最近、YouTubeなどのCMで「インベスコQQQ」をよく見かけます。
あれは、米国で1999年から運用されているNASDAQ100のETFそのものです。
2026年6月9日から、それが東証でも587Aというコードで買えるようになりました。
円で買えて、NISAの成長投資枠も使えます。
経費率は0.18%。
NISAで人気のNASDAQ100投信(0.198〜0.2035%)より、わずかに安い。
「本家で、しかも投信より安いなら、そちらが上」と考えるのは自然です。
ただし、1口103,200円(2026年11月6日)からで、分配金が年4回出ます。
差がつくのは経費率ではなく、この2つのほう。
毎月積み立てるなら、587Aより投信のほうが合います。587Aを選ぶ意味があるのは、まとまったお金を一度に入れて、取引時間中の価格で売買したい人です。
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- インベスコQQQ(587A)の骨格と、名前が似ている4つの商品の違い
- 587AとNASDAQ100投信で、何が同じで何が違うか
- 分配金の手取りと、30年で比べたときの差
- 587Aを選ぶ意味がある人・ない人
インベスコQQQ(587A)とは|CMの商品は、米国の本家QQQそのもの
骨格を並べます。
- 正式名称:インベスコQQQトラスト シリーズ1
- コード:587A(東証)
- 種類:外国籍ETF(米国で設定されたETFを、東証にも上場)
- 上場日:2026年6月9日
- 連動する指数:NASDAQ100
- 総経費率:0.18%
- 売買単位:1口(103,200円・2026年11月6日の終値)
- 分配:年4回(3・6・9・12月)
- NISA:成長投資枠で買える
中身は、米国のQQQと同じファンドです。
587Aの1口あたり純資産(ファンドの中身を口数で割った金額)は、米国のQQQの1口を円に直したもの。
9月29日なら737.91ドル×157.46円で、116,191円でした。
指数との日々の乖離率は0.00%(東証の日々の開示)。
ファンド全体の純資産は約4,978億ドル。
円で約78兆円です。
CMの商品は、日本向けに新しく作ったファンドではない。78兆円の本家を、東証で買えるようにしたもの。
名前が似ている「インベスコQQQ」は4つある
CMを見て「インベスコQQQ NISA」で検索すると、似た名前の商品がいくつも出てきます。
先に分けておきます。
- 米国上場のQQQ:本家。ドル建てで、米国株の口座で買う
- 東証上場の587A:1と同じファンドを、円で、東証で買う。この記事の主役
- SBI・インベスコQQQ・NASDAQ100:投資信託。米国のQQQM(QQQの姉妹ETF)を買い付ける。信託報酬0.2388%、100円から
- インベスコQQQ メガ・ファンド:投資信託。連動する指数が違う。NASDAQ100の時価総額上位約45%の銘柄で作る「ナスダック100メガ指数」に連動する
4は、名前にQQQが入っていても中身は別物です。
NASDAQ100全体を持つつもりで買うと、ずれます。
587AとNASDAQ100投信の違い|中身は同じ。違うのは「器」
インベスコは商品ページで、ETFの魅力を3つ挙げています。
- リアルタイムで取引が可能
- 低い取引コスト
- 証券会社で売買可能
どれも事実です。
では、毎月決まった額を積み立てる人にとってはどうか。
1つめのリアルタイム取引は、積み立てる人はほとんど使いません。
毎月同じ日に、同じ額を買うのが積立だからです。
2つめのコストは、かつてはETFのはっきりした強みでした。
2018年に出たiFreeNEXT NASDAQ100の信託報酬は、今も0.495%。
当時のQQQは0.20%で、差は約0.3ポイントありました。
今は違います。
投信の信託報酬は0.2%前後まで下がり、いちばん安いものは0.1958%。
587Aとの差は、0.02ポイントほどしか残っていません。
3つめは、証券会社なら投信も買えます。
違いが出るのは、銀行の窓口では587Aを買えない点だけ。
並べると、こうなります(投信は、ニッセイ・楽天プラス・eMAXISのNASDAQ100の3本)。
| 項目 | 587A | 投信(3本) |
|---|---|---|
| 経費率 | 0.18% | 約0.2% |
| 最低金額 | 約10万円 | 100円 |
| 積立 | 1口単位 | 毎月自動 |
| 分配 | 年4回 | なし |
| 売買 | 取引時間中 | 1日1回 |
※投信3本の信託報酬は0.198〜0.2035%、最安はSBI・NASDAQ100インデックス・ファンドの0.1958%(2026年11月6日時点)。587Aの0.18%は総経費率で、運用にかかる費用をまとめた数字です。
経費率の差は、100万円で年200円前後。
30年持てば、約4.7万円の差になります(ニッセイNASDAQ100と比べた試算※)。
投信のコストは、ETFに追いついた。
「ETFのほうが安い」という利点は、もうほとんど残っていない。
僕はそう考えています。
残った違いのなかで、いちばん効くのが分配金です。
※100万円を一度に入れ、コストを引く前で年7%(うち分配0.45%)、30年で計算。値動きは両方同じで、米国で引かれる10%の税金は両方に入れています。
→ ETFと投資信託の違いをもっと広く知りたい人は、ETFと投資信託、どっちを選ぶべきかへ。
587Aの分配金|年0.45%が現金で出てくる。NISAでも米国の税金10%は戻らない
本家QQQの分配金は、直近1年で1口3.09ドル。
価格の0.45〜0.5%にあたります。
この記事では0.45%で計算します。
100万円分なら、年に約4,500円。
これが年4回に分かれて、現金で入ってきます。
日本の保有者に届くのは、米国の支払日の約1か月後です。
100万円・1年の分配金は、口座でこう変わる
分配金には、まず米国で10%の税金がかかります。
そのあとの扱いは、口座で変わります。
- NISA:米国で約450円引かれ、日本では非課税。手取りは約4,050円
- 特定口座:米国で約450円引かれ、残りに日本の税金20.315%(約820円)。手取りは約3,230円
- 投信(分配なし):分配金は出ない。米国の税金は、ファンドの中で同じように引かれている
NISAで受け取る分配金は、米国で引かれた10%を取り戻せません。
ここは投信でも同じで、ファンドの中で引かれた米国の税金は戻ってきません。
NISAでの税金の条件は、587Aと投信でほぼ同じ。
違いは、587Aでは分配金が現金で外に出てくることです。
「二重課税調整」の対象リストに587Aは載っていない。取り戻すなら確定申告
特定口座で持つ人は、もう1つ知っておいてください。
外国の株に投資する国内のETFの一部には、分配金を受け取るときに、外国で引かれた税金を自動で調整する仕組みがあります。
二重課税調整と呼ばれる仕組みです。
東証は、その対象になる可能性が高いETFの一覧を出しています。
2026年10月20日版の一覧に、587Aは載っていません。
国内で設定されたNASDAQ100のETF(2631・2840など)は載っています。
インベスコの商品ページにも、税金についての説明はありません。
587Aは外国籍ETFです。
国内で設定されたETFのように、自動で調整されるとは限りません。
自動で調整されなくても、取り戻す道はあります。
確定申告で「外国税額控除」を使う方法です。
ただし、楽な道ではない。
- 毎年、確定申告が要る:明細書を付けて申告します。手元に戻るのは、100万円あたり年に約360円。申告すると日本の税金が「米国の税金を引く前の金額」で計算し直されるので、450円まるごとは戻りません
- 全額が戻るとは限らない:控除には、その年の所得税額に応じた上限があります
- 「申告不要」で済ませられなくなる:特定口座(源泉徴収あり)の分配金は、申告せずに終わらせるのがふつう。申告すると、その分配金が所得に数えられます
3つめで困るのは、国民健康保険や後期高齢者医療に入っている人。
所得に数えられたぶん、保険料が上がることがあります(65歳以上なら介護保険料も)。
配偶者控除や扶養に入れるかどうかの判定にも響く。
会社の健康保険に入っている会社員なら、保険料は変わりません。
税率も、申告のときに申告分離課税を選べば20.315%のまま。
変わるのは、所得に数えられるかどうかです。
以前は「住民税だけ申告不要にする」方法で、保険料への影響を避けられました。
2024年度の住民税からは、この方法は使えません。
1口約10万円だと、分配金で買い足せない
もう1つの違いが、1口の大きさです。
587Aは1口単位でしか買えません。
100万円分(9口)の分配金は、NISAの手取りで年約4,000円。
いまの価格と分配金のままで数えても、1口買い足すのに約26年分が要ります。
つまり分配金は、口座に現金のまま残るか、自分で別の商品に回すしかない。
投信なら、同じお金はファンドの中で自動的に再投資されています。
NISAの口座で受け取った分配金を買い直すと、成長投資枠を新しく使うことになります。
→ 分配金を出す商品と出さない商品の違いは、分配型と無分配型どっちが得かで詳しく書きました。
30年で比べると、差を決めるのは分配金の扱い
100万円を一度に入れて、30年持った場合で比べます(前提は上の※と同じ・分配は0.45%)。
相手はニッセイNASDAQ100です。
- NISA・分配金を毎回全部再投資できた:587Aが約4.7万円多い
- NISA・分配金を再投資しなかった:587Aが約38万円少ない(約34万円が現金のまま積み上がる)
- 特定口座・米国で引かれた10%を取り戻さなかった:587Aが約3.4万円少ない(30年後に売って、税金を払ったあとの手取りで比較)
特定口座では、分配のたびに日本の税金もかかります。
投信なら、売るまで税金を先送りできる分です。
確定申告で、米国の税金を毎年上限まで差し引けた場合は、587Aが約2.9万円多くなります。
自動で調整されないなら、確定申告を30年続けた場合の数字です。
経費率の差は、30年で約4.7万円。
分配金を再投資するかどうかの差は、約38万円。
8倍の開きです。
0.02ポイントを取りにいくには、年4回の分配金を自分で再投資し続ける手間が要る。
特定口座なら、毎年の確定申告も。
毎月積み立てる人には、その手間に見合わない。
587Aの手数料と買い方|楽天証券・SBI証券で買える? 積立はできる?
楽天証券・SBI証券で買える?
587Aは東証の上場銘柄です。
国内株を扱う証券会社なら、株と同じ画面で、円で売買します。
インベスコの商品ページでも「日本の証券会社で円建てでの購入が可能」と案内しています。
売買の手数料は、国内株の体系が当てはまる。
SBI証券の「ゼロ革命」は、国内に上場しているETFも手数料0円の対象です。
条件は、インターネットコースで、書面を電子交付にすること。
楽天証券も、NISAの成長投資枠なら国内ETFの売買手数料は0円。
587Aの取扱いと手数料は、使っている証券会社の銘柄ページで確かめてください。
毎月積み立てられる?
国内株を積み立てる仕組みがある証券会社もあります。
ただ、そこで587Aを選べたとしても、買えるのは1口(約10万円)単位。
月3万円の積立はできません。
取引は薄い
587Aの1日の出来高は、上場から11月6日までの中央値で約270口。
金額にすると、1日約2,800万円です。
ETFの価格は、売りたい人と買いたい人の注文で決まります。
取引が薄い銘柄ほど、1口あたり純資産から離れた価格で約定することがある。
買うときは、価格を指定する指値が基本です。
もう1つ、暴落の日のことも考えておいてください。
2026年11月5日の米国市場で、NASDAQ100は1日で6.4%下がりました。
翌6日の587Aは、前日より6,000円安い102,000円で始まり、終値は103,200円(4.4%安)。
ETFは取引時間中ずっと価格が見えます。
下がっていく値を見ながら、売り注文を出せてしまう。
投信は1日1回の基準価額でしか動かせないので、その日のうちに手放すことはできません。
値動きを見ずに済むことを、僕は投信の利点に数えています。
587Aを選ぶ意味がある人|まとまったお金を、取引時間中の価格で入れたい人
条件は3つです。
- NISAの成長投資枠に、まとまったお金(数十万円以上)を一度に入れる
- 取引時間中に、自分で価格を決めて売買したい
- 分配金を自分で再投資する手間を、30年かけ続けられる
3つ全部に当てはまるなら、587Aは筋のいい選択肢。
本家QQQのファンドを、ドルに替えずに、投信より低い経費率で持てます。
1つでも外れるなら、投信を選んでください。
毎月の積立、クレジットカード積立なら、投信は自動で続きます。
特定口座で長く持つ人も、投信なら売るまで税金を先送りできる。
→ 分配金が出る商品をNISAと特定口座のどちらに置くかは、高配当株はNISAと特定口座のどっちで持つ?で整理しています。
米国株の口座で本家QQQを買っている人には、ドルに替える手間がなくなる利点もあります。
ただし米国には、経費率0.15%の姉妹ETF(QQQM)も上場している(2026年9月末のインベスコの資料)。
米国株の口座をすでに持っている人なら、そちらのほうが安い。
東証には、国内で設定されたNASDAQ100のETFもあります。
iFreeETF NASDAQ100(2840)は信託報酬0.11%で、1口2,000円台。
二重課税調整の対象リストにも載っています。
コストと税金の扱いで選ぶなら、587Aが一番とは限りません。
まとめ|NISAのNASDAQ100は、積立なら投信、一括なら587Aも選択肢
- 中身は同じ本家QQQ——投信のコストがETFに追いつき、経費率の差は0.02ポイント。100万円・30年で約4.7万円
- 違いは分配金と1口の大きさ——年0.45%が年4回、現金で出てくる。1口約10万円なので、分配金で買い足せない。二重課税調整の対象リストに載っておらず、特定口座で米国の税金を取り戻すなら確定申告
- 毎月積み立てるなら投信——NASDAQ100の投信は、NISAのNASDAQ100、どれを選ぶ?の上位3本から選べば十分
CMの商品は本物です。
78兆円の本家を、円で、0.18%で持てる。
ただ、毎月の積立に向く器ではありません。
同じNASDAQ100でも、器で手取りが変わる。経費率より先に、「分配金をどうするか」で選んでください。
NASDAQ100そのものを持つかどうかで迷っている人は、こちらを先に。
→ オルカン・S&P500・NASDAQ100、18年比較で見えた「暴落の深さ」の順番
【本記事の注記】
587Aの骨格・分配の時期は東京証券取引所の新規上場銘柄概要(2026年5月22日)と管理会社の開示、1口あたり純資産・乖離率・純資産総額は東京証券取引所の日々の開示(2026年9月29日)、二重課税調整の対象リストは日本取引所グループの公表資料(2026年10月20日更新)から。
価格・出来高・分配金はYahoo Finance(2026年11月6日取得)、投信の信託報酬は2026年11月6日時点、iFreeETF NASDAQ100(2840)の信託報酬は東京証券取引所の銘柄資料(2026年2月27日)から。
外国税額控除と配当の課税方式は国税庁タックスアンサー(No.1240・No.1330)、住民税の課税方式と保険料への影響は自治体の案内(世田谷区・港区ほか)から。
試算は筆者が計算したもので、税金は単純化しています。
過去の値動きで、将来の成績を示すものではありません。
📚 「ETFか投信か」で、もう迷いたくない人への1冊
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新しい商品が出るたびに、「こっちのほうが安いのでは」と気持ちが動きます。
でも差を決めていたのは、経費率より、手間をかけずに続けられるかどうかでした。
『ほったらかし投資術』は、手間をかけずに続ける仕組みの作り方を、金融のプロと会社員の2人がまとめた本です。
普通の会社員がどう投資に向き合うか。プロと会社員が話し合って出した答えとして、僕は読みました。
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この記事で比べたNASDAQ100の投資信託を、100円から積み立てられます。NISAの成長投資枠にも使えます。
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本記事は筆者の個人的な見解・実体験にもとづく情報提供を目的としており、投資・保険の勧誘を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。特定の金融商品・サービスの購入を推奨するものではありません。
