証券口座を開いたら、保有商品の横に見慣れないラベルが付いていませんか。
「本年末NISA期間満了」。
2022年に一般NISAで買った商品は、2026年12月末で5年の非課税期間が終わります。
証券会社のサイトには「年内に売るか、課税口座へ移すかを選んでください」と書いてある。
ここでこう考える人もいると思います。
「年内に売らないと、利益に税金を取られる」。
でもこれは違います。
年内に売っても、何もせず課税口座へ移っても、これまでの利益に税金はかかりません。
移るときに、取得価額が年末の時価に書き換わるからです。
だから「売るか、移すか」は、税金では決まらない。
決めるのは、売った後のお金をどこに置くかです。
僕自身は2022年にはまだ本気で資産形成に取り組めていなくて、この判断をする権利がありません。
もっと早く始めていれば、と思う側です。
だからこそ、持っている人には迷わず、損をせず、年末を越えてほしい。
この記事では、年末に起きることを一度整理したうえで、「売る人・何もしない人」を3つに分けて答えを出します。
- 2022年に一般NISAで買った分に、2026年末に起きること(移管・取得価額・ロールオーバー不可)
- 「売るか移すか」の決め方は税金ではなく来年の枠で決まること
- 売る人も年内に売る必要はないこと(1月に売っても、税金は年末からの値動き分だけ)
結論:一般NISAの非課税期間が終わっても、過去の利益に税金はかからない
先に答えを置きます。
👉 一般NISAの非課税期間が終わる時、売るか移すかを決めるのは税金ではありません。来年の新NISA枠を、別のお金で埋められるかどうかです。
理由はシンプルで、どちらを選んでも、2022年から今日までの利益は非課税のまま確定するからです。
年内に売れば非課税で現金になる。
何もしなければ、年末の時価を新しい取得価額として課税口座へ移る。
つまり、税金の面では同じです。
違いが出るのは、その後。
売った現金を新NISAに入れて非課税を続けるか、特定口座で課税されながら持ち続けるか。
ここだけが分かれ目になります。
| あなたの状況 | 答え |
|---|---|
| ① 来年の新NISA枠(年360万円)を、別のお金で埋められる | 何もしない。年末に自動で特定口座へ移る |
| ② 来年の枠を埋めるお金が足りない | 1月に売って、新NISAで買い直す(年内に売っても同じ) |
| ③ 一部しか埋められない | 足りない分だけ売る |
「何もしない」が答えになる人のほうが、たぶん多い。
その理由を、仕組みから順に確かめていきます。
2022年に一般NISAで買った分に、2026年末に起きること
まず、制度の事実だけを並べます。
何もしなければ、特定口座へ自動で移る
一般NISAの非課税期間は、買った年を含めて5年(暦年で数えます)。
2022年に買った分は、1月に買っても12月に買っても、2026年12月末で終わります。
期間が終わると、保有している商品は課税口座へ自動的に移管されます。
手続きはいりません。
特定口座を開設していれば特定口座へ、開設していなければ一般口座へ移ります。
ほとんどの人は口座を作った時に特定口座(源泉徴収あり)も開いています。
心当たりがなければ、今のうちに確認を。
一般口座だと、売った時の税金の計算と申告が自分の仕事になります。
新NISAへは移せない
2023年までの旧NISAでは、非課税期間が終わる商品を翌年の枠へ移す「ロールオーバー」ができました。
新NISAへのロールオーバーはできません。
非課税を続けたいなら、いったん売って、新NISAで買い直すしか道がない。
これが、この記事の分岐②が生まれる理由です。
取得価額が「年末の時価」に書き換わる
ここがいちばん大事なところです。
課税口座へ移るとき、その商品の取得価額は、2026年12月の最終営業日の時価に書き換わります。
2022年に1万円で買ったものが、年末に2万5千円になっていたとします。
移管後の取得価額は2万5千円。
2022年からの1万5千円の値上がりは、非課税のまま確定です。
移管後に課税されるのは、2万5千円から先の値上がり分だけ。
「移管すると過去の利益に税金がかかる」は、誤解です。
課税口座に移った時点で元本が2万5千円と表示され、利益が出ていないように見えてしまいますが、
そんなことはありません。
もう1つ、少しややこしい点があります。
移管先の特定口座で同じ商品をすでに持っている場合、移管分(年末の時価)と既存分の取得価額が平均されるので、画面上の損益はさらに読みにくくなります。
ただ、合計の税金は変わらないので、これを避けるためだけに年内に売る必要はありません。
なお、2023年に一般NISAで買った分は2027年末、つみたてNISAは買った年から20年で、同じことが起きます。
一般NISAであれば、来年も同じ判断が待っています。
2022年に一般NISAで買った人は、ほぼ全員が含み益|S&P500で2.2〜2.6倍、オルカンで2.2〜2.5倍
一般NISAの口座は、2022年末の時点で1,079万口座あります(金融庁調べ)。
では、2022年に買った人の手元で、今なにが起きているか。
2022年は、米国の利上げで株式が下がった年でした。
それでも、そこから4年ほどで株価は大きく上がり、円安も進んだ。
2022年のどの月に買っていても、インデックスファンドなら今は含み益です。
| 買った月 | eMAXIS Slim S&P500 | eMAXIS Slim 全世界株式 |
|---|---|---|
| 2022年1月末 | +156% | +143% |
| 2022年3月末 | +132% | +124% |
| 2022年6月末 | +149% | +138% |
| 2022年10月末(年間の高値) | +124% | +123% |
| 2022年12月末 | +153% | +141% |
2026年10月7日の基準価額で計算。分配金なし。投資信託協会のデータから筆者が算出
2022年の高値で買っていても2.2倍。
100万円なら、220万円以上になっている計算です。
この数字を見ると、「年内に売れば、この利益がまるごと非課税で確定する」に目が行きます。
その通りです。
ただ、前の章で見たとおり、何もしなくても同じ利益が非課税で確定します。
利益の大きさは、売るか移すかの判断材料にはならない。
判断材料は、別のところにあります。
一方、個別株を一般NISAで買っていた人には、含み損の銘柄があるかもしれません。
その場合は向きが逆になるので、後の章で分けて書きます。
一般NISAの商品を売るか移すか|税金は同じ。違うのは「売った後のお金の置き場」
ここからが本題です。
税金で差がつかないなら、何で決めるか。
👉 売った後のお金を「非課税で持ち続けられる場所」があるかどうか。それが新NISAの来年の枠です。
分岐①:来年の枠を別のお金で埋められるなら、何もしない
新NISAの年間投資枠は360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)。
来年、この枠を別のお金=給料からの積立や手元の預金で埋めきれる人は、旧NISAの分を売る理由がありません。
売ったとしても、その現金の行き先は特定口座です。
来年の枠はもう別のお金で埋まっているから。
特定口座で買い直すなら、移管されて特定口座に置かれるのと結果は同じ。
違いは、売ってから買い直すまでの空白と、手間だけです。
だから、この人の答えは「何もしない」。
年末に自動で特定口座へ移るのを待つだけでいい。
分岐②:来年の枠を埋めるお金が足りないなら、1月に売って新NISAで買い直す
逆に、来年の360万円を埋めきれない人。
この人にとって、旧NISAの分を売って新NISAへ入れ直すことは、非課税を続ける唯一の方法です。
ただし、年内に売る必要はありません。
年末に特定口座へ移ってから、1月に売り、2027年の枠で同じ商品を買い直す。
それで、2022年からの利益は非課税で確定し、これからの値上がりも非課税で持てます(理由は次の節で)。
売ってから買い直すまでの空白は、売却代金が口座に入るまでの数営業日。
この間に相場が上がれば、その分は取り逃がします。
でもこれは「来年の枠を待つ」のとは別の話です。
枠を使うために必要な、最短の空白。買い直しは一括で戻せばいい。
→ NISAと特定口座の使い分け|まとまったお金は「来年の枠」を待たずに動かす
分岐③:一部しか埋められないなら、足りない分だけ売る
来年の枠360万円のうち、別のお金で200万円しか埋められないなら、旧NISAから160万円分だけ売る。
残りは何もせず、特定口座へ移す。
これだけです。
年内に売る必要はない|1月に売っても、税金は年末からの値動き分だけ
「年内に売らないと」と思っている人に、ここがいちばん伝えたいところです。
何もせず特定口座へ移った直後、取得価額は年末の時価になっています。
つまり1月の時点で、含み益はほぼゼロ。
1月に特定口座で売って新NISAで買い直しても、かかる税金は12月30日からの値動き分だけです。
年内に売れば税金ゼロ。
1月に売れば、年末年始の数日分の値動きに約20%。
差はそこだけで、どちらも「過去4年の利益」には触れません。
しかも年内に売ると、売却代金は年明けまで現金のまま。
新NISAの2027年の枠は1月にならないと使えないので、急いで売っても早く買い直せるわけではない。
だから、12月に慌てて売り注文を出す理由はありません。
年末年始に判断を持ち越しても、損はほとんど出ない。
例外は一般口座に移る人だけで、1月に売ると申告が自分の仕事になるので、年内に売っておくほうが楽です。
それでも年内に売るなら、非課税かどうかは注文日ではなく受渡日で決まります。国内株は12月28日の約定まで、投資信託は商品ごとに違い、S&P500やオルカンのインデックスファンドは12月23〜24日の申込が目安です(証券会社の年末スケジュールで確認を)
僕ならどうするか
僕には2022年の一般NISAがないので、ここからは「もし」の話です。
もし持っていたら、答えは分岐①です。
新NISAの枠は、給料からの積立で埋める設計にしている。
だから旧NISAの分は売らず、特定口座へ移して、そのまま持つ。
特定口座で課税されるのは、これからの値上がり分だけ。
それを嫌って売り買いの手間と空白を作るより、何もしないほうが合理的だと考えます。
「売って現金にしておく」は、この3分岐には入れていません。
それは非課税期間の話ではなく、資産を使う出口の話だからです。
出口の順番は、別の記事で整理しています。
→ 資産運用の出口戦略|4%ルールを“取り崩す順番”で完成させる設計図
含み損の銘柄は逆|移管すると損失は「切り捨て」になる
ここまでは含み益がある前提でした。
一般NISAで個別株を買っていて、今も含み損の銘柄がある人は、向きが逆になります。
課税口座へ移る時、取得価額は年末の時価に書き換わります。
1万円で買って、年末に7千円の株なら、移管後の取得価額は7千円。
3千円の損は、税金の計算に使えなくなります。
損をした事実が消えるわけではありません。
変わるのは「その損を、ほかの利益と相殺して税金を減らせるか」で、答えは「できない」です。
税の言葉では、損失の切り捨てといいます。
では年内にNISAの中で売れば使えるかというと、それもできません。
NISA口座の損失は、もともと課税口座の利益と損益通算できないからです。
👉 2022年からの含み損は、売っても移しても、税金の計算には使えない。この銘柄で税金を取り戻す道はありません。
だから、含み損の銘柄で考えることは1つだけです。
税金ではなく、今日の値段でその株を新しく買うか。
買うなら持ち続け、買わないなら売る。
なお、移管した後に下がった分は、ふつうの特定口座の損として、ほかの利益と通算できます。
→ 損益通算・繰越控除とは?損した年にだけ税金を取り戻す仕組み
まとめ|一般NISAの非課税期間終了は「何もしない」が正解の人のほうが多い。売るのは、来年の枠が埋まらない人だけ
2022年に一般NISAで買った分について、この記事の内容を整理します。
- 2026年末に非課税期間が終わり、何もしなければ特定口座へ自動で移る。新NISAへは移せない
- 移管時に取得価額が年末の時価になるので、過去の利益はどちらを選んでも非課税。売るか移すかは税金では決まらない
- 決めるのは、来年の新NISA枠360万円を別のお金で埋められるか。埋められるなら何もしない。埋められないなら1月に売って新NISAで買い直す
- 売る人も年内に売る必要はない。1月に売っても税金は年末からの値動き分だけ
- 含み損の銘柄は逆で、移管すると損失は切り捨て。売っても移しても税金には使えないので、銘柄の判断だけで決める
👉 「年末までに売らなきゃ」の正体は、税金ではなく置き場の問題でした。来年の枠が埋まる人は、ラベルを見ても手を動かさなくていい。
今月やることは3つです。
①証券口座に「NISA期間満了」のラベルが付いている商品を確認する。
②来年の360万円を、給料と手元のお金で埋められるか数える。
③特定口座があるか、心当たりがなければ確認する。
この3つで、年末の答えは出ます。
そして来年、2023年分の人は同じ判断をもう一度。
そのときは、この記事の表に数字を入れ替えるだけで済むはずです。


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この記事の答えは「何もしない」でした。
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本記事の注記
制度の内容は2026年10月時点の金融庁NISA特設ページ、野村證券・楽天証券・松井証券の案内にもとづきます。含み益の倍率は投資信託協会公表の基準価額(2026年10月7日)から筆者が計算したもので、分配金・税金・売買コストは考慮していません。年内に売却する場合の最終申込日の目安(国内株12月28日・投資信託12月23〜24日)は受渡日・ファンド休日からの筆者の計算であり、実際の締切は各証券会社の年末年始スケジュールでご確認ください。税務の個別判断は税理士などの専門家にご相談ください。
