ライフプラン表の作り方|老後2,000万円を「自分の数字」で考える

「老後2,000万円が必要」という言葉を、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

でも、この2,000万円という数字を見て、こう思いませんでしたか。

「自分の場合は、本当に2,000万円も必要なの? それとも、2,000万円で足りるの?」

正直に言うと、僕も最初はそうでした。
2,000万円という金額だけが独り歩きしていて、自分にとって多すぎるのか足りないのか、判断する方法がわからなかったのです。

その答えを出してくれるのが、この記事で紹介する「ライフプラン表」です。
ライフプラン表とは、これからの収入・支出・資産を年ごとに並べて、自分の家計の未来を1枚にした表のことです。

しかも、ライフプラン表でわかるのは「自分にいくら必要か」だけではありません。
もし本当にお金が足りないとわかったとき、それをどう準備すればいいのかまで、同じ1枚の表の上で考えられます。

この記事では、ライフプラン表の作り方を5つの数字に絞って解説し、記事内に置いたシミュレーターで、あなた自身の数字をその場で試せるようにしました。

👉 老後2,000万円は「平均の話」。自分に必要な額も、その準備の仕方も、自分の数字でしか見えてきません。

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目次

老後2,000万円は「平均の話」でしかない

そもそも「老後2,000万円問題」の2,000万円は、どこから来た数字なのでしょうか。

これは金融庁の報告書が示した、「高齢夫婦無職世帯の平均的な収入と支出の差」をもとにした試算です。
平均で毎月5万円ほど赤字になり、それが30年続くと約2,000万円足りなくなる、という計算でした。

ここで注目してほしいのは、「平均」という言葉です。

平均値は、たくさんの人の数字をならした結果にすぎません。
収入も、支出も、家族構成も、住んでいる家も、人によってまったく違います。
持ち家の人と賃貸の人では、老後の住居費がまるで変わります。
年金額も、共働きか片働きかで大きく差が出ます。

同じ年代でも、貯蓄や負債の状況は人それぞれです。
同年代のリアルな現在地は家計調査データからこちらで確認できます。

40代の貯蓄額・負債額の平均と、今すぐ動き出すステップ

つまり、2,000万円という数字は「平均的な誰か」の話であって、あなたの数字ではありません
人によっては、もっと必要かもしれない。逆に、2,000万円も貯めなくていいかもしれない。
それは、自分の数字を並べてみるまでわかりません。

僕がライフプランという考え方にたどり着いたのは、まさにここでつまずいたからでした。
2,000万円と言われても、自分にとって多すぎるのか足りないのかが、まったく判断できなかったのです。

そしてもう一つ。
仮に「自分には足りない」とわかったとして、ではどうやって準備するのか
平均の数字は、その問いにも答えてくれません。

足りなかったのは、金額の大きさではありませんでした。
「自分の場合はいくら必要で、それをどう用意するのか」を線で追いかける方法だったのです。

ライフプラン表とは「家計の未来を1枚にした表」

ライフプラン表とは、これから先の家計を年単位で並べた表のことです。

たとえば40歳の今から95歳までを縦に並べ、各年に「収入」「支出」「その年の収支」「資産残高」を書き込んでいきます。
すると、何歳のときに資産がいくらになっているか、どこで赤字に転じるかが、1本の線として見えてきます。

老後2,000万円問題が「点」だとしたら、ライフプラン表は「線」です。

点は、ある一瞬の目標額しか教えてくれません。
2,000万円という到達点だけを見ても、そこにどうたどり着くのか、たどり着いた後にどう減っていくのかはわかりません。

一方、線で見ると、お金の流れそのものが見えます。
現役のうちに資産がどう積み上がっていくのか。
リタイア後に、それをどう取り崩していくのか。
「いつ」「いくら」「どんな理由で」お金が動くのかが、貯める時期から使う時期まで、ひと続きで把握できるのです。

だからこそ、ライフプラン表は「いくら必要か」と「どう準備するか」を同時に教えてくれます。
必要額のゴールと、そこへ向かう積み立てのペースが、1本の線の上でつながって見えるからです。

これが、ライフプラン表をおすすめする一番の理由です。

ライフプラン表は5つの数字で作れる

「年ごとの表」と聞くと難しそうに感じるかもしれません。
でも、本質はとてもシンプルです。
次の5つの数字さえ決めれば、ライフプラン表の骨格はできあがります。

① 今の手取り収入:世帯で、月にいくら入ってくるか
② 毎月の生活費:現役のうちと、リタイア後でいくらか
③ リタイアの年齢と、その時点の資産:何歳まで働き、その時いくら貯まっているか
④ 年金の見込み額:65歳から、月にいくら受け取れそうか
⑤ 運用利回り:手元の資産を、年に何%で増やす前提にするか

この5つを、1年ずつ未来に向かって計算していくだけです。

計算の中身は1行の式で表せます。

その年の資産残高 = 前年の残高 ×(1+利回り)+ その年の収支(収入−支出)

これを毎年くり返すと、資産の推移が1本の線になります。
教育費や住宅ローンといった「特定の時期だけ出ていくお金」も、出ていく年に支出として足せば、ちゃんと表に反映されます。

とはいえ、これを手計算やExcelで一から作るのは骨が折れます。
そこで、5つの数字を入れるだけでライフプラン表とグラフが自動で出るシミュレーターを用意しました。
まずは、あなた自身の数字で試してみてください。

数字を入れ替えると、グラフの線がリアルタイムで動きます。
最初は正確でなくてかまいません。だいたいの数字でいいので、まずは1本の線を引いてみることが大事です。

ライフプラン表でわかる3つの真実

シミュレーターを動かしてみると、平均の話だけでは見えてこない事実がいくつも浮かび上がります。
ここでは、特に多くの人が見落としがちな3つを挙げます。

真実1:年金は増えないのに、生活費は増えていく

年金は、受け取り始めたあと大きくは増えません。
ところが生活費は、物価の上昇(インフレ)とともに少しずつ増えていきます。

つまり、リタイア直後は黒字でも、年を追うごとに収支が悪化していく構造になりがちです。
リタイア時点の資産が2,500万円あっても、この差がじわじわ効いて、後半で資産が尽きることは珍しくありません。

真実2:住居費は「終わり方」で老後が変わる

持ち家でローンを完済していれば、その後の住居費はぐっと下がります。
一方、賃貸の場合は、家賃が一生かかり続けます。

シミュレーターで「持ち家・完済」と「賃貸」を切り替えてみると、同じ条件でも資産の減り方がまるで違うことがわかります。
住居費は、老後の家計を左右する大きな分かれ道です。

真実3:一番大切なのは「具体的に想像すること」

そして、これが僕が一番伝えたいことです。

若い人ほど、老後はまだまだ先のことに感じられて、なかなか意識できません。
僕自身もそうでした。
でも、一度ライフプラン表を作って自分の老後をイメージしてみると、見える景色が変わります。

最初は適当な数字でかまいません。
大事なのは、「自分の場合はこうなる」という1本の線を、一度引いてみることです。

👉 老後2,000万円は他人の数字。自分の線を1本引いた瞬間に、それは「自分ごと」に変わります。

将来が赤字でも慌てない。4つの打ち手

ライフプラン表を引いてみて、途中で資産がマイナスに転じる線が出ても、落ち込む必要はありません。
むしろ、今のうちに気づけたことが最大の収穫です。
時間があるほど、打てる手は増えます。

将来の赤字に対する打ち手は、大きく4つあります。

支出を減らす:固定費を中心に、毎月の支出を下げる
働く期間を延ばす:リタイア年齢を後ろにずらす
入金力を上げる:収入を増やし、投資に回す額を増やす
運用の前提を見直す:利回りの想定を現実的にする

この中で、即効性があって効果も大きいのは「支出を減らす」です。
特に固定費は、一度見直せばその効果が毎年続きます。

ただし、ここで一つ、やりがちな失敗をお伝えしておきます。

それは、自分でコントロールできないところに力を注いでしまうことです。

たとえば、すでにしっかり投資に回せている人が、さらに利回りを上げようと躍起になる。
これは、自分の努力では決められない部分に時間を使っているのと同じです。
労力の割に効果が小さく、相場次第で結果も変わってしまいます。

それよりも、支出や入金力のように自分でコントロールできるレバーに集中したほうが、確実に線は改善します。

そもそも収入・支出・運用をどんな順番で整えればいいのかは、資産形成の全体像としてこちらで整理しています。

資産形成はこの公式だけ|収入・支出・運用の“正しい順番”

だからこそ、ぜひシミュレーターをいろいろ触ってみてください。
どの打ち手を、どれくらい動かせば線が上向くのか。
正解は一つではありません。
あなたの生活に合った打ち手を、自分の手で見つけてほしいのです。

ライフプラン表は「作って終わり」じゃない

最後に、一番大切なことをお伝えします。

ライフプラン表は、一度作って満足するものではありません。
年に1回、見直していくものです。

収入も、支出も、家族の状況も、毎年少しずつ変わります。
最初に引いた線は、正直、かなりざっくりしたものでかまいません。
でも、毎年見直していくと、数字の解像度が少しずつ上がっていきます。

解像度が上がると、打ち手もより具体的に考えられるようになります。
「来年は通信費を見直そう」「あと2年働けば線が安定する」というように、行動が具体化していくのです。

健康診断を年1回受けるように、家計にも年1回の「健診」を。
それがライフプラン表の本当の使い方です。

なお、今回のシミュレーターでは、運用利回りの初期値をあえて1%にしています。
これは「定期預金くらいの、ほぼ増えない前提」を出発点にするためです。
今まだ投資に回せていない人でも、リアルな数字として線を引けるようにしました。

そして、もし「もう少し利回りを上げられたら、線はどう変わるんだろう」と感じたなら。
それは、投資を正しく学び始める一番いいタイミングです。

👉 ライフプラン表は、未来を当てる道具ではありません。未来を「自分で動かせる」と気づくための道具です。

まずは5つの数字を入れて、あなたの線を1本、引いてみてください。

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この記事を書いた人

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