子供の学費のために毎月9,210円を15年間。学資保険に払い込んで、受け取りは177万円だった。
同じ金額をオルカン(全世界株式インデックスファンド)に積み立てていたら、625万円になっていた。
差額は448万円。同じ月9,210円が、行き先を変えるだけでこれだけ変わる。
これは僕自身の話だ。長男が生まれて数年後、妻が信用金庫の窓口でアフラック「夢みるこどもの学資保険」に加入しました。
当時の僕には投資の知識がほとんどなく、「子供のためになるなら」と妻に任せきりにしていました。
悪い選択ではなかった。でも、今の知識があればやらなかった。
2027年1月、「こどもNISA(正式名称:未成年者特定累積投資勘定)」がスタートします。0〜17歳の子供名義で、年間60万円まで非課税で投資できる制度です。
この記事では制度の概要を整理した上で、「学資保険 vs こどもNISAでオルカン積立」を実データで比較します。
30代で子供が生まれた方、これから生まれる方に読んでほしい。
2027年1月スタート「こどもNISA」を3分で整理する
基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 未成年者特定累積投資勘定 |
| 対象年齢 | 0〜17歳 |
| 年間投資枠 | 60万円(月換算5万円) |
| 非課税保有限度額 | 600万円 |
| 非課税保有期間 | 無期限 |
| 投資対象 | つみたてNISAと同じ長期積立向け投資信託のみ(個別株・ETF不可) |
| 開始時期 | 2027年1月 |
「新NISAのつみたて投資枠を、0〜17歳に解禁した」と理解すれば十分です。
払い出しのルール
- 12歳未満:原則払い出し不可
- 12歳以降:子供本人の同意+親権者の申し出があればいつでも非課税で払い出し可能
小学校入学費や習い事の費用には使えません。
ただし中学受験の塾代・高校の入学費・大学の受験料といった「12歳以降の支出」には対応できます。
ひとつ大事な注意点:600万円は「別枠」ではない
こどもNISAで使った600万円は、子供が18歳になって成人NISAに移行する際、成人NISAの非課税枠(上限1,800万円)に統合されます。
「子供用に600万+成人後に1,800万=合計2,400万円」にはなりません。
こどもNISAで600万円を使い切ると、成人後の残り枠は1,200万円です。
大きな支障にはなりませんが、把握しておく必要があります。
同じ165万円の出費で何が起きたか。15年間の実証データ
加入の経緯
2011年4月、妻が信金の窓口でアフラック「夢みるこどもの学資保険」に加入しました。
月額9,210円、満期180万円のプランです。
決め手は妻の「入っておきたい」という一言。
当時の僕はほぼ無関心で、家計管理を妻に任せきりにしていました。
「子供が生まれたのだから何かに備えた方がいいよね」という感覚でした。
15年間、月9,210円を払い続け、今年、長男が18歳になって満期を迎えました。
受け取り額の実態
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 払込総額(15年・180ヶ月) | 165.8万円 |
| 受取一時金 | 177万円 |
| 利益 | +11.2万円 |
| 実質返戻率 | 約106.8% |
| 年換算利回り(概算) | 約0.4%/年 |
15年間積み続けて、利益は11万円。年利に換算するとおよそ0.4%です。
「元本は確保されているし、保険機能もついている」と言われれば悪くないように聞こえるかもしれません。
でも次の数字と並べてほしい。
同じ金額をオルカンに積み立てていたら
MSCI ACWI(全世界株式指数)の円ベース実績値を使い、同じ期間・同じ月額で毎月積立投資していたらどうなっていたかをシミュレーションしました(出典:myindex.jp)。
学資保険 vs オルカン積立 ── 15年間の比較
月9,210円 / 2011年4月〜2026年3月(払込総額165.8万円)
※ 学資保険ラインは満期180万円を基準とした直線表示(名目上の価値推移)。途中解約は元本割れとなるため、加入時点での長期保有を前提とした契約です。
※ オルカンはMSCI ACWI円ベース実績値(出典:myindex.jp)を使用。過去実績であり将来を保証するものではありません。
※ オルカンの運用益には通常約20.315%の課税がありますが、こどもNISA口座を利用した場合は非課税です。
| 払込総額 | 2026年3月末の価値 | 倍率 | |
|---|---|---|---|
| 学資保険 | 165.8万円 | 177万円 | 1.07倍 |
| オルカン積立 | 165.8万円 | 625万円 | 3.77倍 |
👉 同じ165万円の出費で、448万円の差が生まれました。
「学資保険でよかった」と感じた瞬間もあった
オルカン積立でも元本を割り込む時期がありました。
グラフの左端、加入初年度(2011年)は世界株式が年間-11.8%の下落です。
年末時点では払い込んだ額を下回っていました。
2018年も前年比で約4%下げています。
こういった相場が不調な時期に「やっぱり元本保証の学資保険にしておいてよかった」と感じる方も多いと思います。
それ自体は正常な感覚だと思います。問題は、その感覚に引っ張られて15年という時間軸を見失うことです。
短期の元本割れに耐えられなくて積立を途中でやめてしまうリスク——これがこどもNISAを選ぶ上での最大の注意点です。
投資の知識がないまま始めると、2011年や2018年のような局面で売りたくなるかもしれません。
まず仕組みを理解してから始めてほしいと思います。
妻への感謝と、後悔の整理の仕方
「奥さんの判断が間違っていたのでは」と捉える方がいるかもしれません。そうは思っていません。
当時の二人には投資の知識がありませんでした。
知識がなければ「元本保証・保険機能つき」と言われれば学資保険を選ぶのは合理的な判断です。
現預金だけよりはずっとよかったし、当時の自分では165万円すら貯められなかった可能性があります。
ただ、正しく比較できる知識を身につけられていなかっただけです。
→ 保険を月7万円払い続けていた当時の話は、このシリーズで整理しています。
学資保険の「元本保証」に隠された罠
学資保険、自分でちゃんと調べれば、こんな記載があります。
「解約払戻金は多くの場合、払込保険料の合計額よりも少ない金額となります。特に、ご契約後の経過年月数によっては、解約払戻金はまったくないか、あってもごくわずかです」
学資保険は「満期まで持ち切れば元本+αが戻る」商品です。
裏返せば、途中解約した場合は高確率で元本割れします。
営業の説明では、満期時の返礼率(例:106.8%)が強調されます。
でも「途中解約のリスク」と「掛け捨て保険との死亡保障の比較」と「保険会社が得る手数料(非開示)」はほとんど説明されません。
オルカンの「短期的な元本割れ」は価格変動で生じ得ますが、確定しているわけではありません。
しかし、学資保険の「途中解約での元本割れ」は契約設計として最初から組み込まれています。
この違いを知った上で選んでほしい。
投資は怖い。そう感じる方も多いかもしれません。
でも学資保険も実は投資なんです。価格変動のリスクを保険会社側が負っているだけ。
そして保険会社は、その期間、その掛け金を受け取れば、元本保証しても十分な利益が見込める。
それを知っている。というだけです。
しかも短期(途中解約時)の変動リスクだけは顧客側が負っている。
保険会社が利益を出すために、極めて合理的に設計されています。
「保障はどうするの?」——掛け捨て月1,000円で解決する
学資保険の「死亡保障」の実態
学資保険の売り文句のひとつが払込免除特則です。
契約者(親)が死亡した場合に、以降の保険料が免除されます。
子供は満期まで待てば、当初の満期金をそのまま受け取れます。
「親に万一のことがあっても、子供の積み立てが守られる」というわけです。
ただし、これは「死亡保険金が出る」のではありません。
あくまで「残りの掛け金が免除されるだけ」です。
僕の事例の場合、加入2年後(2013年)に死亡したとすれば、子供が受け取るのは13年後の180万円のみです。
→ 学資保険を含む貯蓄型保険の見直し手順はこちらで整理しています。
「掛け捨て1,000円+オルカン8,210円」に分けると何が起きるか
月9,210円を「掛け捨て生命保険:1,000円」と「オルカン積立:8,210円」に分けるとどうなるでしょうか。
30歳男性が月1,000円の掛け捨て定期生命保険に加入した場合、20年定期で300〜500万円程度の死亡保障が目安です(保険会社・商品・加入年代によって異なる。保守的に500万円で試算)。
死亡した場合の比較
| 死亡タイミング | 学資保険(払込免除) | 分離型(死亡保険金+オルカン残高) |
|---|---|---|
| 加入2年後(2013年末) | 180万円(子が18歳時) | 500万+20.7万=520万円超 |
| 加入5年後(2016年末) | 180万円(子が18歳時) | 500万+71.4万=571万円超 |
| 加入8年後(2019年末) | 180万円(子が18歳時) | 500万+108.5万=608万円超 |
どのタイミングで亡くなっても、分離型の方が家族が受け取れる金額は大きくなります。
学資保険の払込免除は「将来の満期金を守る」だけですが、掛け捨ての死亡保険金はその時点で即座に出るからです。
生存し続けた場合の比較
| 15年後の価値 | |
|---|---|
| 学資保険 | 177万円 |
| 分離型(オルカン8,210円/月) | 557万円(保険料18万円は別途支出済み・合計支出は学資保険と同額) |
👉 死亡しても、しなくても。分離型が学資保険を上回ります。
こどもNISAを始める前の3つの確認
①投資対象は「つみたてNISA」と同じ。迷ったらオルカン一択
こどもNISAで買える商品は、長期積立・分散投資向けの投資信託に限られます。個別株や高コストのアクティブファンドは対象外です。
「何を選べばいいかわからない」という方は、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)一択でよいです。
低コスト・全世界分散・維持管理不要の三拍子が揃った選択肢です。
▼ こどもNISAのオルカン選びで迷っている方へ

②12歳未満の間は緊急資金として使えない
こどもNISAは12歳未満の払い出しができません。
小学校入学費用・習い事の月謝・急な医療費など、12歳より前に必要な出費には対応できません。
こどもNISAとは別に、生活防衛資金は現金で確保すること。
③600万円は成人NISAの「追加枠」ではない
H2①でも触れましたが重要なので再確認します。
こどもNISAの600万円は、子が18歳になると成人NISAの1,800万円枠に統合されます。
「こどもNISA600万+成人NISA1,800万=2,400万円」にはなりません。
600万円を使い切った状態で18歳を迎えると、成人後のNISA残り枠は1,200万円です。
すでにジュニアNISAを持っている人へ
ジュニアNISA(旧制度)は2023年末で廃止されました。新規購入はできません。
ただし既存残高については、廃止措置により払い出し制限が撤廃されています。
子供が18歳未満でも、いつでも非課税で払い出せる状態です。
既存残高はそのまま保有しておけばよく、焦って動く必要はありません。
ただし、これからの新規積立については2027年1月まで待つ必要はありません。
親名義のNISA枠が残っているなら、今すぐ親のNISAで積立を始めるほうが合理的です。
待つ分だけ機会損失になります。NISA枠が満額という方は特定口座での積立でも構いません。
こどもNISAは2027年以降に子供名義で上乗せするための制度、と位置づけておけば十分です。
まとめ。学資保険を選ぶ合理的な理由は、今はない
学資保険は、保険会社が手数料を取る商品です。
返礼率106.8%と言っても、15年かけてやっと元本が6.8%増えるだけです。
今、そしてこれからのインフレを考えれば、実質的な購買力が増えているかどうかも怪しいです。
「でも投資はリスクがある」という声はわかります。
確かに、オルカンは加入初年度に元本を割りました。2018年も一時下落しました。
ただ、ここで考えてほしい。学資保険も途中解約すれば元本割れします。
「元本保証」とは「満期まで解約しない」という条件のもとで成立する約束です。
途中で解約できない制約のある商品が、本当に「安心」なのでしょうか。
オルカンの元本割れは時間が解決します。
学資保険の中途解約損は、解約した瞬間に確定します。
18年という時間は、リスクを吸収するのに十分な期間です。
👉 18年の時間があるなら、こどもNISAの方が合理的です。
今すぐできること
- 年60万円の枠をフルに使わなくてもよいです。月1万円から始めても、18年あれば積み上がります
- 死亡保障が心配なら、掛け捨て生命保険をプラスしましょう
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ひとつだけ正直に言います
こどもNISAで積立を続けるには、下落局面でも売らない強さが必要です。2011年や2018年のような局面で「損している」と感じても持ち続けられるか——その自信がないなら、まず投資の基本を学ぶことを優先してほしいと思います。体系立ててまとめられている書籍で学ぶのが一番の近道です。
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【本記事の注記】
- 学資保険の比較データは飛雄自身の契約実績(アフラック「夢みるこどもの学資保険」2011年4月加入)に基づく
- オルカンのシミュレーションはMSCI ACWI円ベース実績値を使用(出典:myindex.jp)。2026年Q1は推定値を含む
- 過去実績であり将来のリターンを保証するものではない
- 掛け捨て保険の死亡保障額は2010年代前半の水準で試算した推定値。実際の保障額は保険会社・商品・加入年齢によって異なる
本記事は筆者の個人的な見解・実体験にもとづく情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。特定の金融商品・サービスの購入を推奨するものではありません。
