「ファングプラスより信託報酬安いし気になる!」。
楽天・テック12の掲示板には、こんな書き込みが並んでいます。
2026年9月25日に設定された、米国のテック企業12社に集中して投資するインデックスファンドです。
買えるのは楽天証券だけ。
設定から4週で、純資産は11.6億円から26.5億円へ増えました。
そして10月23日、基準価額は1日で5.1%下がりました。
結論から言うと、信託報酬が安いのは本当です。ただ中身は、上位7社に84%を均等に置く、かなり強い集中です。
その7社のひとつが、6月に上場したばかりのスペースX。
この記事では、テック12の中身とコスト、設定からの値動き、掲示板の声を順に見ていきます。
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- 楽天・テック12の骨格(コスト・販売会社・決算)と、SBI証券で買えない理由
- 構成銘柄12社の中身と、スペースXが12%入っている仕組み
- 設定から4週の値動きを、FANG+・NASDAQ100・S&P500と並べた結果
- FANG+・メガ10・S&P10とのコストの違い
- 掲示板の口コミと、NISAの成長投資枠に入れる前に考えたいこと
楽天・テック12とは|まず骨格を数字で見る
正式な名前は「楽天・米国テクノロジー株式集中投資インデックス・ファンド」。
楽天投信投資顧問が運用する、指数に連動するタイプのファンドです。
骨格を並べます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名 | 楽天・米国テクノロジー株式集中投資インデックス・ファンド(愛称:楽天・テック12) |
| 運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
| 連動する指数 | Solactive・米国超大型テクノロジー株式12指数(配当込み、円換算ベース) |
| 設定日 | 2026年9月25日(募集は9月10日から) |
| 購入時手数料 | なし |
| 信託報酬 | 年0.462%(税込) |
| 信託財産留保額 | なし |
| 決算 | 年1回(10月15日)。初回は2027年10月 |
| NISA | 成長投資枠の対象 |
| 為替ヘッジ | なし |
| 販売会社 | 楽天証券(ほかに三井住友信託銀行。銀行の自己資金での申込みのみ) |
「楽天テック12 SBI」と検索した方への答えも、この表にあります。
今、個人が買えるのは楽天証券だけ。
SBI証券では取り扱っていません。
もう1つ、目論見書の表紙には「特化型運用を行います」と書かれています。
1社で10%を超えるような、比率の大きい銘柄を持つファンドに付く表示です。
👉 低コストのインデックスファンド。ただし、業界のルールで「特化型」の表示が必要になるほど、偏った指数に連動します。
楽天・テック12の構成銘柄|12社ではなく「7社に84%」
テック12の指数は、NASDAQに上場する大きな会社の中からテクノロジー企業を選び、時価総額の上位12社を組み入れます。
ここまでは、よくある作り方です。
違うのは、配分のルールでした。
| 銘柄 | 比率(見直し時) | |
|---|---|---|
| 上位7社 | ブロードコム、アマゾン、アップル、エヌビディア、アルファベット、マイクロソフト、スペースX | 各12%(計84%) |
| 残り5社 | AMD、マイクロン、テスラ、シスコ、メタ | 各3.2%(計16%) |
※2026年6月30日時点(楽天投信投資顧問の特集ページ)。年4回の見直し時の比率で、日々の値動きでずれます
名前は「12」でも、値動きのほとんどを決めるのは上位7社。
メタやテスラは、3.2%しかありません。
しかも上位7社は、時価総額の大小に関係なく、同じ12%ずつ。
世界最大級のマイクロソフトと、上場したばかりの会社が同じ重さで入っています。
スペースXが12%入っている
スペースXは、2026年6月12日にNASDAQに上場しました。
調達額は約750億ドルで、IPO(新規上場)としては過去最大です。
テック12の指数は、年4回の定期見直しを待たずに、臨時でスペースXを組み入れました。
大型のIPOがあれば、その都度入れ替える。
これが、テック12の売りの1つになっています。
裏を返すと、こういうことです。
上場したばかりで、まだ値が定まっていない時期の株を、ルールどおり12%で買う。
次に大型IPOが出れば、また同じことが起きます。
NASDAQ100と比べると、重さの違いがはっきりします。
スペースXは2026年7月7日にNASDAQ100にも組み入れられましたが、そのときの比率は約0.53%でした。
テック12では12%。
同じ会社を、20倍以上の重さで持つことになります。
→ NASDAQ100のルール変更(2026年)|スペースXが15営業日で組み入れられた理由
掲示板には「スペースエックス様様やね」という声もあれば、「紙装甲なのはスペースXの比率が高いからか。かなりじゃじゃ馬な投信かもね」という声もありました。
どちらも、同じ仕組みの表と裏です。
👉 テック12の正体は、7社に同じ額ずつ賭けるファンド。「12社」より「7社」が実態です。
楽天・テック12の成績|設定から4週で-6.4%、1日で-5.1%の日も
設定から4週の値動きを見ます。
10月23日の基準価額は9,362円。
設定時の1万円から、6.4%のマイナスです。
この日は1日で5.1%下がり、運用会社が受益者向けにお知らせを出しました。
理由は、指数そのものの4.1%の下落と、1.1%の円高。
テック株の下げと円高が、同じ日に重なりました。
設定日から10月22日までを、ほかの米国株ファンドと並べます。
| ファンド | 設定来(9月25日→10月22日) |
|---|---|
| 楽天・テック12 | -1.3% |
| iFreeNEXT FANG+インデックス | -2.8% |
| 楽天・プラス・NASDAQ-100 | -2.5% |
| ニッセイ・S米国グロース株式メガ10 | -0.2% |
| Tracers S&P500トップ10 | -0.3% |
| eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | +0.4% |
※投資信託協会の基準価額から筆者が計算。テック12の設定日(9月25日)にそろえています。テック12の10月23日(-5.1%)は、ほかのファンドの同じ日の値が出ていないため含めていません

4週では、どれが優れているとは言えません。
言えるのは、揺れの大きさのほう。
日々の値動きから計算すると、テック12の振れ幅はFANG+と同じくらいで、S&P500の約2倍でした(4週分の参考値)。
掲示板には、こんな書き込みもあります。
「SOXはもう一括で持ってるしボラが大き過ぎる FANG+も同様」「今後はテック12を積んでいく」。
この4週を見るかぎり、テック12の揺れはFANG+より小さくはありません。
5年で大きく勝ったグラフは「シミュレーション」
運用会社の特集ページには、テック12の指数が5年でNASDAQ100やFANG+を大きく上回ったグラフが載っています。
ただ、このグラフには「シミュレーション」と明記されています。
指数のルールを過去に当てはめて計算した数字です。
実際にこの指数で運用した成績とは違います。
たとえばスペースXは2026年6月まで上場していないので、この5年の大半には入っていません。
目論見書にも、この指数の年ごとの成績が「参考情報」として載っています。
ファンドができる前の年の数字です。
2023年は+111.2%。
2022年は-38.4%でした。
同じ目論見書には、先進国株全体との比較も載っています。
この5年で一番悪かった1年は、先進国株が-7.2%、この指数は-38.4%。
→ 防衛テックETFの「TOPIXに圧勝したグラフ」も、指数が生まれる前の話だった
👉 上がる年の+111%と、下がる年の-38%は、同じ仕組みから出てきます。片方だけを買うことはできません。
楽天・テック12とFANG+・NASDAQ100の違い|コストは安い、集中はもっと強い
掲示板でよく見る評価は「FANG+より信託報酬が安い」。
これは事実です。
| テック12 | FANG+ | メガ10 | S&P10 | NASDAQ100 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 銘柄数 | 12 | 10 | 10 | 10 | 100 |
| 配分 | 上位7社 各12%+5社 各3.2% | 均等 | 均等 | 時価総額 | 時価総額 |
| 信託報酬(税込・年) | 0.462% | 0.7755% | 0.385% | 0.10725% | 0.198% |
※FANG+=iFreeNEXT FANG+インデックス、メガ10=ニッセイ・S米国グロース株式メガ10インデックス、S&P10=Tracers S&P500トップ10インデックス、NASDAQ100=楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド
信託報酬は、FANG+の約6割。
100万円を持つと、毎年のコストはFANG+が約7,800円、テック12が約4,600円です。
ただ、集中型の中で一番安いのはS&P10。
信託報酬はテック12の約4分の1です。
メガ10も、テック12より少し低い。
そして集中の強さは、FANG+より上。
FANG+は10社に10%ずつですが、テック12は7社に12%ずつです。
集中型の3本(FANG+・メガ10・S&P10)を比べた記事では、「選ぶならS&P10が一番合理的。ただし僕は買わない」と書きました。
テック12を足しても、この結論は変わりません。
→ メガ10とFANG+はどっちがいい?|S&P10を足した3本比較
楽天・テック12の評判・口コミ|掲示板の4週間
Yahoo!ファイナンスの掲示板を、10月2日から10月23日まで読みました。
4週間で90件近い書き込みがあり、買う気の強い声が中心です。
先に断っておくと、掲示板は匿名の書き込みで、事実として保証されたものではありません。
ただ、これから買う人が何を考えているかは、よく分かります。
期待の声|「FANG+より安い」「上位を厚くしたい」
「ファングプラスより信託報酬安いし気になる!」。
「NASDAQ100持ちだけど、上位層さらに厚くするために買いましたわ」。
「FANG+より楽天テック12で勝負」。
FANG+やNASDAQ100をすでに持っていて、その上に重ねる人が目立ちます。
目立つのは「来年のNISA成長投資枠に入れたい」
「来年初から成長NISA満額で入ります」。
「年初に成長投資枠一括240万ぶち込みたい」。
「夫婦成長NISA枠をすべて楽天テック12に集中投資したいと考えています」。
今年の枠を使い切った人が、2027年1月を待つ書き込みが続きます。
「SBIで買えないの?」
「SBIも作ってくれよ〜」。
「SBI証券まだかなぁ」。
今のところ、個人が買えるのは楽天証券だけです。
ほかの証券会社で取り扱いが始まるかどうかは、発表されていません。
下げると「バーゲンセール」
10月中旬の下げでは、こんな声が出ました。
「いきなりのバーゲンセール開催中です」。
「8000円台まで下げてくれないかな〜」。
下げで買い増したくなる気持ちは分かります。
ただ、7社に集中したファンドの下げは、市場全体の下げとは性質が違う。
市場全体には、時間をかけて戻ってきた歴史があります。
特定の7社が、同じように戻る保証はありません。
成長投資枠を全部入れていいか|7社に240万円を置くということ
NISAの枠が空くから、そこに入れる。
この順番は逆だと、僕は考えています。
先に決めるのは「この7社に、資産の何%を置くか」。
NISAは、決めた金額を入れておく箱です。
枠が240万円あるからといって、7社に240万円を置く理由にはなりません。
そのうえで、掲示板で目立った「成長投資枠に全部」を数字にしてみます。
240万円をテック12に入れると、見直し時の配分ではこうなります。
| 1社あたり | 合計 | |
|---|---|---|
| 上位7社 | 約28.8万円 | 約201.6万円 |
| 残り5社 | 約7.7万円 | 約38.4万円 |
つまり、7社の株を約29万円ずつ買うのとほぼ同じ。
インデックスファンドという形をしていても、中身は「7社の個別株を同じ額ずつ持つ」に近い配分です。
7社が全部、世界を代表する会社なのは確か。
ただ、20年前の時価総額上位と今の上位は、かなり入れ替わっています。
今の勝ち組が20年後も勝ち組とは限らない、という話は、FANG+の記事で詳しく書きました。
→ FANG+はインデックス投資ではない|銘柄固定・均等加重から見える“集中投資”の正体
そして、指数の参考値で-38.4%の年があった、という数字。
240万円なら、1年で約92万円減る計算です。
そのとき、NISAの枠に入っているのがテック12だけだったら、持ち続けられるかどうか。
買う前に、その日の自分を一度想像してみてください。
👉 テック12が良い商品かどうかより先に、「どれだけ入れるか」を決める必要があります。
楽天・テック12は買いか|僕は買わない。持つなら「遊び枠」と分かって
僕は買いません。
理由は、FANG+やS&P10を買わない理由と同じ。
7社、12社という数は、資産を預ける先として分散が足りないと考えています。
→ 分散投資はどこまでやれば十分か|「銘柄を増やすほど安全」の終わり方
それでも持ちたい人に、止めはしません。
信託報酬は集中型の中で安い方で、ルールも公開されていて分かりやすい商品です。
問題は商品ではなく、入れる量。
持つなら、この3つを守ってください。
- コアにしない:資産の中心は、市場平均と言える十分に分散が効いたインデックスファンド。テック12はその代わりになりません
- 遊び枠として少額で:全資産の1〜3%くらい。集中型の比較記事で書いた「おもちゃ枠」と同じ線です
- 重ねて持っていると知る:NASDAQ100を持っているなら、12社はすべてその中に入っています。S&P500でも、スペースX以外の11社が入っています。テック12を足すのは「分散」ではなく、同じ会社への「上乗せ」です
すでに成長投資枠を多く入れた人へ
判断の問いは1つです。
「今日、新しく買うなら、資産の何%をこの7社に置くか」。
その答えが今の比率より小さいなら、その分を減らせばいい。
NISAの成長投資枠は、売った分の枠が翌年に復活します。
→ オルカン・S&P500・NASDAQ100どれがいい?|18年比較で見えた「暴落の深さ」の順番
まとめ|楽天・テック12を買う前の3つの問い
テック12は、コストの安い、作りのはっきりしたファンドです。
だからこそ、買う前に聞いてほしいことがあります。
- 7社の個別株を同じ額ずつ持つ覚悟があるか——上位7社に84%。スペースXも12%
- その会社は、自分のNASDAQ100やS&P500にすでに入っていないか——NASDAQ100には12社すべて、S&P500にもスペースX以外の11社が入っている
- 資産全体のうち、この7社に置いていいのは何%か——その%を超えて入れない
信託報酬の安さで選ぶ前に、7社に何%を置くかを決める。楽天・テック12から持ち帰ってほしいのは、その1つです。
【本記事の注記】
基準価額・純資産は楽天投信投資顧問と投資信託協会の公表値(2026年10月23日まで)、構成銘柄と配分ルールは楽天投信投資顧問の交付目論見書と特集ページ(2026年6月30日時点)、指数の年ごとの成績は交付目論見書の参考情報(対象指数の年間騰落率)から。
ほかのファンドの信託報酬は各社の公表値。
成績・振れ幅は、基準価額から筆者が計算しました。
過去の値動きで、将来の成績を示すものではありません。
📚 「上位7社を当てにいく」前に読んでほしい1冊
※ 下記リンクは成果報酬型広告です。遷移先はAmazon・楽天の公式サイトです。
テック12は、今いちばん強そうな会社を選んで厚く持つファンドです。その発想に迷ったときに思い出してほしい言葉があります。
「干し草の山の中から針を探すな。干し草の山ごと買え」。インデックスファンドを生んだジョン・ボーグルの一冊です。
僕にとっては、低コストの大切さを叩き込んでくれた本でもあります。7社を当てにいくのか、市場をまるごと持つのか。テック12を買う前に、その分かれ道を一度確かめられます。
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資産の中心に置く、市場平均のインデックスファンドも低コストでそろいます。楽天・テック12を扱っているのも、今は楽天証券です。
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本記事は筆者の個人的な見解・実体験にもとづく情報提供を目的としており、投資・保険の勧誘を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。特定の金融商品・サービスの購入を推奨するものではありません。
