管理が続かない最大の原因はこれです。
目的別口座は、口座を増やさずにお金に役割を与えられます。
生活防衛資金を独立した仕切りで見えるようにしておくだけで、うっかり使う事故が消えます。
→ 生活防衛資金はいくら必要?2026年・物価高とNISA満額時代の最低ライン
②定額自動入金|他行から毎月自動でお金を引っ張る
「給与振込口座は会社指定で変えられない」という人でも、毎月決まった日に決まった額を手数料無料で自動的に住信SBI側へ移動できます。先取りの入口が自動化される、家計管理の要の機能です。
③定額自動振込|毎月の振込を自動で実行する
家賃、駐車場代、子供への仕送り、夫婦の共通口座への入金。毎月発生する振込を一度設定すれば、あとは全自動です。
この3つを組み合わせると、「給料が入る→自動で移動→自動で仕切られ→自動で振り込まれる」という流れが完成します。毎月あなたがやることは、ゼロです。
補足として、ATMはコンビニで24時間使えて、アプリ認証(スマート認証NEO)だけでカードなしでも入出金できます。
無料回数は残高などで決まるランク制ですが、預金50万円+条件1つで月5回、100万円+条件2つで月10回。
定額自動振込も無料回数を使いますが、月5回あれば普通の家計はまず足ります。
証券口座との親和性|楽天銀行を使う理由はここにある
では楽天銀行は何のために使うのか。楽天証券とセットにしたときに意味が出る銀行です。
- マネーブリッジ(無料の口座連携):設定するだけで普通預金金利が優遇され、8月3日からは0.48%。メガバンクの0.4%を上回ります
- 自動入出金(スイープ):投資信託の買付時に、証券口座の残高が足りなければ楽天銀行から自動で充当。NISAの積立設定と組み合わせると、投資への入金まで自動化の流れに組み込めます
住信SBI側にも、SBI証券との連携「SBIハイブリッド預金」という同種の仕組みがあります(8月3日から0.41%)。
つまり整理はシンプルで、
👉 銀行単体の機能なら住信SBI。あなたがどの証券会社でNISAをやっているかで、ペアの銀行が決まる。
楽天証券なら楽天銀行、SBI証券なら住信SBIをハブに。
僕は両方の口座を持ち、役割を分けて使っています。
証券会社の選び方はこちらの記事でお話ししています。
→ NISAはどの証券会社でやるべきか|知らずに損した僕の失敗と「見えないコスト」
「ドコモの銀行」になる住信SBI、使い続けていいのか
ここまで住信SBIを推してきましたが、正直に触れておくべき変化があります。
住信SBIネット銀行は2025年にNTTドコモの子会社になり、2026年8月3日に「ドコモSMTBネット銀行」へ社名変更します。くしくもメガバンクの金利0.4%適用と同じ日です。
決まっていることを整理すると(2026年7月時点):
- 口座番号・キャッシュカード・金融機関コードは変更なし。公共料金やクレカの口座振替も手続き不要
- 給与や年金の受取口座にしている人だけ、手続きが一つ:勤務先(年金なら年金事務所)に新しい銀行名を連絡する必要があります。早めに済ませたいところですが、会社の給与システム側に新しい銀行名がまだ登録されていないこともあります(僕の勤務先がそうでした)。旧銀行名の振込も2026年10月30日までは新銀行名に読み替えて入金されるので、慌てる必要はありません。この期限までに確実に済ませておきましょう
- 手数料体系(ランク制のATM・振込無料回数)は現時点で変更発表なし
- 目的別口座・定額自動入金・定額自動振込などの機能も継続
- ポイントはスマプロポイント→dポイントへ切り替え(8月20日以降のdアカウント連携後。元には戻せません)
手続きらしい手続きは給与受取の連絡くらいで、家計管理の核になる機能面の改悪は、今のところありません。ポイント制度の変更はありますが、この記事の主題である「自動で回る仕組み」は無傷です。
将来、ドコモ経済圏への誘導が強まって条件が変わる可能性は否定できません。
僕も注視しています。
ただ「改悪されるかもしれないから使わない」では、現在確実に得られる自動化のメリットを捨てることになります。
改悪が実際に来たら、そのとき乗り換えを検討すれば十分です。
口座の乗り換えは、投資信託の乗り換えと違って課税イベントもありません。
👉 現時点の事実で判断する。住信SBIが筆頭の選択肢であることは、まだ変わっていません。
これから家計管理を始める人の最小構成
最後に、「で、結局何をすればいいのか」。
ステップ1:住信SBIネット銀行の口座を作る
まずは1行でいい。目的別口座で「生活防衛資金」の仕切りを作るところから。
ステップ2:定額自動入金を設定する
給与口座から毎月定額(まずは手取りの1〜2割)を自動で引っ張る。これで先取りの入口が自動化されます。金額の決め方は下の記事でお話ししています。
→ 「貯金と投資の割合」に正解はない|使う時期で分ければ迷わない
ステップ3:毎月の振込を定額自動振込に置き換える
家賃や共通口座への入金など、手で振り込んでいるものを全部自動に。
ステップ4(投資を始めるとき):証券会社に合わせてペアの銀行を足す
楽天証券なら楽天銀行+マネーブリッジ。SBI証券ならハイブリッド預金を設定。
ここまでやると、給料日以降のお金の流れに「あなたの意志力」が登場しなくなります。家計改善は節約の我慢比べではなく、仕組みの入れ替えです。
→ エネルギー補助金が終わった。家計を守るのは「節約」ではなく「仕組みの入れ替え」だ
まとめ|0.4%は乗り換えの理由ではなく、仕組みを見直す合図
- 普通預金0.4%時代、金利1%の銀行に乗り換えても差の実額は100万円で年6,000円(税引後約4,800円)。銀行を乗り換える理由にはならない
- 金利で選ぶと、手数料・時間・意志力という「金利差より桁の大きいコスト」を払うことになる
- 銀行選びの基準は、先取りが自動で回る機能。目的別口座・定額自動入金・定額自動振込の住信SBIが銀行機能では筆頭
- 楽天銀行は楽天証券とのセットで生きる。証券会社に合わせてペアを決める
- 「ドコモの銀行」化による機能面の改悪は現時点でなし。事実が変わったら、そのとき見直せばいい
金利上昇のニュースは、銀行を乗り換える合図ではなく、お金の流れを自動化できているかを見直す合図です。
年数千円の金利差を追いかけるより、毎月の先取りが止まらない仕組みを一度作る。それが、これから家計管理を整える人にとっての最短ルートだと僕は考えています。
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本記事は筆者の個人的な見解・実体験にもとづく情報提供を目的としており、投資・保険の勧誘を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。特定の金融商品・サービスの購入を推奨するものではありません。
